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VRの歴史、ご存知ですか?

2016年10月発売予定の「PlayStation VR」の特別体験会が2016年6月1日から1か月間開催されます。「PlayStation VR」は、「Play Station 4」につなぐことで簡単にVRが体験できるHMD(ヘッドマウントディスプレイ)。すでに3,590万台以上出荷しているPlay Station 4の基盤で展開するため、VRの爆発的な普及が期待されています。
ここではVRがこれまで歩んできた歴史と、普及への課題について見ていきたいと思います。
 

VRの歴史は意外に古い

2016年は「VR元年」と呼ばれていますが、VR「普及」元年と表現した方が正しいでしょう。
VR(バーチャルリアリティー)という言葉は、もともとはシュールレアリスムの詩人アントナン・アルトーの造語で、後にVRの父と呼ばれるコンピューター科学者のジャロン・ラニアーが現在の意味で普及させました。

  • 世界初のVRHMDは1960年代に誕生

VRは遡ること1968年に、コンピュータ研究者アイバン・サザーランドが史上初のヘッドマウントディスプレイ「The Sword of Damocles」を開発したことに始まります。

  • アップルQuickTimeVRの誕生

1991年にはアップルが「QuickTimeVR」を発表。1990年代にはVRブームがあり、テーマパークでも使用され家庭用機器としても発売されました。しかし、当時は非常に高額で大がかりな設備が必要であったため、費用対効果が釣り合わず、爆発的には普及しませんでした。こうした状況もありVRは表舞台から姿を消すことになります。

  • Oculus Riftで一気に加速

しかし2012年、VR用のヘッドマウントディスプレイOclusVR社の「Oculus Rift」のプロトタイプがリリースされます。これは今でいうところのクラウドファンディング「KickStartar」で約2億8,000万円の資金を調達して開発したものです。2013年に開発キットが発売されると、まるで別の世界に自分がいるような感覚「プレゼンス(Sense of Presence)」が味わえるとエンジニアの間で評判になり、コンテンツ制作が過熱します。

  • Facebookの買収劇で一般に認知される

2014年には、そのOculus VR社をFacebookが約2,340億円で買収。ゲーム以外のシーンからも注目を浴び、VRは普及へ一気に加速します。
その年の6月にはGoogleが自社の開発者向けイベント「Google I/O」で段ボール製のVRHMDを参加者に配布しました。また、12月にはサムスン電子との協業で製作した「Gear VR」のイノベーターエディションを発表。
翌年の2015年には、東京ゲームショウで今まで一般には知られていなかったVRHMDがメディアで盛んに取り上げられ、トレンドとして認知されるようになったのです。

VR今後の課題

  • コンテンツの「品質」

このように爆発的な普及の夜明けとなった2016年ですが、今後の課題はどのようなことでしょうか。
ソニー・コンピュータエンタテインメントの吉田修平氏によれば課題は2つあるといいます。
その1つは「体験したことがない人に伝えるのが難しい」ということ。VRHMDは一人の世界に閉じこもっている状態になり、体験者と他の人との相互のつながりが遮断されているような印象も受けます。
もう1つが、「コンテンツの品質」。ハードウェアがいくら進化しても、コンテンツの水準が低ければ気持ちの良い体験はできません。
「VRは総合芸術!」 SCEWWS吉田修平氏が語るVRの現状と未来

  • 「視点」の移動をどう解決するか

Unityエバンジェリストの伊藤周氏は、VRの課題としてコンテンツの質のほかに「酔い対策」「実在感」「移動」を挙げます。

プレイヤーの身体を動かさず、客観視点で進行するゲームであれば、VR酔いしないのがわかっています。3D空間の中で、神の視点で存在する形式です。面白いのは確かですが、VR本来の浮遊感は味わえません。移動の問題とも絡みますが、いつかは解決しなければならない問題です。
引用:VRFREEK

 

  • ユーザーを現実に戻す「遅延」

また、Androidの開発VPであるDavid Burke氏は、技術的な課題としてレイテンシー(データ処理のために発生する遅延)をあげています。ユーザーの動きと映像の表示がズレるほど、ユーザーとしてはプレゼンスを感じにくくなってしまいます。
Android N、レイテンシーを20ミリ秒に抑えたVRモード搭載

  • 映像の迫力を感じさせる「画質」

株式会社ワールドエリアネットワークスの三谷歩氏は、解像度の問題を挙げます。現在のVRコンテンツの解像度は2K画質ですが、モーションVR(360°動画)としては画質が足りていません。フルHDモニタで美しいパノラマ画像を再生するには8Kは必要ではないかということです。
VR業界の可能性と課題

このようにVRの普及に向けていくつか課題はあるものの、UnityやUnrealEngine4など、簡単にプログラミングできるゲームエンジンが登場し、ベンチャーキャピタルなどからの資金も流入するなかで、VRはまだ誰もしらない世界へと発展し続けているのです。

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