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2016年11月、世界最大手の航空会社であるアメリカン航空と戦略的クラウド・パートナーシップを結んだIBM。両社のパートナーシップ・チームはアメリカン航空のウェブサイト(aa.com)、モバイル・アプリケーション、空港キオスクなどのクラウド移行を次々と実施しています。

ニュースリリース:2017年7月3日 アメリカン航空、クラウドによるグローバルな変革に向けIBMと提携

この大規模プロジェクトを担当しているIBMコーポレーションのカイル・ブラウン氏が来日。2017年7月12日、日本IBM 本社事業所(東京)において『デザイン思考とクラウドで始める企業イノベーション』と題したセミナーが開催されました。

▼ IBMコーポレーション クラウド部門技術理事、クラウド・アーキテクチャー担当CTO、カイル・ブラウン(Kyle Brown)氏


すべてを一新するためのGarage Method


ブラウン氏: 当初は、IaaSへの単純なリフト&シフト型の移行をしたいのだと思い込んでいました。しかし、お客様が必要としていたのはPaaS上で動作するクラウド・ネイティブのソリューションだったのです。アメリカン航空のウェブサイトは、15年前に作られたモノリシックなもの。だれも理解できないレガシー・コードが含まれており、拡張が困難でした。さらに契約していたホスティング・プロバイダーはハードウェア・プラットフォームの寿命を迎えようとしていました。

IBM Cloudでは、ベアメタル・サーバー仮想サーバーのいいところを組み合わせて使うことができるので、従来型アプリケーションの稼働環境としてベアメタルをカスタマイズしたり、低コストで世界中のデータセンターにサーバー環境をスピーディーに配置したりすることが簡単にできます。 そのため、ブラウン氏も当初は、従来からあるアプリケーションをどのように「クラウド化」するかという考えでいたようです。
しかし、両社のパートナーシップ・チームが採用したのが、新しい「IBM Garage Method」でした。クラウド・ネイティブのマイクロサービス・アプリケーションをアジャイル開発するためには、この手法を選択することが必然だったということです。

▼ カルチャーの共有と革新的なソリューション構築に欠かせない「Garage Method」

Garage Methodとは「デザイン思考」(ユーザー体験を劇的に向上させるアイデアやユースケースを創出)、「リーン・スタートアップ」(仮説に基づいて実用最小限の製品MVP = Minimum Viable Productを迅速に構築)、「アジャイル開発」、「DevOps」および「クラウド」に関するベスト・プラクティスを結合し、革新的なソリューションを提供する手法のことです。

ブラウン氏: この中で最も重要なのはデザイン思考です。ユーザーを理解し、その期待に応えることが、アメリカン航空のイノベーションの核になると、パートナーシップ・チームは考えました

▼ 4週にわたる要求調査プランで、今回のクラウド移行にあたっての要求が明確に

▼ アイデアやコンセプトが実現できるか確認していくPoC = Proof of Concept(概念実証)。

▼ 両社から1名ずつがスクワッド(仲間)を組む


アーキテクチャーの基本原則が固まった


このプロジェクトを進めるなかで、何度もPoCが行われ、新しいアメリカン航空のアプリケーションに関する基本原則が固まっていきました。

  • クラウド・ネイティブ・アプリケーションとして構築
  • Cloud Foundryにホスティングする
  • レスポンシブWebデザイン手法を使用
  • マイクロサービス・アーキテクチャーであること
  • クラウド上に恒久的なデータ・ストレージを置かないこと
  • 有用な場合、Bluemixサービスを採用(継続的デリバリー、気象データ、Compose for Redisによるキャッシュの実装など)
  • 可能な限り、オープンソース・インターフェイスを使用
  • オープンな連携型セキュリティ・モデルをサポート


オペレーションもインシデント管理も変わる


従業員のオペレーション(働き方)にも変更が求められます。人員が不要になる、あるいは人員が必要になる部署が発生するなど、チームはクラウド・ネイティブ環境でオペレーションがどう変化するか理解する必要がありました。

ブラウン氏: インシデント管理も変化します。オンプレミスは静的で、サーバーは固定されているのですが、クラウドは常に変化する動的なもの。全く違います。ウェブサイトに起こるさまざまなトラブルに対し、管理・監視・分析システムを構築したり、未知のものに対しては人が対応したりする必要があります。インシデント管理において重要なのは問題の兆候をつかみ、再発を防止すること。これを自動化し、ソリューションとして登録していく作業が必要です。ここで役立ったのがサードパーティのSlackというチャットによるコラボレーションでした

▼最終的なIBMインシデント管理ツールチェーン

プロジェクトの最初の成果物である「Dynamic Reaccom」は、IBM Bluemix上でこの7月に稼働開始。「Dynamic Reaccom」は、少し背伸びした革新的なプロジェクト。フライトのキャンセルや遅延が生じた場合に、さまざまな対応をしてくれる顧客視点のサービスです。

▼ ビジネス、ITの両面からシステム構築までの具体的なアプローチと方法論が紹介された


もうウォーターフォールでは勝ち残れない


最後に、同氏はアメリカン航空との協力関係の成功は以下の3つの要因に基づいていることをまとめました。
  1. デザイン思考、アジャイル開発など、Garage Method をお客様に提供したこと
  2. IBM GBS(グローバル・ビジネス・サービス)とともに、クラウドや大規模プロジェクト実施の専門知識を提供したこと
  3. お客様自身が、既存のテクノロジーやオペレーション、そして組織の改革に積極的であったこと

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このグローバル事例と同じような開発プロセスを進めるにあたって、最も重要に思われたのがGarage Method。なかでも顧客に最大限の満足をもたらす「デザイン思考」こそが、企業に競争力を与え、変革への大きな力になると確信したセミナーでした。


関連IBM製品:
パワフル、フレキシブル、オープンなクラウド「IBM Bluemix」
グローバル規模のクラウド・インフラ「IBM Bluemix Infrastructure」
ベスト・プラクティスのための方法論「IBM Bluemix Garage Method」