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B Dash Ventures主催の招待制イベント「B Dash Camp 2016 Fall in Sapporo」(2016年10月17日~18日)。18日のセッション『どのように空気を作ったか ベイスターズ流マーケティングの裏側』には、横浜DeNAベイスターズ社長を前々日に退任したばかりの池田純氏が登壇しました。

■モデレーター 菅原健一氏(スマートニュース株式会社 ブランド広告責任者)
■パネラー 池田純氏(元・株式会社横浜DeNAベイスターズ 代表取締役社長)

池田純氏プロフィール
住友商事、博報堂を経て、2007年DeNA入社。執行役員、NTTドコモとのジョイントベンチャー、エブリスタ初代社長を務め、2011年12月より横浜DeNAベイスターズ 代表取締役初代社長。2016年10月に退任。

▼セッションに先立ち、主催者から池田氏に契約満了お祝いの花束が贈呈された

主催試合来場者数約194万人(79%増|DeNA参入前との比較)など、記録的な数字を残した2016年シーズンの横浜DeNAベイスターズ。5年前、閑古鳥が鳴いていた横浜スタジアムは連日連夜、大盛況。また、初進出したクライマックスシリーズ・ファーストステージでは2位の読売ジャイアンツの本拠地、東京ドームをそのチームカラーである青で染めてしまいました。

▼今季、横浜DeNAベイスターズは、ついに黒字化を実現

青一色に染める、ハマのパワー

TBS傘下の11年間で8回も最下位という辛酸をなめたのち、横浜ベイスターズはDeNAが買収。しかし当初は、モバゲーの宣伝がすべてでは? と球団職員もファンも疑心暗鬼になっていました。実際、初代の春田真オーナーは「ベイスターズを買収したのは、DeNAの認知を広げるため」と明言。ファン離れが心配されていました。

一方、今回登壇した池田元社長はあくまでもプロ野球球団として独立健全経営を実現するため、あらゆる施策を行うと主張。つねに革新的、挑戦的で、「カッコいいブランドになりたい」という思いや「横浜に根づき、横浜と共に歩む」という決意が、徐々に横浜市民に受け入れられていきます。そして、5年目の2016年シーズン、池田元社長は約25億円あった赤字を解消しました。

池田氏:ファンの力はすごいんです。クライマックスの巨人戦のように、情熱におされて有り得ないパワーがでるんです。スポーツビジネスで経営サイドができることは「地域の中で熱狂の渦をつくること」です。そこにこそ「大義」があります。
ハマスタのTOB(株式会社横浜スタジアムの友好的TOB|2016年1月)には、地元の方々との粘り強い交渉が必要でした。横浜と共にというわれわれの大義を理解してもらうことができたのだと思います。

ねずみ色の水槽に放たれた金魚

菅原氏:本セッションのテーマ、そして池田さんの著書のタイトルでもある「空気のつくり方」とは、たとえばどんなことですか?

池田氏:まず1年目2年目はひとりで奮闘する感じです。最初は自分の情熱で引っ張るしかない。その時の空気というのは自分の刺々しい空気です。その後、徐々に自分しかできないこと以外は、社員にどんどん任せていく。社員は成長し、いい結果が生まれ、それに対して報酬をだせば、会社は自然と好循環していきます。選手が年俸にこだわるのと同じです。報酬がやる気の象徴のようになるんです。

菅原氏:当初は「どよん」としていたのですか?

池田氏:DeNAになって3シーズン後、ある女性社員に最初の頃は「ねずみ色の水槽に金魚が泳いでいるようでしたね」でしたと言われました。

菅原氏:よどんだ水の中でアップアップしていたんでしょうね(笑)

ラミレス監督から教わったこと

池田氏:ラミレス監督に言われたのですが、野球はボクがコントロールすべき仕事。野球以外は池田さんのやる仕事。海の向こうのドライな考えですが、役割や責任の分担を明確にすることは組織にとって、とても重要です。
また、私はベンチマークを巨人だ、阪神だなんていったことが一度もないんです。FCバルセロナ、ディズニーランドだといえば、社員のモチベーションがあがるんです。大きな目標を立て、その60%ぐらいを達成するつもりのほうが仕事はやりやすいですしね。
今年、ブラジルに行ってジーコ氏にあったんです。プロは勝ちを求めるべきか? と聞いたところ、答えは「クオリティ」でした。あっ、そういうことなんだ。勝ち負けという結果より、努力を怠らないことが大切なんだと納得させられました。

▼お菓子、自動車、電子書籍などをヒットさせてきた池田氏

トップは恥ずかしいくらいの情熱を持て

菅原氏:組織再生のため、トップに必要なものは何ですか?

池田氏:とても恥ずかしいですが、トップは何よりも情熱です。そして、経営者がマーケティングやコミュニケーションを知っていることも大事。さらにトップの顔が見える企業は、何かアクションしたときに市場に対するインパクトは計り知れないものになります。
リアルもネットも経営という面ではまったく同じです。この会場にお集まりのIT関連の方も、IT以外の業種に進出可能ですし、熱い情熱があれば、球団を持つことだって決して夢ではありません。

▼「結局は情熱」と語る池田氏(右)

池田氏は横浜DeNAベイスターズと個人のWebサイトに発表した退任のあいさつでこう記しています。
『私は、すべてにおいて、変化し続けること、進化し続けることは必要不可欠だと考えております。慢性的な赤字体質や低迷し続けるチームから脱却し、経営と組織の再建・再生を図るのが私の役割だと肝に銘じて邁進して参りました。これから先も未来の横浜と横浜のプロ野球のために、常に変化し続ける、常に進化し続けることは必要不可欠です。』

菅原氏:いま、球団の職員たちはどう感じているのでしょう。

池田氏:今、自分がやらなきゃという活力にあふれているはず、奮起してくれるはずです。

球団と球場の一体経営、コミュニティ・ボールパーク化構想の具体化、新たな名物メニューの開発など、これらは新しい経営陣に受け継がれます。
また、チームの頑張りで幸運なバトンタッチができたと笑顔あふれる池田氏の次の行き先は、今のところ、まったくの白紙だということです。

▼ビール、ホットドックなどもYOKOHAMAらしさにこだわった(横浜DeNAベイスターズのWebサイトより)