前回につづいて、具体的な企業のIoTの取り組みについて、ご紹介いたします。
ハードウェア系のIoT
まずは、ハードウェア面でのIoTニュースについてご紹介します。
まずは村田製作所で、スマホと自動車関連の事業で大きく業績をあげている企業で、センサー、セラミックコンデンサー、フィルターといったデバイスのノウハウがあり、今後はIoT関連で、インターネットにつながるデバイスが500億個を超え、ノウハウを生かしIoTを牽引するほどの部品提供が見込めるとの見解を示しています。某TVドラマの「ロケット推進部分のキーデバイス開発」といった題材と同様に、やはり今後のIoTはキーデバイスが重要で、そのキーデバイスにより、IoTサービスの提供が盛んになると考えられます。
次に、オムニ家電の爆発的普及を目指しているハイアールでは冷蔵庫です。ディスプレー付き冷蔵庫、Wifi通信機能、マイクを搭載しています。一番わかりやすいこととして、冷蔵庫の中身がなくなってきた場合、ディスプレーから注文が可能な機能などを搭載しています。こちらも、ハードウェアには違いないのですが、一部違うこととして、エンドユーザのニーズに応えることができる仕組みとして、アプリケー所んやコンテンツを提供することで利益を上げられるビジネスモデルを目指しています。こういったビジネスモデルでも、キーデバイスが重要ということになります。
通信大手をはじめIT関連10社のIoT
通信大手のNTTドコモ、広告会社TBWA HAKUHODOをはじめ10社が、IoT普及促進プロジェクト「Project Linking」を立ち上げました。このプロジェクトは、スマホとIoT機器を結びつけたアプリの基盤を用意して、デバイス開発者とアプリ開発者に無償でAPIを公開し、いろいろなサービス開発を推し進めようとするものです。Linuxのオープンライセンスをいう考え方に近いと思います。それらを起爆剤として、IoTが現実のものになり、ビジネスが生まれれば良い効果があると考えています。また、メーカやベンチャー企業などの垣根を取り払うことで、具体的なアイディアや活発な開発を進めることができることも特徴です。このプロジェクトでは、Braveridgeというベンチャー企業が、これらのAPIを利用して「Tomoru」という製品を発売し始めています。傘、ドア、ランドセルなどエンドユーザの身回り品に付けて光を用いて通知する機能がある製品です。広告会社TBWA HAKUHODOでは、この「Tomoru」を活用し2016年1月に仮称「目指せ最速リツイートアプリ」をリリースする予定です。プロジェクト全体で、相乗効果を発揮して、IoT機器利用者をもっと増やすことを目指しています。
いろいろなIoT活用方法の発想
その他としては、まだまだいろいろな活用方法や発想があります。
日本航空がストレスがないオフィス環境を構築するために、加速度センサー・赤外線センサーを使った名刺型モジュールで身体運動のデータを収集しストレスの分析を始めています。
次に、ノバルスでは、乾電池型のIoT製品「MaBeee」を提供しています。乾電池をスマホで操作することができ、例えばプラレールやリモコンカーなどおもちゃの乾電池をこの機能にすることで、スピードの可変をすることができます。スマホを振ったり・近づけたり・傾けたりすることで走行、スピード変化などをさせることができます。
東芝は米ゼネラル・エレクトリックと協業して、東芝製エレベーター、業務用エアコンなどを対象に、稼動運用データを収集・分析し、ビル設備の保守効率化をすることができます。
発想の転換として、日立ソリューションズがIoTデータを時系列で地図上に表示するGISソフトのオプションを開発し、今までGISの大量のデータを検索する時間がかかってしまっていたため、この機能により検索時間を大幅に短縮することができたこともあります。
最後に、一般消費者でも活用できる商品をご紹介します。KDDI、沖縄セルラーが、インテリア雑貨『Umbrella stand』と『Dust bin』を発売しました。「傘立て」と「ゴミ箱」ですが、スマホと連携して使用します。傘立ては、降水確率に合わせて、晴れ＝オレンジ、曇り＝白、雨＝青でLEDの色でお知らせしてくれますので、今日傘が必要かどうかがわかる商品です。ゴミ箱は、専用アプリが入ったスマートフォンを近づけると、ゴミ箱が光りアプリにも通知が届きゴミ収集日を知らせてくれるる商品です。
一例として、IoTの具体的な企業の取り組みについて、ご紹介いたしました。まだまだ書ききれない商品やサービスがあります。やっと今、IoTが活発になってきた時期に入っていますので、今後のIoTの動向に注目する必要があると思います。