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保育園・幼稚園のICT化で、課題改善は進むか?

教育現場でもICT化、IoT化が進んでいますが、さらに保育園・幼稚園での活用にも注目が集まっています。近年、この業界は保育士不足や待機児童問題などが取りざたされており、課題が多くみられます。ICT、IoTの導入により、これらの改善がされるのか、その当たりの最新事情を見て行きましょう。

保育士に直面するウルトラ激務

教育に関わる仕事が激務であることは、今に始まったことではありません。その業務は教育以外にも、管理や書類作成等にまで及びます。

そして、「子ども・子育て支援制度」が2015年度から本格的にスタートしたことにより、保育士はさらに過酷な現実に直面することになりました。この「子ども・子育て支援制度」とは、少子化に歯止めをかけるために政府が打ち出した重要政策で、これにより一律だった保育時間が保護者の就労時間に合わせて変えることができるようになったのです。遅くまで働く人でも保育園が子供をサポートしてくれるので、保護者にとってはメリットがあります。

一方、保育園側は登降園時間の正確な記録、帳票を作成し市区町村へ提出する必要があるため、保育士の業務負担は激増。こうしたことから慢性的に不足していた保育士は、さらに確保が困難な状態に陥ってしまいました。加えて待機児童の問題もあり、保育園・幼稚園を取り巻く環境は混迷の一途を辿っているのです。

政府がICT化、IoT化推進を支援

このような状況下で、保育士の負担を減らすためのICT化、IoT化が注目を集めています。
とくに政府も近年、「保育所等における業務効率化推進事業」を盛り込んだ予算を成立。現在では、保育園や幼稚園が業務負担効率化を目的としたICTを導入する場合は、国や市町村から補助を受けられることになっています。課題の多い業界なだけに、ICT化・IoT化は急務といえるでしょう。

ICT化に積極的な「茶々保育園グループ」の事例

全体的に見ればICT化がそれほど進んでいないと思われる保育園・幼稚園ですが、それでも力を入れ始めているところはあります。特に注目されているのが、首都圏を中心に保育園を展開する「茶々保育園グループ(社会福祉法人あすみ福祉会)」です。

ここでは「児童の教育・学習」、「保護者との連絡・情報共有」、「スタッフ業務の効率化」の3分野でICTを活用。タブレットや大型ディスプレイなど、最新のデジタルデバイスやインターネットテクノロジーを積極的に導入し、子ども達の知性や感性・積極性を刺激する教育を展開しています。

また、保護者とのやりとりには、リクルートマーケティングパートナーズが提供する保育園向けサービス「kidsly(キッズリー)」を導入しています。これにより、保育現場や子どもの様子を保護者へタイムリーに伝えることを実現させました。このシステムは登園・遅刻・欠席状況を毎日簡単に記録できるほか、保護者とスタッフの連絡帳、写真の保存・共有、個別連絡、保育園からのお知らせ機能、イベントカレンダーなどまで備えているスグレモノです。

世界初の園児見守りロボット「MEEBO」

ここへきて、ロボットを活用する動きも出てきています。保育園・幼稚園に関連したソリューションを提供しているユニファ株式会社では、世界初の園児見守りロボット「MEEBO(みーぼ)」を開発、販売しています。このMEEBOは、身長約28cm、体重約1kgと園児より小さいボディにもかかわらず、かなりの高機能を搭載したロボットなのです。

具体的な特徴は大きく分けて3つあります。
(1)「園児の命を守る」
非接触で園児の体温を検知する機能を使い、「元気そうに見えるけど、実は発熱している」ということを防ぎます。また、地震速報メディアと連携し、一早く地震速報をキャッチして通知します。
(2)「園児の様子を記録する」
表情を認識して、写真を撮影することができるのです。もちろん、集合写真を撮影したいという、保育士や教諭の要望にも応えられます。また、ユニファが提供するサービス「るくみー」と連動して、保護者へ向けた写真販売もWEB上で完結。これにより、保育士がわざわざ集金する手間もなくなります。
(3)「園児と一緒に遊ぶ」
簡単な挨拶を交わしたり、音楽を再生したり、ダンスをしたり、園児とのコミュニケーションを大いに盛り上げてくれます。

少子化は日本が直面する大きな課題であり、保育園・幼稚園はその最前線にある業界といえます。ぜひICT、IoTの導入によって、保育士の負担軽減が進むことを期待したいです。

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