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2017年3月28日、IBM Cloud Object Storageの新価格体系が発表されました。
これにより、IBM Cloud Object Storage(ICOS)はAmazon S3やMicrosoft Azureに対して価格面でのアドバンテージを持つことになりましたが、これは単なる価格競争で優位を目指した施策ではありません。
蓄積されていく大量の非定型データを、コグニティブ・コンピューティングやアナリティクスといったサービスと連携させることで、ビジネス上の競争優位を築く。その土台としてクラウド・ストレージを位置づけ、利用ケースに適した、わかりやすくて安価な価格体系を展開することで、こうした次世代のビジネス・ソリューションへの移行を進めようというIBMのクラウド戦略がその背景に見て取れそうです。
以下にご紹介するティム・コウナディス氏のブログを読むと、こうしたIBMの戦略が垣間見えます。

”Changing the rules of storage” written by Tim Kounadis (2017年3月20日)

何十年という時を経て、私たちはストレージの達人になりました。技術進歩、ファイル横断的アプローチ、ブロックおよびオブジェクト・ストレージを使って、私たちは常に増え続けるデータやコンテンツを蓄積するための新しい方法を見つけてきました。
個人的な領域でもプロフェッショナルな領域でも、クラウドの採用が当たり前になり、今や私たちは見かけ上無限のデータを蓄積することができます。
そして、クラウド・プロバイダー各社は、ストレージに対するありとあらゆる要求を満たすために、オプションとモデルを常に増やし続けてきました。しかし、それは複雑さを伴います。とりわけビジネスでそれを考えた場合、ストレージに対する要求を単一の視点で捉えきることはできません。組織には次のような広範な要求があります。

  • データやアプリケーションがデータセンター内にある必要があるのか、あるいはクラウドを活用することができるのか。
  • データはホットなのか、すなわちクラウドやモバイル・アプリケーションから頻繁にデータにアクセスすると予想されるのか。あるいはデータはクールなのか、すなわちデータへのアクセス頻度は高くはないと予想され、実際にはデータをバックアップまたはアーカイブするのか。はたまたデータはコールドなのか、すなわちデータにアクセスする必要が潜在的にないと予想されるのか。

これらはすべて、将来におけるデータおよびその使用パターンについてほぼ絶対的な確信が持てることを前提にしています。もし1つのアプリケーションとそれに関連する5ないし10個のデータセットについて論じているのであれば、これは可能かもしれませんが、多種多様なアプリケーションを支える何千兆バイトものデータについて考えているとしたらどうでしょうか。
図1.典型的なクラウド・ストレージの価格モデル

クラウド・ストレージを有効活用した場合でさえも、これまでは判断を誤ってもコストが高くなることはありませんでした。図1は代表的ではない(実際あまり複雑でない1つの)クラウド・ストレージの価格モデルです。このモデルでは、将来どれだけの量のデータを蓄積し、データがホット、クール、コールドのいずれであるかを予想する必要があります。こうして、複数のリージョンのうちのどれをストレージとして選択するかという複雑さに加え、その他の複雑さがとてつもなく増します。
これは複雑さとリスクを生じます。CIO、CFO、ITアーキテクトあるいは開発者にとってさえ「複雑さ」や「リスク」という言葉は聞いて心地の良いものではありません。
図2.IBM Cloud Object Storage Flexの価格(暫定価格。最終価格は利用可能時に発表)

私たちはIBM Cloud Object Storage Flex(以下、FLEXという)を使い、異なるアプローチをとりました。私たちは「そもそも、なぜ私たちはストレージ“ティア”を持っているのか?」という単純な問いを立てるところから始めました。確かにティアは将来の使用パターンについてほぼ絶対的な確信がある場合には素晴らしいものです。しかし、今日のビジネスは不確実です。ビジネスチャンスは束の間です。FLEXはデータの使用パターンが予測不能あるいは決定不能といった状況に理想的なソリューションです。FLEXは伝統的なティアによる価格モデルという支障なしに、ビジネスで直面する不確実性に対処します。そしてこの400以上の特許によって支えられている革新的技術は、私たちのトップコンペティターたちよりもずっと低価格で提供されているのです。
図3.IBM Cloud Object Storageとの比較(注)

