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アメリカのガートナー社が2017年に企業や組織にとって戦略的な重要性を持つと考えられるテクノロジートレンドトップ10を発表しました。その中の一つに選ばれたワードが「デジタルツイン」。従来からある考え方ですが、IoTやAIが浸透するなかで適用範囲を広げつつあります。
デジタルツインはIoT、AIといったテクノロジーとどのような関わり方をしているのか、企業はデジタルツインの取り組みをどのように行っているのかをご紹介します。


デジタルツインとは?

デジタルツインとは、工場や製造現場といった物理世界の現実の出来事と同じものをデジタル上にリアルタイムに表現しようという考え方です。
製造業では、開発した製品や部品をテストしますが、テストには膨大な時間がかかります。特に部品は組み込んで正常に動作するかが重要で、組み込み先は自社の製品ではない場合もあり、予めテストを行うことは必須でした。
そのため、製造現場ではバーチャル環境でテストするCAE(Computer Aided Engineering)が使用されてきましたが、この考え方をより進化させたものが「デジタルツイン」です。
従来は開発対象をモデル化して、テストで与える衝撃や熱といった変数を入力値として与え状態の変化を検証するやり方で、入力値のみが変わり、仮想化したモデルは固定されていて変わることはありませんでした。しかし、現実の世界では製品は様々な環境下におかれることで多様な影響を受けており、その特性や機能に変化が生じる可能性を孕んでいます。そのため、仮想化したモデルと現実のものとの間にはギャップが生じてしまうという問題点を抱えていました。
この問題点への打開策として有効とされているのがデジタルツインです。従来との違いはやはり仮想化されたモデルそのものが更新されていく点です。開発対象のものにセンサーを取り付け、販売された先で実際にどのように使われているかといった生データを取得し、このデータをAIで解析することで現在どのような状態になっているのかを推測することができます。こうして、仮想上のモデルは現実の製品(部品)と限りなく同じ状態に近づけることができ、このモデルに対してさらに高度なシミュレーションをすることも可能になっています。
<参考・参照元>
Vol.05 Digital Twin「デジタル上の双子」がもたらす変革 | NEC

デジタルツインの効果とは?

GE社では、航空機エンジンのメンテナンスにデジタルツインを活用しています。中東エリアのフライトの場合、エンジンの中のブレードと呼ばれる羽根型の部品が砂埃を吸い込んで問題を引き起こすことがあります。そこで、中東エリアを通った回数でブレード洗浄の頻度を決めていますが、洗浄にはかなりのコストがかかる上に洗浄中はフライトできないという問題があります。
そこで活用されたのがデジタルツインです。機体に設置したセンサーから得られる様々なデータや仮想データを使い分析処理を行うことで、個々の機体ごとにより高精度な洗浄頻度を割り出すことができるようになりました。こうして、安全に運行できることは絶対条件としつつも、洗浄回数を減らし、大幅なコスト削減に成功しました。
<参考・参照元>
デジタル・ツインとは何か? GEが航空機エンジンの保守費用を大幅削減した方法 |ビジネス+IT

用途広がるデジタルツイン

さらにデジタルツインの用途は広がっています。現実のものを仮想化するだけではなく、開発から製造までのプロセスを仮想化することで、効率的な生産を実現しようとしています。
シミュレーションツール「DELMIA」ブランドを開発するフランスのダッソー・システムズ社では、工場全体をコンピュータにモデルとして取り込み、業務改善を支援するシステムの開発に取り組んでいます。
今までのDELMIAでは工場の生産ラインや設備のモデルでシミュレーションを行ってきましたが、現在の取り組みでは、現場作業指示システム(MES)やサプライチェーンまで含めたスケジューリングシステムとの組み合わせを行っています。これを実行することで、日々の生産性を最適なものに保つだけでなく、部品の供給が遅れた場合に、全体の遅延を最低限にする生産計画を立ててMES経由で指示を出すことも可能です。
<参考・参照元>
デジタルツインで生産計画を臨機応変に変更|日経テクノロジーオンライン

デジタルの世界が物理の世界に入り込む「デジタルメッシュ」が急速に広まっています。仮想現実(VR)・拡張現実(AR)やブロックチェーンなども物理の世界にデジタルが入り込んできている象徴と言えます。デジタルツインもそのうちのひとつで、生産性向上の期待から産業界を中心に取り組みが広まっています。
2017年にはデジタルと私たちの実質的な生活との関わり方がさらに変化し、新しい世界が開ける一年になるかもしれません。