English Ver. : An “AI” Tour Guide for Travelers to Japan, “OMOTENASHI” on Smartphone Application
冬季ではメダルの獲得数が過去最高となった平昌オリンピックも閉幕し、2020年の東京オリンピックに向けて訪日外国人旅行者は右肩上がりの増加が見込まれます。
しかし、英語表記や交通機関の外国語アナウンスが拡充されてきているとは言え、まだまだ「外国語の通じる国」とは言えないのが日本の現状ではないでしょうか。実際に、街中ではよく外国人旅行者と思わしき方たちが地図を片手になかなか道を聞けないでいたり、電車の路線図を前に固まっていたりする様子を目にすることもしばしば。
そんな中、IT技術で日本の観光をサポートできるアプリが発表されました。
訪日外国人向けスマートフォンアプリ 「JAPAN Trip Navigator」
2018年2月22日より提供開始した「JAPAN Trip Navigator」は、JTB、ナビタイムジャパン、日本マイクロソフトの3社共同開発による、訪日外国人旅行者向けスマートフォンアプリです。
年々増加する訪日外国人旅行者に対して「デジタル×ヒューマンタッチ」をコンセプトに、常に寄り添った旅行のサポートサービスを提供します。
本アプリはマイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を基盤に、JTBがもつ豊富な観光情報とナビタイムジャパンのアプリ開発技術、移動経路情報を活かした機能が搭載されており、観光情報の提供やAIを活用したチャットボットやレコメンドサービスを備えています。対応OSはiOSのみ。Android版は2018年3月提供開始予定となっています。また、現時点では英語のみの対応ですが、そのほかの言語も順次対応予定とのこと。
JAPAN Trip Navigator の主な特徴はこちらの5つです。
- 100通り以上の観光モデルプランを提供
- 約3,600件以上のるるぶ観光スポット情報を提供、直接予約なども可能
- 行きたい場所の追加削除など、モデルプランのカスタマイズ機能
- ユーザーの利用状況に応じたAssistant機能
- AIを活用したチャットボット機能
ジャパンカルチャーと言えば? 多彩なモデルプラン
アプリを開くと北海道から沖縄まで、自然や文化、グルメに街歩き系などさまざまなプランが表示されます。”See” “Play” “Eat” などのカテゴリーやエリアでサーチできるようになっていますので、訪れる場所や目的を絞って探すことができます。
早速興味深いプランを発見しました。“Akihabara Half-Day Tour Plan: see for yourself the city that’s got all the hobbyists googly-eyed!” です。今や日本と言えばOtaku(オタク)文化。東京観光なら秋葉原は外せません。
このAkihabara Half-Day Tourは、フィギュアショップからメイドカフェ、コスプレ衣装ショップと回ってガンダムカフェで締めるという、4か所を約4時間半で巡るコースでした。日本のOtaku文化を体感するのに良さそうですね。所要時間の表記も、観光プランを練る際にはとても参考になります。
プランのページからMAPに直接アクセスできて、各スポット間はNAVITIME for Japan Travelと連携して現在地からのルート検索が可能です (NAVITIME for Japan Travel アプリのダウンロードが必要です)。
そして、このデフォルトのコースをカスタマイズすることも可能です。
「ガンダムカフェは行かないで、電気街で買い物がしたい」という場合にも、簡単な操作で追加修正や順番を変更できます。“My Plans” フォルダに名前をつけて保存すれば完了です。”Otaku Tour” と銘打ちました。
AssistantのMikoちゃんは準備中
Assistant機能 (チャットボット) は、巫女さんの服装をした「Miko」ちゃんが質問に答えてくれます。天ぷらが食べたいといえば近くの天ぷら屋さんを薦めてくれる訳ですが、このレコメンドは、少なくとも現在はるるぶ観光スポット情報にあるもののみのようです。先ほどカスタマイズした “Otaku Tour” で、ルート近くのラーメン屋さんを検索しようとしましたが、東京駅の東京ラーメンストリートをレコメンドされました。この近くのラーメン屋さん、というリクエストに対して情報がまだ少ないのかも知れません。 (* This function will be available soon という脚注がありました)
また、画像認識機能があるということであったので、この写真を送って、これはどこかと聞いてみましたが、やはりまだ答えられませんでした。
「ユーザーの利用状況に応じたAssistant機能」なのでしょうか、Mikoちゃんが「忍者に会えるといいね」と言っています。なので「どこで忍者に会える?」と返してみたところ、「東京タワー ウィンター ファンタジー」というイベントを紹介されました。しかしイベントのwebをページ見ても、忍者に会えそうな気配は微塵もありません。
このように現時点では準備中の機能が多いようですが、特徴とする機能がフルに使えるようになれば、旅行前の情報収集から旅行中のサポートまでしてくれる、訪日観光客にとってとても便利なアプリです。AIやディープラーニングは経験 (学習) が命ですので、学習量が増えればどんどん成長していくものと考えられます。
あるといいなの機能
プレスリリースでは、今後もさまざまな企業や団体と連携するとありましたので、さらに便利な機能が増えていくことでしょう。
もし、筆者が「日本語はほぼ分からない訪日外国人」だったとしたら、今後追加で付けてほしい機能がいくつかあると感じました。
まず、日本語を「日本語でスマホ画面に表示」「日本語の発音を表示」してくれる機能です。
目的の場所にはアプリを使って自力で行けても、すべての場所で英語が通じるという環境ではない日本では、結局何かしらの日本語が必要になるケースが多いです。入場料を払う、レストランでオーダーをする、食べ物にアレルギーがある。切符の買い方が分からない、バスの乗り方が分からない。トイレはどこですか? 体調が悪い、病院に行きたい。
日常会話とまではいかなくても、必要最低限のフレーズや単語が分かるととても助かります。Thank you = ありがとう <Arigato> というように表示されていれば、声に出してみることもできますし、無理なら相手に画面を見せれば最低限の要求を伝えることができます。
もう1つは、飲食店などはレコメンドだけでなく、口コミが見たい。実際に行ってみた、自分と同じような外国人観光客がどういう感想を言っているのかが知りたい。食べログの英語版など、口コミサイトと連携してくれたらとても参考になります。
それぞれに別のアプリやwebサイトを開けば簡単に調べられることですが、それを1つのアプリでシームレスにできるようになるといいな、というのが、「もしもユーザー」の希望です。
もう1つおまけに、マイクロソフト社が開発に関わっていますので、JAPAN Trip Navigatorにあるプランのルートを Microsoft HoloLens を着けて歩くと Miko ちゃんが案内してくれたりすると楽しそうです。きっとそんなサービスもすぐに出てきそうですね。
● 「JAPAN Trip Navigator」web: http://www.jtb.co.jp/inbound/appli/index.asp
●アプリダウンロードURL: https://itunes.apple.com/app/id1340750911?mt=8
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