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農業とIoTの融合がアツい(後編)

さて、前回の記事ではIoTやクラウドがもたらす農業変革について、メリットと課題点をご説明しました。
本記事ではいよいよ、実際に製品化されている事例をご紹介します。

製品・事業事例

1.e-kakashi(PSソリューションズ株式会社)
今年10月に販売開始が始まった「e-kakashi」。ソフトバンクグループのPSソリューションズ株式会社が手掛けたこの製品の特長は、「手軽さ」「面白さ」「容易さ」にあります。
同社プレスリリースによると、田畑などの圃場にセンサーネットワークを張り巡らせ、環境情報や生育情報を収集し、営農支援向けに効果的に活用可能だということ。圃場の温度や湿度、日射量、土壌内の温度や水分量、CO2などを計測できる各種センサーを搭載した子機を設置することで、その子機からデータを収集し、通信モジュールを内蔵した親機にデータが送られ、そこからクラウド上へ情報がアップロードされます。
クラウド上にデータがアップロードされることで、ユーザーはいつでもどこでも、PCやスマートフォンなどでインターネットを利用し、データにアクセスすることが可能です。
データへのアクセスが容易になることで、そのデータを見ながら圃場で作業を行うこともできます。また、クラウド上でのデータ更新は随時行われるため、常に最新の圃場の状況を見ることができるのです。
e-kakashiは、見やすいUIの実現やシンプルで優れた操作性により、ユーザーフレンドリーな農業IoTとして注目を集めています。価格が比較的低価格であり、一般的な農家が手にしやすいという点でも大きな期待が寄せられています。
※今年12月下旬より提供開始となっています。

2.農業用センサーSenSprout(SenSprout)
IoTベンチャーのSenSproutが考案した土壌モニタリングシステム「SenSprout」が世界中から注目を集めています。SenSproutは世界的な問題となっている、農業における水利用削減に着目し考案されました。
SenSproutは「葉っぱ」の形をした、静電容量の変化を検知できるセンサーで、雨量や土壌の水分計測、降雨の検知を可能とします。これまでもこのような農業用のセンサーは存在していましたが、コスト面が課題でした。従来では大型農家の場合1000万円規模の投資が必要だったのです。コスト面以外では、データ取得用ネットワークの構築にかかる手間も課題でした。SenSproutは、家庭用プリンターの回路印刷技術を活用しているため、小ロットでも大量生産でも製造コストは非常に低く抑えることを可能にしたのです。
現在はまだ実証実験の段階ですが、某ビジネスコンテストでの受賞をきっかけに注目が集まっています。

IBMが農家のサポートを発表「BlueHub」

日本国内では農業分野へのIoT導入に向けて、さまざまな面から取り組みが進んでいます。
IBMが開催する「IBM Blue Hub(以下Blue Hub)」もその一つです。
BlueHubはスタートアップのビジネスをサポートする活動を行っており、今年発表された5社のうち1社が農業IoTに取り組む企業でした。
IBM BlueHub第二期始動!

まだまだ進む農業変革

ほかにもさまざまな企業が取り組みを行っています。
富士通は農業向けクラウドサービスの「Akisai」を提供し、酒造との提携により日本酒の原料米「山田錦」の生産拡大を目指す活動を行っています。
トヨタ自動車は米生産農場法人向けの支援システム「豊作計画」を開発し愛知県や石川県の農業法人と共同でコンソーシアムを設立しました。
企業のみならず、国もサポートを行っています。昨年より農林水産省は「農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」に着手しはじめました。これにより低コストの生産技術確立、スマート農業の実現などを目的として農業法人や企業が共同で行う実証事業へ補助金を出しています。

このように具体例を挙げればキリがないほど、農業とIoTの結びつきは急速に強くなっています。
日本国内のみならず世界的にも盛んな農業変革、今後のIoTやクラウドの動向とともに注目していきましょう。

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