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4/27-28に開催されたIBM Watson Summit 2017より、セッション『日本医療データセンターがAPI公開で目指す健康増進ビジネス変革』の模様をレポートします。

匿名化されたレセプトや検診データを活用


スピーカーは、株式会社日本医療データセンター(以下、JMDC)健康年齢プロジェクトのディレクター久野芳之氏。
JMDCはレセプト(診療報酬明細書)、健康診断、健康保険加入者台帳などの医療ビッグデータをデータベース化。90以上の健康保険組合からなる調査対象となる累積母集団数は、約390万人(2016年10月時点)、さらに健康保険組合の加入者台帳も保有しています。
この完全匿名化した日本最大規模の疫学データベースを基に、さまざまな医療統計サービスを展開しています。

▼ 株式会社日本医療データセンターの久野氏

久野氏: 「レセプトがない、つまり健康な方のデータもあることが重要です。そこには、さらに喫煙しているかなどの問診データも含まれます。また、私たちの特徴は、患者軸でデータを見ることができることです」


患者軸の時系列分析が新しい保険商品を生む


JMDCは保険加入者個人がいつ病院やクリニックを受診したか、健康診断を受けたか、どういう治療や投薬がなされたかなどのデータを収集し、「患者軸の時系列分析」を実現することによって、保険引受基準の最適化を行い、引受の拡大を実現してきました。

久野氏: 「たとえば、昔は既往症があると入れなかった種類の保険も、発症率などをきちんと追跡把握することで、引受可能か再検証し、今は入れるようになった保険商品もあるのです」

▼健康増進プログラムでは、対象者をリスク別に層別化。健診受診促進、生活習慣改善、受診勧奨という対策をとることが可能になる


久野氏: 「みなさん、健保組合から来た封書、開封します? しませんよね。多くの人は健康が当たり前で、不健康になってはじめて気づくんです。また、ごく一部の人は、健康に対する意識が高く、いろいろな行動を始められるのですが、明確な効果がわからず、長続きしない、そして脱落してしまうのです」


健康状態を見える化し、行動変容につなげる


そこでJMDCが開発したのが「健康年齢」という指標。「健康年齢」とは、健康診断結果から、その人に1年間にかかる医療費を予測し、それが何歳相当のものであるかを表したものです。血圧、血糖、中性脂肪、コレステロール、肝機能など、12項目から健康年齢を算出。これによって個人や組織、部署・本支店・入社年次ごとの健康状態が見える化できます。

久野氏: 「同年代と比べて、自分はどうなのか。また、経年変化もわかります」

▼ 12項目の健診データで健康年齢を知ることができる。2017年4月からサービスの提供を開始


▼ ここに使われているのが160万人超のレセプト・健診データを基に開発した「健康年齢算出エンジン」というAPI


▼ 2016年6月には、実年齢ではなく健康年齢で加入できる「健康年齢連動型医療保険」が発売された


医療保険のほかにも、「Pep Up」というヘルスケアのアプリケーションでは、健康のためのアクティビティを推奨。フィットネスジム、ヨガ教室などに特別価格で参加できます。また、ポイントをヘルスケア関連商品と交換するなど、インセンティブが付与される仕組みをさまざまな業界とつくろうとしています。

▼ 健康増進の実現のためにはさまざまなサービス提供事業者との連携が必要


API公開で他業種と連携を強化


JMDCは「健康年齢算出エンジン」というAPIを2017年4月に公開。API基盤の比較検討を始めたのが2016年7月からなので、わずか9か月でのプロジェクトでした。API を公開するまでには、API の作成、実行、管理、保護というライフサイクルがあり、各プロセスで以下のような課題があります。

  • 健康情報取り扱いに耐えうる「セキュリティーレベル」
  • さまざまな予測モデル公開に向けた「拡張性」
  • 多種多様なサービスとの「スムーズかつスピーディーな連携」

このような課題を解決するため、IBM ではAPI の作成ツールと実行環境、強力な管理と保護を実現する製品を統合し、API公開に関わるすべての作業を包括するワンストップのソリューションとして「IBM API Connect」を提供しています

久野氏: 「健康年齢の場合、IBM API Connectを採用しましたので社内スタッフは企画など、クリエイティブな部分に専念することができました。見える化すること、最適化すること、予測することをAPIが担って、私たちはデータの価値を最大化。今後は提携企業が健康年齢APIを使って、想像以上のサービスを生みだしてくださるかもしれません」

▼ 従来のシステムと、クラウド、モバイル、APIなどの新しいシステムを、高度なセキュリティーでつなぐゲートウェイ「IBM DataPower Gateway」と「IBM API Connect」


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APIはビジネスを連携させるハブ機能として期待されています。JMDCの「健康年齢算出エンジン」もそのひとつ。IBM API Connectが、企業のAPIエコノミー参画のハードルを下げ、健康増進ビジネスの拡大に貢献しているようです。
API公開はオープン・イノベーションの第一歩だという認識が徐々に広まっています。

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