図3は、社内での分析結果を示しています。データはホットで、すぐにアクセスできる必要がある月の場合、FLEXは500兆バイトで24%近く、5000兆バイトで22%もAWSストレージ・オプションよりも安価なのです。
データがコールドで、頻繁にアクセスしない月の場合、FLEXは何と53%も確実に安価になります。
マイクロソフトのAzureについてはどうでしょう? データがホットの場合、500兆バイトで約25%、5000兆バイトで23%近く安価であり、データがコールドの場合75%安価なのです。この種の数字はあなたの興味を惹くはずです。
しかし、これに影響を及ぼしているもっと大きなビジョンがあるのです。
私たちは、FLEXのシンプルで無駄のない価格体系で、お客様が単にデータを蓄積する世界から、先進的なコグニティブ・コンピューティングやアナリティクス・サービスを使って洞察を得るために、思いのままにデータをもっと簡単に使える世界に極めて容易に移行できるようにしようとしています。蓄積された大量のデータに対して、迅速にコグニティブ・コンピューティングおよびアナリティクスを適用できるというのが私たちのビジョンです。あなたはコンマ何秒かでデータにアクセスでき、データは99.999999999%の信頼性で保護されます。そして、それは既に準備が整っているのです。これに対するユースケースは魅力に満ちたものです。そのほんのいくつかをご紹介します。

  • ゲノミクスと研究 - あなたは稀な病気を治療するためにゲノムデータを蓄積しているとします。大量のゲノムデータを収集したとき、それをFLEXにアーカイブします。何千兆ものコンテンツに対しWatsonビジュアル・レコグニションを実行するためにそのデータにアクセスする必要があるとき、あなたはFLEX、IBMクラウド、Watsonプラットフォームを使ってそれを容易に実施でき、途方もないペナルティを払うことはありません。
  • エネルギー探査とアナリティクス - あなたは世界中の探査リングから地震探査データを蓄積しているとしましょう。あなたはそのデータをアーカイブしていますがSPARKを使ってそれを気象データとマージするために迅速にオンライン状態にしたいという要望を持っています。FLEXを使うことで、必要なときにデータは保護された状態で安全なままそこにあります。
  • 製造業 - あなたは最新の工場をオンラインにしたばかりで、自動化により大量のIoTデータが生み出されており、あなたはそれをワークフローや生産量の改善のために収集し、利用したいと思っているとします。このデータは長期の研究に必要ですが、あるものは処理のあるサイクルの期間中きわめて活動的であるかもしれません。より効率的に製品を製造するのを助けてくれるこうした極めて変動の大きいワークロードに対してFLEXは完璧なソリューションです。

確かなことが1つあります。それは、将来は不確実だということです。私たちは蓄積した大量のデータをどのように使うことになるのか本当に知らないのです。しかし、次のようなことは確かに知っています。

  • 99.9999999%のデータ安全性が必要
  • リージョンの停電に対する保護対策が必要
  • 必要な時にデータにアクセスできること。そして、コールド・ストレージからデータをオンライン状態にするまでに何時間あるいは何日もの遅延は許されない
  • コスト管理をしたいと思っている
  • データおよびコンテンツは、コグニティブ・コンピューティングおよびアナリティクスと一緒に使うことで競争優位に立つのを手助けできる重要な構成要素である

FLEXに加えて、私たちはIBM Cloud Object Storageファミリーを拡張し、付加価値を加える多くの他のオファリングを発表しました。

  • IBM Cloud Object Storage Cold VaultおよびVaultはBluemixからデジタル配信で現在入手可能です。これら2つのオファリングはそれぞれ長期間のアーカイブおよび頻繁でないアクセスに対して理想的なソリューションです。
  • IBM Bluemix Garage経由のIBM Cloud Object Storage。世界中のIBM Bluemix Garageは、魅力あるアプリケーションを作るためにオブジェクト・ストレージが、IBM Watsonやクラウド・プラットフォームとどのように連携できるかということをお客様が調査するためのユニークな空間を提供します。

