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人工知能に49%の職業が奪われる衝撃!ただしデメリットばかりではない

■人工知能/ロボットから仕事を奪われるという危機

12月2日、野村総研NRIは、今後10年~20年間にかけて、現在日本国内で担われている職業の49%が人工知能などのロボットによって代替えできる可能性があるという発表がありました。
調査の中心となったのは、英国オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授とカール・ベネディクト・フレイ博士がこれまでイギリスとアメリカで同様の調査をしてきた研究の日本国内版として分析したものです。
これにさきがける英・米の分析結果は、「The Future of Employment」(2013年 マイケル・A・オズボーン カール・ベネディクト・フレイ共著)や別の調査の中で両氏が関わった研究の中で発表されており、それぞれ英国35%、米国47%という試算が出されました。
今回の研究では、国内の601の職業を対象に将来、人工知能やロボットによる代替え可能性が高い100職種と同時に代替え可能性が低い100職種が試算されました。
100もの職種が将来、ロボットやAIによって人間から奪われるというのは、きわめてショッキングな話題であり、今後の研究や人工知能やコグニティブコンピューティングの分野にさまざまな意味で注目が集まることになりそうです。

■淘汰される100の職種とAIでは代替えできない職業

まず今回の分析でロボットやAIによって代替え可能な職種として具体的にあげられた100の職種についてあらためて見直してみましょう。
参考:日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に | 野村総合研究所(NRI)
最近、ニュースや報道で話題に取り上げられることが多くなった自動運転技術ですが、世界各国の自動車メーカーがしのぎを削って試作や実験を繰り返し、もはや自動運転技術の完成は目前に迫ってきているのではないかという実感があります。

100の職種の中でも

  • 「タクシー運転手」
  • 「宅配便配達員」
  • 「バイク便配達員」
  • 「路線バス運転者」

などドライバー関係の職種が人工知能にとってかわられる可能性があると示唆されました。
ドライバー関係の職種が人間から大きな割合で奪われるというのは、将来の雇用問題にとって非常に大きな痛手になる可能性があります。
また100職種の中で目立ったのは、

  • 「NC研削盤工」
  • 「NC旋盤工」
  • 「自動車組立工」
  • 「自動車塗装工」
  • 「倉庫作業員」
  • 「プラスティック製品成形工」
  • 「製パン工」「めっき工」

など製造業など工場で働く人材に代替えの可能性があるのが目立ちました。例えば製造工場では現在でもオートメーションの製品がつくられ、それを最小限度のそれらの機械の動きを監視して正常に動いているかを見守る役割しかない現場もあります。現状ではオートメーションで担うことのできない組立作業や塗装、修理などの作業にもロボットにとってかわられる可能性が出てきます。生産現場や物流センターで人間に求められる仕事というのは少なからず減っていくことは間違いなさそうです。

逆に代替え可能性が低い職種としてリストされたのは、

  • 「外科医」
  • 「産婦人科医」
  • 「精神科医」
  • 「獣医師」
  • 「社会学研究者」
  • 「心理学研究者」
  • 「大学・短期大学教員」

などが挙げられました。

また

  • 「商品開発部員」
  • 「中小企業診断士」
  • 「経営コンサルタント」

など高度知的人材の代替え可能性は比較的低いものとされているのが特徴的です。

「アートディレクター」や「ファッションデザイナー」「舞台演出家」「映画監督」「作曲家」
などの芸術部門の職業は人工知能では代替え可能性が低いものとみられています。
また「アナウンサー」「観光バスガイド」「ディスクジョッキー」など声を生業とする職業が淘汰されないと試算されているのは興味深いような気がします。

■移民を回避する可能性を見出した人工知能の未来

今回の試算では、医療関係、学術、士業など高度な知的人材や芸術・芸能関係の職種が人工知能やAIに取って代わられる可能性は低いですが、比較的低スキルでも従事することのできる生産、製造、物流、ドライバー関係の仕事で淘汰される職種が多いことで私たちの未来はどうなってしまうのでしょうか。
必ずしも暗い未来ばかりではありません。
今、日本は空前の超高齢化時代に差し掛かっています。労働人口の減少はさけることができず、財界や産業界からは政府に移民政策で生産人口を賄う要請する声も少なくありません。
しかし保守系勢力のように移民政策による治安の悪化や、日本の国柄や風土の変容を危惧する意見が多数を占めているのも事実です。
これは日本だけでなく世界の先進諸国が抱える問題でもあります。
しかし今回の試算のように日本の労働が人工知能やコグニティブコンピューティングを有したロボットなどで代替えされ、それらが人間のかわりに仕事をして、生産活動をしてくれるようになれば、移民に頼ることなしに日本の経済や人々の暮らしを豊かにすることができるかもしれません。
特にこれから本格的に多くなる高齢者の看護や介護、生活の支援にも人工知能を持つロボットたちの力が期待されています。