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IoTを制するプロトコルとは?

IoTでデバイスと接続する方法として、従来の方法としてはモバイル通信で使われているWi-Fi、LTE、Bluetoothなどありますが、消費電力、通信距離、免許(通信料金)がネックとなっています。このような障壁をカバーする次世代のプロトコルが今注目されています。そこで、次世代に期待されているIoT向けのプロトコルについて紹介したいと思います。

従来のモバイル通信プロトコル

IoTはモバイル通信の延長線であるということを考えると、お馴染みのものでは以下の規格があります。

  • Bluetooth Smart/BLE

IoTを意識して設計されたもので、Bluetoothと同じ50-150mの通信範囲で、省電力を実現しました。大量のデータ転送には向きません。

  • Wi-Fi

生活の上で、もはや欠かせない存在になっているプロトコルです。大量のデータ転送もこなしますが、広域通信には対応できず、消費電力の多いのが難点です。

  • 携帯通信

携帯通信は大容量データを長距離で伝送することを考えると理想的な手段ですが、免許が必要で通信料金がかかるため、この料金と端末の価格と消費電力の壁をクリアできる価値を持つサービスの構築であれば、選択肢となるでしょう。2020年には5Gが提供開始となり、IoT要件を満たす仕様が盛り込まれる予定です。

広領域をカバーすることで注目されているIoTプロトコルとは?

以上でご紹介したプロトコルは通信範囲、消費電力に課題を抱えています。近年では低消費電力と広い通信範囲を持つLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークを提供することに注目が集まっています。ここではLPWAを実現するIoTのプロトコルをご紹介します。

  • Sigfox

広域通信をカバーするIoTに特化したプロトコルです。広範囲通信、低消費電力、低コストなどの面が評価され、NTTドコモのグループ会社も出資しています。
Sigfoxはヨーロッパを中心に展開していましたが、2016年にはベルギー政府、GPSセンサーサプライヤーのSensolusと共同で南極に基地を設置し、気象変化によって発生する時速155mにもなる突風から隊員を守るシステムを構築しています。また、南アメリカへの展開を目的として、メキシコの現地企業と提携して2016年末にはサービス提供を開始する予定となっています。
ネットワーク基地設置のコストに強みを持っており、2016年では30か国でサービス提供する予定で、積極的な展開を行っています。
ドコモも出資するIoT通信企業、Sigfox 南極でのサービス開始 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

  • LoRaWAN

IBMと半導体ベンチャーのセムテックが開発したIoT向けのプロトコルです。低消費電力、広範囲であり、数百万のデバイスとの通信が可能といわれています。日本でもIoT向けのデバイスを開発するソラコムが、LoRaWANに取り組んでいるM2B通信企画と提携し参入しています。900MHz帯(サブギガ帯)を使用して、5km~10kmの通信範囲をカバーしています。仕様が公開されていないSigfoxとは異なり、LoRaWANは仕様がオープンなため、普及が有望視されています。
ソラコム、IoT/M2M通信に適したLPWAネットワーク(LoRaWAN)事業に参入 | IoT ニュース

  • Wi-Fi HaLow

Wi-Fiの規格を策定しているWi-Fiアライアンスが新しい無線技術802.11ahを採用した商品です。LoRaWANと同じサブギガ帯を使用し、従来の2.4GHz / 5GHz帯WiFiに比べて2倍程度の通信距離を実現し、障害物への回り込みを改善しています。従来の「トラフィックが過密で衝突が多い」という課題をクリアした形となりました。この規格に対応するには新たなチップが必要ですが、新しいチップは従来のWi-Fiも対応しています。
オランダのWi-Fi通信向けSoC IPプロバイダであるMethods2Businessは、ベルギーimecとオランダHolst Centreの802.11ahに準拠したトランシーバを搭載した無線システムの提供を発表しました。Wi-Fi HaLowの規格が発表されたのは2016年で、普及には数年かかるとされているなか、早期実用化を目指しています。
IoT向け無線LAN「Wi-Fi HaLow」の衝撃――半径1kmのカバレッジをサブGHz帯で実現 | ビジネスネットワーク.jp

  • NB-IoT

既存のLTEを拡張したセルラーIoTです。NBはNarrow Bandの略で、通信速度が最大62kビット/秒(kbps)、帯域幅は200kHzに制限されています。LTEを活用できるため新たな基地の設置が不要で、LTEが浸透している日本になじみやすいと言われています。NB-IoTは中国のファーウェイが推進しており、チャイナ・ユニコム上海と提携しNB-IoTベースのスマートパーキングソリューションを上海国際観光リゾート地区内の駐車場に構築しました。デバイス、基地局、サーバー、アプリの統合ソリューションとなっています。
今後のIoT無線技術の本命「NB-IoT」の底力とは – WirelessWire News (ワイヤレスワイヤーニュース)

これだけの無線規格が誕生している背景には、IoT市場への大きな期待があります。今後はデバイスのコストと基地局のコストを制した者が、IoTの無線技術を制することになりそうです。