Loading...

2025年問題の次は2038年問題!コンピュータの暦問題を探る(前編)

一般的に2025年問題と言うと、いわゆる団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上と言う超高齢化社会が訪れることを指しています。すでに国家的な問題となっている巨大な医療費がさらに膨れ上がり、就労者1人当たりの保険料の負担が増えるだけでなく、自治体や健康保険組合が医療費の支払いに耐えかねて破産してしまう可能性もあり、国民にとって看過できない問題だと言えるでしょう。

ですが、コンピュータ界で2025年問題と言うと、昭和100年を迎えることによって引き起こる誤作動等の問題を指しています。コンピュータにまつわる2025年問題とその後に続くとされる2038年問題について見ていきましょう。

 

ところで、2000年問題はどう解決したのか

コンピュータの誤作動と言えば、初めて世間を騒がす話題になったのが『2000年問題(Y2K問題)』ですよね。ミサイルが誤発射されたり、コンピュータの機能が停止することで世界的な大不況に見舞われたりするなどの不安をあおる流言も多く飛び交い、ちょっとした騒ぎになったのを記憶している方も多いでしょう。

コンピュータが企業や研究機関などで使われるようになった1970年代は、まだコンピュータが現在のようにほぼ全ての領域で利用されてはいませんでしたので、「一時的に利用するツール」程度の位置付けでした。つまりコンピュータを2000年以降も使用し続ける、また、コンピュータに全ての重要なデータを収納するということは想像もつかなかったため、プログラム内の日付を西暦の下2桁で表現することが多かったのです。

このような表記法ですと、1999年の次は1900年になってしまい、データベースを日付順に並べると1999年以前のデータに2000年、2001年のものが来ることになってしまいますよね。データを1つ1つ4桁表示に書き換えれば問題を回避することができますが、修正作業には膨大な時間と費用がかかり、中小企業や自営業にとっては大きな負担になったのです。

対策が早かったから?杞憂に終わった?

2000年問題に対しては多くの企業や研究所で早めに対策を取ったこともあり、特に大きな事件や事故は起こりませんでした。もちろん、すでに4桁もしくは他の方法で年を入力していたケースも少なくなく、事実上、何の対策をしなくても2000年を無事に迎えることができた会社や個人も少なくありません。また、特に日本においては、昭和から平成に変わるタイミング(1989年)に2000年問題を踏まえた日付入力に切り替えた企業が多く、トラブルなしにミレニアムを迎えることができたのです。

昭和100年を迎える2025年

現在、ほとんどの場面で和暦ではなく西暦が使用されています。しかしながら、行政関係の書類や保険・金融関係の書類は、今でも和暦が使用されていますので、関連データも和暦の下2桁で入力(昭和からの通算年で入力。例えば平成28年なら昭和91年なので『91』と表記。)していることも少なくありません。そのため、西暦の下2桁で入力していた企業が2000年問題を抱えたように、昭和100年を迎える2025年に『2025年問題』またの名を『昭和100年問題』を抱えてしまうのではと危惧されているのです。

ですが、これもすでにほとんどの企業や個人で対応済みのことが多いとされています。2000年問題が持ち上がった時点で昭和100年問題に気付き、2桁表記から4桁表記もしくは他の方法による表記に切り替えているケースが多いからです。とは言うものの行政機関や金融機関のデータやアプリケーションソフトウェアは膨大な数です。ハードウェアは定期的に更新している団体も、ソフトウェアやデータはそのまま継続使用していることが多いので、対応に相当な時間と費用がかかることが予測されるでしょう。

こちらもチェック

2025年問題の次は2038年問題!コンピュータの暦問題を探る(後編)