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ブロックチェーン技術”ハイパーレッジャー”でグローバル・スタンダードを創っていく|IBM Watson Summit 2016レポート

次世代の取引のための革新的な技術として、ブロックチェーンが脚光を浴びています。金融機関によるブロックチェーンの実証実験が活発になり、2016年はブロックチェーン元年なのではという声も上がっています。
今回はパーミッション付きのブロックチェーン技術「ハイパーレッジャー(Hyperledger)」にスポットを当てた『イノベーションに新たな潮流をもたらすブロックチェーン・テクノロジーとは』IBM Watson Summit 2016(2016年5月26日)のセッションの模様をご報告します。

▼ リナックスファウンデーションのハイパーレッジャー・プロジェクトWebページ

ブロックチェーンは取引データを確認して記録するデジタル技術。改ざんの危険性を回避しつつ、決済を高速化。そのすぐれたコストパフォーマンスにも注目が集まっています。

2016年2月、IBMはオープンソースの世界的な団体であるリナックスファウンデーションと協力して、「ハイパーレッジャー・プロジェクト」を始動。ハイパーレッジャーとは、ブロックチェーン技術を推進する無料のオープンソースプロジェクト。誰もが自由に参加できるビットコインとは一線を画し、企業利用を前提に信頼できる者同士で運営されます。すでにインテル、リップル、IBMらが自らのソースコードを公開し、寄贈。異業種がミックスされ、標準化に向けた勢いが増しています。

パーミッション付きのハイパーレッジャーを推す理由

まず登壇したのは、日本アイ・ビー・エム株式会社 成長戦略 テクニカル・ソリューションズ 高城 勝信氏です。

▼ 日本IBM 高城 勝信氏

日本IBM 高城氏: 私たちIBMはビットコインの世界では、すべてのデータを公開すべきだといっていますが、企業利用ではパーミッション付きのブロックチェーンで、プライバシーを守り、セキュリティを強化すべきだと思っています。
ここで暗号化技術が問われるのですが、ビットコインは非常に中途半端。公開鍵暗号方式とハッシュ関数ぐらいしか暗号化技術を使っていません。
ハイパーレッジャーは、IDをランダムに生成し、企業のプライバシーを保護。そしてトランザクションの機密性を強化。取引を暗号化し、さらにアクセスも制限します。

▼ ビットコイン、イサリウムとハイパーレッジャーの違い

▼ IBMブロックチェーン「概要」(1:36)

大手ITベンダーのみならずスタートアップも参画

▼ソラミツ株式会社 Co-founder/Co-CEO 岡田 隆氏

次に登壇したのは、2016年2月設立のソラミツ株式会社の岡田氏。ハイパーレッジャー・プロジェクトには日本から富士通、日立グループ、NEC、NTTデータ、そして2016年5月にソラミツが参画しました。

ソラミツ 岡田氏:ブロックチェーンは、まだグローバル・スタンダードができていません。そして、ブロックチェーンにはまだ課題があると認識しています。ハイパーレッジャーで金融、非金融を含め、オープンでグローバルなスタンダードを創っていく。ここに意義があると思っています。私たちが持つアイデンティティの技術で、その一助になれれば良いと思っています。大手のITベンダーが集まることにも大きな意義がありますが、スタートアップがその潤滑油になればいいなと思っています。皆さん、一緒にやりましょう」

日本IBM 高城氏:全部岡田さんに言われてしまったのですが(笑)、ハイパーレッジャー・プロジェクトは仲間を募集中です。ぜひ、お声がけください。

IBM Garageなどで、ブロックチェーンのアプリ開発を支援

日本IBMは2016年5月、ユーザー視点で設計するモバイルやアナリティクスなどの先進的なアプリケーションの短期開発を支援する「IBM Garage」を開設。その第1弾としてブロックチェーンなどの検証/導入を支援する新サービスを提供中です。

▼ Bluemix上にハイパーレッジャーを使ったクラウドサービスを開始(β版)、DevOpsサービスと組み合わせた開発環境も提供中

※最新の情報はwww.ibm.com/blockchain/ (US)。IBM Blockchain日本語サイトは2016年7月上旬に公開予定。