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自動運転×ディープラーニングの実力とは?

2016年に入って現実味を帯びてきた自動運転。渋滞でうんざりしたり、長距離運転で疲れたりということが多い日本の交通事情の中で、実用化を待ち望む人が多いのではないでしょうか。
最近では、ディープラーニングの技術が自動運転の精度を高めるとして取り入れられることも多くなりました。
自動運転はどこまで進んでいるのか、そしてディープラーニングはどんな効果を発揮するのかを見ていきましょう。

自動運転のレベルとは?

一口に「自動運転」といっても意外に定義はあいまいなのですが、日本政府や米国運輸省道路交通安全局 (NHTSA)では自動運転のレベルを定義しています。

レベル0:すべて人間が制御して運転する
レベル1:加速・操舵・制御のうちいずれかをシステムが行なう
レベル2:加速・操舵・制御のうち複数をシステムが行なう
レベル3:加速・操舵・制御のうちすべてシステムが行い、システムが要請したときはドライバーが対応する
レベル4:加速・操舵・制御のうちすべてシステムが行い、ドライバーは関与しない

自動運転の現在地

それでは自動運転は現時点で実用化に向けてどのような位置にいるのでしょうか。
2016年、オランダで初めてレベル4の無人運転バスの試験運用が開始されました。これは「WEpod」プロジェクトと呼ばれるもので、デルフト工科大学がアウディやBMWと連携して、ディープラーニングを取り入れ開発したもので、ハンドルのない6人乗りのバスが公道で走行します。乗客はスマートフォンからバスを呼び出すことで、バスに乗ることができます。

一方で日本では2016年8月に、DeNA社が無人の自動運転バスの試験運行を開始しています。このバスはフランスのベンチャー企業、イージーマイル社が開発した「ロボットシャトル」で、イオンモール幕張新都心に隣接する豊砂公園の遊歩道に設けた専用レーンを走ります。日本では現時点では自動運転車は私道しか走行できず、この専用レーンも千葉市が所有しているものです。

ディープラーニングは自動運転に何故必要か?

そのような状況下のなか、ディープラーニングは自動運転のレベルを引き上げる技術として注目されています。

自動運転におけるディープラーニングの役割は「画像認識」。公道を自動運転で走らせるためには、周辺の建物、車、人などが、どの位置にいてどのように行動しているか、状況を正しく認識して正しい判断を下すことが不可欠だからです。
機械学習技術が進歩したことで、画像認識の精度は飛躍的に高まりました。ディープラーニングでは今までよりもさらに高度な判断が必要な状況下において、より適切な判断が下せます。例えば走行先にごみが落ちていたとして、それが小さなごみなのか、大きな障害物なのかといった高度な判断においても、ディープラーニングに基づいた技術の活用が見込まれています。
自動運転が拓くモータリゼーション第2幕

自動運転にディープラーニングを活用する取り組み

  • 人間のドライバーから学習する画像認識技術 NVIDIA

ディープラーニングを活用する自動運転の研究で注目されるのはNVIDIA社の取り組みです。GPUなどマルチプロセッサに強みを持つ同社は他社の自動運転のプロセスとは違うアプローチを取っています。
他社はディープラーニングの判断材料として、ミリ波レーダー、レーザーレーダーなどのセンサー情報を取得しますが、NVIDIA社ではカメラ映像のみを材料として、人間のドライバーの運転から学習して判断するところが特徴です。

 

  • 人間と同等以上の認識処理に期待 東芝

また、デンソーと東芝は両社がそれぞれ開発してきた画像認識技術システム向けのAIを共同で開発しています。ディープラーニングの仕組みを取り入れた「DNN-IP」の技術を組みこんだシステム「LSI」は、画像認識技術の飛躍的な精度向上が期待されています。東芝では名古屋大学と共同で、このLSIを使って自動運転システムの開発を進めています。
2016年10月には愛知県で公道での実証実験を開始しました。
デンソーと東芝、自動運転向けAI技術開発

2020年には自動運転タクシーの実用化を目標としている日本。普通に街で見かける日もすぐそこまで来ています。

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