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災害現場や被害現場において、また、傷病者を医療機関に搬送する過程において、迅速かつ的確な診断を行うことが傷病者の救命率向上や治療後のQOL(生活の質)を維持するために最も必要なことの1つであることは間違いありません。今回は緊急時医療に活用されるIoTや、電力が不充分な現場においても利用できる小型医療機器の中で、日立製作所が提供している『MRI故障予兆診断サービス』について取りあげます。その必要性とサービス内容についてご紹介いたします。


MRI故障予兆診断サービス(日立製作所)

引用元:ニュースリリース:2015年9月11日|日立

日立製作所(開発当時は日立メディコ。2016年4月1日から日立製作所に統合された。)では、超電導MRI装置に取り付けたセンサーデータにしきい値を設定することで、故障の予兆を故障発生の数日前に感知するシステムを開発してきました。しかし超電導MRI装置においては、仮に数日前に故障発生が予測できたとしても、部品を交換して安定した状態を保つことが難しく、結局は故障が発生してから部品を交換することになってしまうケースが大半となっていました。また、日々集積されるデータが多すぎることや、医療機関によって設置環境や使用状況が異なるといった状況も、数日前の故障予知でも修理が遅れてしまう原因になっていたのです。

そのような状況を打破するために開発されたのが、2016年10月1日にサービスの提供が開始された『Sentinel Analytics』です。Sentinel Analyticsでは、日立の予兆診断技術とビッグデータ分析関連ソフトウェアを活用し、超電導MRI装置の冷凍機の状態を監視します。これにより、数日前ではなく数か月前に超電導MRI装置の故障予兆をとらえることが可能になりますので、故障発生までに時間的余裕を持つことが可能になります。
全面的にサービスが提供される前に実施された試験的導入においては、超電導MRI装置のダウンタイムを従来のシステムより16.3%低減させることに成功し、今後の故障予知サービスの提供において明るい未来を予感させることになりました。

 傷病者、医療機関双方の負担軽減に

傷病者にどのような治療が必要かを正確に見極めるために、各医療機関では超電導MRI装置による検査を実施することが少なくありませんが、非常に高額な医療設備であるため全ての医療機関に導入されているわけではありません。1台が故障してしまうと検査自体が遅れてしまい、傷病者の治療が遅れることになるだけでなく、生命の危険が高まってしまうことにもなるのです。
また、突然の故障は医療機関にも大きな影響を与えてしまいます。救えるはずの患者を放置してしまうという重大な事態に加え、緊急時の修理は通常のメンテナンスに比べて費用が高額になってしまうため、金銭面からも大きな打撃を受けてしまうのです。国は、安全性を確保するために、医療機関に対して医療機器や医療設備の点検を定期的に行うことを義務付けています。もちろん、医療機関で勤務する職員が専門的な点検を実施することはほぼ不可能ですので、多くの医療機関は医療機器メーカーに保守点検を委託して定期点検を実施することになります。長年の経験から機械の故障を事前に予測することができる人も少なからず存在しますが、そのような特別なエキスパートは全国規模で見るとごくわずかですので、ほとんどの場合において故障が起こってから対応し、傷病者と医療機関側に多大な負担がかかってしまうというのが実情です。

こうした様々な懸念に対する打開策として発表されたSentinel Analyticsのようなサービスが、今後様々な医療機器に対応していくことで機器の故障のリスクを事前に回避し、結果的に多くの人々の命を救うことができるようになることが期待されます。

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