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国内のスマートシティ構想はどこまで進んでいるか?

「スマートシティ」という言葉を見かけるようになりました。IoTによって街全体がネットワークにつながった、スマートホームの拡大版のようなものでしょうか。国内でスマートシティ構想は、どこまで進んでいるのでしょうか。

90年代頃からあったスマートシティ構想

スマートシティとは、IoTを用いて基礎インフラと生活インフラを効率的に管理し、環境に配慮しながら継続的な経済発展を目指す都市構想のこと。街全体がインターネットでつながり、車が自動運転で走っていたりする、そんな近未来的なイメージの街です。構想自体が登場したのは意外に古く、携帯電話が普及しはじめた1990年頃です。その後、インターネットが高速化し、スマートフォンが登場。さまざまな製品が小型化し、省電力化などの技術が一気に進んだことで2010年頃から実現可能なレベルになってきました。

このスマートシティ構想は、世界中でプロジェクトが進められています。その理由としては、やはり世界的な人口爆発、それに伴うエネルギー消費の爆発的拡大、大気汚染などの環境問題、東日本大震災がキッカケとなり露呈したエネルギー供給の問題などが挙げられます。こうした問題に対して、現代の科学技術で解決しようというのがスマートシティ構想の趣旨です。

一般的にスマートシティは、省エネルギーなどがクローズアップされますが、もっと大きな広がりがあり、6つのスマートの集合体と考えられています。それが「スマートリビング(生活)」、「スマートエネルギー(環境)」、「スマートエコノミー(経済)」、「スマートラーニング(教育)」、「スマートモビリティ(交通)」、「スマートガバナンス(行政)」。要するに、生活のほとんどすべてを網羅するものですね。

スマートシティは、街全体で「環境に配慮しながら、効率や生産性を上げる」取り組みといえます。例えば、家にもAIが搭載され、生活者のライフスタイルを把握し、電気量をコントロール。こうすることで効率的に節電ができるようになります。同時に自家発電して電力が余った場合は、街にある別の家に提供すればムダがありません。また、教育や経済もビッグデータによって常に進歩し、それが行政サービスに反映されれば生活も豊かになります。SF映画の世界のようでワクワクしますね。

国内スマートシティ事例

スマートシティの事例として挙げられるのが、「けいはんな学研都市(正式名称:関西文化学術研究都市)」です。これは京都府、大阪府、奈良県の3府県8市町にまたがる丘陵地域に位置し、大学や企業、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)や国立国会図書館関西館などの研究機関が数多く立地しています。また大規模な宅地開発も進んでおり、住民を交えた実証実験が行われています。

とくに顕著に進められているのが、エネルギーの需給バランス。地域エネルギー・マネジメント・システムを確立し、エネルギー需給を効率よく管理。そして、住宅やビルなどの電力を最適に配分しています。今後は、この実験結果を東北の復興に役立てたり、海外での利用促進を目指しています。

また、千葉県にある「柏の葉スマートシティ」では、公民学の連携でスマートシティの建設を推進しています。この地域は、2012年11月に「ICT 街づくり推進事業」のモデル都市として選定。「環境共生都市」「新産業創造都市」「健康長寿都市」という3つのキーワードで町づくりを進めています。

1つ目の「環境共生都市」では、分散電源により電力を地域で融通するスマートグリッドを構築。加えて、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの利用にも力を入れています。2つ目の「新産業創造都市」では、学術・研究機関やインキュベーション施設を活かした新産業の創出を展開。3つ目の「健康長寿都市」では、予防医療を基本とする医療ステーションを設立し、健康増進プログラムの普及を図っています。

以上のように、国内スマートシティはまだまだ実験段階という感じですが、東京オリンピックが開催されるまでには、各地で大きな進歩があるものと思われます。