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教育IoT、考える過程の“見える化”を実現

いつでもどこでもネットワークとの接続を実現するIoT。今のところ、家電や電子機器のIoT化が主流となっていますが、その革新的効果は少しずつ他業種にも波及しています。そこで今回は、教育現場におけるIoTの取り組みについて考察していきます。

文科省、新たな産業創出を担う人材育成を重視

「教育IoT」が注目される背景には、政府(文部科学省、総務省など)が進める次世代教育へ向けた改革があります。2016年6月に、政府は「日本再興戦略2016」を発表しました。これは人口減少が進む日本においてIoTやAI、ビッグデータといった新技術を活用し、生産性を向上させようという戦略です。そして、実際に多くの分野でこれらの活用は進んでおり、当サイトでも多くの記事でとりあげています。

そんななか、新たな産業創出を担う人材育成も重視され、教育改革が盛り込まれました。具体的には、「アクティブ・ラーニング(能動的学習)の推進」、初等中等教育で「プログラミング教育の必修化」、高等教育で「数理・情報教育の強化」などです。それに伴い、「IT活用による習熟度別学習」、「スマートスクール構想の推進」、「統合型校務支援システム普及推進」といった、教育のICT化とIoT化を加速していくことも検討されています。

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内田洋行がリードする教育IoT

教育IoTの分野で進んだ取り組みを行っているのが株式会社 内田洋行です。これを意外だと思う人も多いかもしれません。というのも、内田洋行はオフィスで使われる事務用デスク、チェア、テーブルなどの販売を行っているため、教育のイメージとは遠いと考えられるからです。

しかし、それはあくまで同社の一面に過ぎません。同社は「商品単体で売るより、空間を提供する」という企業理念があり、そのため情報システムの構築に加えて、学校の教室で使われるデジタル教材や教育用ソフトウェアの開発も行っています。あわせて、これまで全国の約250の自治体、4,000校の小中学校に導入されているという実績を持っているのです。
さらに、政府が目指す教育改革の実証事業も展開。総務省の「フューチャースクール推進事業」(2010年~2013年)では、無線LANやICTの設計構築、運用・メンテナンス等の整理を行い、文部科学省の「学びのイノベーション事業」(2011年~)では、1人1台タブレット導入による、ICT利活用モデルの整理と学力向上の実証を行いました。

内田洋行とインテルが教育IoTで協業

内田洋行は、さらに大きな枠組みの教育IoTを実現させるため、2016年7月にインテル株式会社と協業することを発表しました。同じく、インテルのデータ分析やシステム設計の技術を組み合わせ、学習支援システムなどの開発を目指す考えを示しています。

今回インテルとの協業に至った理由のひとつとして、内田洋行はビックデータ解析を挙げています。同社が展開するICTを使った教材、IoT化した教室などが増えていくにつれ、そのデータは膨大なものになっていきます。しかし、有効活用する方法を見いだせずにいました。そこで、ビッグデータ解析に強いインテルと連携し、教育現場でのデータ活用の可能性を広げようと考えたのです。

今後のビジョンとしては、従来どおり学習教材としてタブレット端末の普及を促進。あわせて、学習の軌跡(ログ)がデータとして残る方法を構築し、生徒がどこでつまずいたかが分かるようにしていきます。また、テストの点数だけでなく、考える過程も見える化できるよう取り組むそうです。

とはいえ学校によっては、タブレット端末などに費用をかけて導入する意義を実感できていない、導入してから使いこなせないというところも多く、これらの課題を解決しなくてはなりません。これに関して、両社では将来に役立つ力を伸ばす教育方法も提案するとしています。

<参考・参照元>
プレスリリース|内田洋行とインテル、「教育IoT」で協業|内田洋行

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