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テクノロジーの進化につれて、ロボットと人間の関係性についても議論が深められ、様々なロボットのあり方が模索されています。
ロボットとの関係性はどのように変化してきたのでしょうか。


自律して動くロボットだけでいいのだろうか?

従来は産業用のロボットが主流でした。決められたことを決められた通りに速く正確にこなすことが求められ、実際に生産性向上に貢献してきました。ロボットは人間にとって苦痛を感じる仕事を肩代わりしてくれ、代わりに人間に喜びを感じる仕事を与えてくれたともいえます。

現在ではホテルのレセプションや百貨店での接客などにもロボットが登場。人間により役立つように、ロボットに自律的な働きを求めていった結果、省力化だけではなく、人間によりよい提案をしてくれる存在になっています。

自律的な働きを求めれば求めるほど、ロボットの世界は人間を介在せずに完結する方向に向かっていきます。そんな中、ロボットが人間とは別の世界を作っていくことは正しいのだろうか?という議論が進んでいます。

人と共に働く産業ロボットへ

産業ロボットも変化しています。人間の近くで作業し、人間と協調して作業するロボットの開発が盛んに行われるようになりました。人の動きを察知して安全に作動することで、今までロボットを設置できなかったスペースでも働くことができます。ロボットが決められたスペースに隔離されて働くのではなく、ロボットが人間と仕事仲間になることを目指しています。

また、今までは人の役に立つ「強いロボット」が求められてきました。そのアンチテーゼとして、対ロボットとの会話や振る舞いから、ロボットと人間の関係を深めていく形も模索されています。

人とロボットが慕い合う関係へ

豊橋技術科学大学教授の岡田美智男氏は、あえて人の役に立たない、人が手を差し伸べて始めて動く「弱いロボット」を提唱しています。岡田氏の開発した一つ目のロボット「Muu(む~)」は、文字通り「む」という言葉しか発することができません。人間におずおずと話しかけるその姿は、弱々しくなんだか頼りない雰囲気を醸し出しています。これが人間の持つ“弱い人を助けてあげたい”という気持ちを引き出すのです。

岡田氏は以下のように疑問を呈していて、弱いロボットが存在することの重要な意味を提示しています。

“私たちがモノを作るとき、なんの役に立つのかを評価の指標にすると、作り手はその指標に向かって最適化しようとしてしまいます。そして、その目的からほんのちょっとでもずれると、それは役に立たないモノになってしまう。それはなんだかイヤだなと思うのです。”

“ゴミ箱ロボットは、なんだか頼りないしゴミを見つけても自分で拾うことはできません。つまり、周囲をきれいにするという目的に対して最適ではありません。でも、周りの人が助けてあげたいな、ゴミを入れてあげたいなという気持ちになる。そういう関係性の中で、ロボットの役割や機能が自然に立ち現れてきてもいいと思うのです。そうした場は人の優しさや共同性を引き出すものでもあるんですね。”

引用元:豊橋技術科学大学 岡田美智男 教授インタビュー - つながるコンテンツ -| researchmap リサーチマップ

難病を抱える患者の分身となるロボット

一方でキャラクターを取り払った分身としてのロボットも生まれています。「OriHime(おりひめ)」は、「会いたい人に会いに行く」というコンセプトのもと開発されており、入院や単身赴任などで家族や友人と会えないときの寂しい気持ちを癒してくれるロボットです。OriHimeにはマイク、スピーカー、センサーが付いており、家や会社など“行きたいけれど様々な事情で行くことができない”場所にOriHimeを派遣することで、インターネットを通して遠隔操作し離れている人とコミュニケーションを取ることができます。OriHimeがあれば、病気や育児で会社や学校に行けないという人でもまるでその場所にいるかのような感覚でコミュニケーションが可能ですし、遠方で出席できない結婚式などにもOriHimeが参加して気持ちを伝えてくれます。

新しいバージョンには「OriHime eye」を搭載。従来の透明文字盤をデジタル化し、視線の動きを検知するセンサーを搭載。視線の動きに合わせて入力したい文字が寄ってきてくれるような仕組みとなっています。また、OriHimeを通してボディランゲージを交えたり写真を撮ったり、好きな方向を見ることも可能です。透明文字盤のユーザーがすぐにでも使えるような簡単な操作性にこだわって作られていて、従来よりも速いスピードで日常会話ができる、と患者・介護者双方から好評の声が挙がっています。
重度の病気に苦しむ患者が自由に外に出て様々な人と出会い、多くの体験を楽しむことができる可能性を秘めていると、注目のOriHime eye。
オリィ研究所所長の吉藤健太朗氏はOriHimeのコンセプトに至るまでに、以下のような考え方の変化があったと述べています。

“孤独の解消という課題はテクノロジーだけでなく、何より人間同士のコミュニケーションによって解決するべきだと思うようになりました”

引用元:オリィ研究所 吉藤健太朗--課題解決型ものづくりのポイントは短期間のプロジェクトを一人で始めること | fabcross

OriHimeのつかいかた(OriHime - How To Use)|YouTube

このように見ると、ロボットと人間の関係は単なる主従関係から脱皮しようとする流れがあるように見えます。
お互いに思いやり慕い合う関係のものから、人間のコミュニケーションをサポートするツールになっていくものもあり、ロボットがある意味「人間の召使い」というイメージから、共に生活していくパートナーのような関係に変化しつつあるように見えます。人間とロボットの関係はどのようにしたらよりよい未来が開けるのか、模索は続きます。

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