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最近、自動運転車の技術としてGPUの利用が注目を浴び、GPU最大手のNVIDIA Corporation(以下:NVIDIA)の株が2017年5月に大幅上昇するなど、話題には事欠かない状況が続いているが、実はこのGPUとAIを組み合わせた認識力が金融市場の世界でも大きな変化をもたらそうとしているのだ。その状況を追ってみた。

人間を超える認識力を発揮するディープラーニング+GPU


数年前までNVIDIAといえば、AMDが開発するRadeonブランドと対抗するGeForceブランドのグラフィックボードメーカーという印象だったが、いまや車載用高性能プロセッサのマーケットリーダーに躍り出る勢いとなっている。本来、自動運転のために大量のカメラ映像を分析するディープラーニングは膨大な計算量が必要になるわけだが、NVIDIAの製品はスーパーコンピュータもスマートフォン用プロセッサも同じアーキテクチャで設計され、このプロセッサが大きな能力を発揮するようになり、もはや自動運転車の世界では他を圧倒するポジションを確立しようとしているのだ。NVIDIAはGPUの改良により、ディープラーニングの性能を2013年から2015年で50倍高速化に成功しており、このGPUは今後数年でさらに10倍程度の高速化できることが期待されている。

これまでの自動運転を前提とした画像認識は、その認識対象ごとに異なるアルゴリズムを必要とし、歩行者や道路認識などはあるかないかという判定しかできなかった。ところがディープラーニングによる認識では、単一のDNNが様々な対象物とその属性まで認識し、クルマの影にかくれた歩行者さえ認識することができるようになっているのだ。

金融市場の世界でもこの組み合わせが投資に力を発揮する時代が到来

自動運転車の技術へ多様が期待されるAIによるディープラーニングとGPUの組み合わせだが、実は金融市場の投資の世界でも驚くべき力を発揮しようとしている。現状で株式相場の取引において大手の米系証券会社では、ほとんど人間のファンドマネージャーをおかずにアルゴリズムがインデックスベースの取引を行うようになっている。そして、FXなど相場がつねに上下してボラティリティの激しい相場に、このAIとGPUによるアルゴリズム投資が本格的に実用化されようとしているのだ。

これまでも相場のローソク足の形で似たものをコンピュータが探して、相場の先行きを予測するというソフトは存在した。10年ほど前までは専門のコンピュータで分析を行っていたものが、いまやネット上で簡単に見られるようになってきている。このチャートの形態認識を、さらに精密なAIによるディープラーニングとGPUによって分析することをアルゴリズムだけで投資を行っていくという動きが顕在化しているのだ。チャートというのは、どんな分析手法を使っても足元と過去のことしかわからないものだが、人間が行ってきた投資を細かく分析することや過去のほとんど同じチャートと取引条件などを照らし合わせることで、将来的な相場の行方がかなりの確率で予測できるようなるというのだ。クルマの自動運転で前方に広がる視界と同じような分析で先行きを相当な精度の高さで実現が可能なるというから驚きだが、その程度はベテランのファンドマネージャーの判断を完全に上回りつつあるという。

人間のファンドマネージャーは消える可能性大

これまでは株も為替も債券も、ファンドマネージャーといえば業界の知見と経験を積んだプロが対応する世界であったわけだが、こうなるともはや人が出る幕がなくなりそうな気配だ。ディープラーニングとチャートの画像認識は、人の判断を越える形で投資取引を可能にする時代がもうすぐそこまでやって来ようとしており、米系の大手証券会社での導入はもはや目と鼻の先になりつつあるようだ。AIが人の仕事を奪うことになるのかどうかという議論が高まっているなかで、こうした特別な領域についてはAIが人の裁量取引を凌駕する時代がいよいよ迫ってきている。