NetApp統合。AltaVaultバックアップはワークロードをIBMクラウドにシームレスに拡張することにより、エンタープライズ・ハイブリッド・クラウドの採用を加速します。IBM Watsonコグニティブ・コンピューティングを通じてデータの価値を最大限に高めるために、お客様がNetAppデータ・ファブリックを活用できるようにします。

----------(注) 図3の比較条件は以下のとおりです ---------------------------
対AWS
IBM Cloud Object Storage Flexクロスリージョン vs
1) S3 “ホット”: 米国西オレゴン(“レプリカ”)のS3低頻度アクセスバケットへのクロスリージョン複製ありのAWS米国東部(“プライマリー”)内の標準バケット。
2) S3 “クール”:米国西オレゴンのS3低頻度アクセスバケットへのクロスリージョン複製ありの米国東部内のS3低頻度アクセスバケット
すべてのS3アクセスは“プライマリー”バケットを通じておこなわれるものと仮定。
価格は2017年3月6日時点での米国Amazonのリスト価格および公表済みの2017年4月に利用可能予定のIBM Cloud Object Storage Flexの価格に基づいています。価格にはストレージ容量、API操作、クロスリージョン・データ複製課金(S3のみ)が含まれています。
価格比較にはアウトバウンドのインターネットデータ転送料金は含まれません。使用量ベースの料金比較は特定のワークロードを仮定しています。実際の料金はワークロード、ストレージ容量、オブジェクトサイズ、データアクセスパターン、ストレージ・ティア、冗長オプション、その他の要素によって変動します。
当比較による価格は以下のワークロードの仮定の下に算出しています。
  • 5%の小オブジェクトと95%の大オブジェクトの混合サイズ、平均オブジェクトサイズ:小オブジェクト=3MB、大オブジェクト=275MB
  •  月間アクセスパターン:
-  “ホット”:80%を読み込み、50%を書き出し、5%をリスト出力
- “クール”:10%を読み込み、50%を書き出し、5%をリスト出力
- すべてのオブジェクトは30日間保持されると仮定

対Azure
IBM Cloud Object Storage Flexクロスリージョン vs
1) 東部US 2(“プライマリー”)内のAzureホットGRS
2) 東部US 2(“プライマリー”)内のAzureクールGRS。
価格は2017年3月6日時点のAzure USプライスリストおよび公表済みの2017年4月利用可能予定のIBM Cloud Object Storage Flexの価格に基づいています。価格にはストレージ容量、API操作、データ複製課金(Azureのみ)が含まれています。
価格比較にはアウトバウンドのインターネットデータ転送料金は含まれていません。使用量ベースの価格比較は特定のワークロードの仮定に基づいています。実際の料金はワークロード、ストレージ容量、オブジェクトサイズ、データアクセスパターン。ストレージ・ティア、冗長オプション、その他の要素により変動します。
当比較の価格は以下のワークロードの仮定に基づいています。
  • 5%の小オブジェクトと95%の大オブジェクトの混合サイズ、平均オブジェクトサイズ:小オブジェクト=3MB、大オブジェクト=275MB
  • 月間アクセスパターン:
- “ホット”:80%を読み込み、50%を書き出し、5%をリスト出力
-  “クール”:10%を読み込み、50%を書き出し、5%をリスト出力
- すべてのオブジェクトは30日間保持されると仮定

■関連リンク
  • IBM
IBM Cloud Object Storage
  • Amazon
Cross-Region Replication (英語)
Amazonシンプル・ストレージ・サービス(S3)よくある質問
Amazon S3 価格体系
  • Microsoft
Azureストレージ価格体系 (英語)
Azure Blobストレージ:ホットおよびクール・ストレージ・ティア (英語)