×
最新の人気コンテンツ情報をまとめた
メールマガジンをお届けします

ページトップへ
2016年4月13、23、24日に、今年で5回目を迎えるNASA Space Apps Challenge(以下、Space Apps)が開催されました。Space AppsはNASA主催の宇宙と地球をテーマとしたハッカソンで、NASAやJAXAのオープンデータ利用促進を図る目的で開催されています。優秀なハックはNASAの研究・開発に活かされ、やがて宇宙で実現するかもしれません。


初回は世界27都市(日本では東京のみ)での開催でしたが、昨年は世界133都市、日本国内5都市、そして今年は世界162都市、日本国内7都市で開催と、年々、その規模を拡大しています。
各都市の優秀作がグローバルの審査にノミネートされ、ビデオ審査を経て最優秀作が決定されます。今回は、19チームが参加した東京開場を取材しました。

Input Dayは、「ワールドカフェ」でアイデアワークショップ

「Input Day」と称するアイデアソンは4月13日夜に行われ、「ワールドカフェ」というスタイルのアイデアワークショップが実施されました。


「ワールドカフェ」は面識の無い参加者同士で仮のチームを作ってテーブルを囲み、各メンバーのアイデアを模造紙に記録していきます。一定時間が過ぎると一人だけを残して、各メンバーは別のテーブルに移動。今度は移動先のテーブルで、そこにあるアイデアをさらに発展させます。そして再び元のテーブルに戻り、他のメンバーによって進められたアイデアを確認した上で、個人個人が最終案をA4の紙に書いて壁に張り出します。


張り出されたアイデアの中から、自分が挑戦したいと思うものや応援したいものに投票します。
この日、高ポイントを集めたアイデアは、「ゆるい宇宙語で宇宙にいる人と喋れる」「乾杯。宇宙の夜空に向かって」「長時間発酵の宇宙酒」「ご飯粒の残り座。画像と同じ並びの星を探してくる」。1つを除いてあとは全て女性のアイデアでした。



実際のハッカソンの開発は4月23日の正午から翌24日正午までの24時間。チームの中には、Input Dayの票を集めたアイデアでメンバーを募って参加したチームもいました。ボストン会場や山口県の宇部会場とコラボして課題解決に当たるチームもあり、一都市にとらわれない地球規模のハッカソンになりました。23日の夜は、宇宙をテーマにした巻き寿司の差し入れが東京会場にあり、かなり盛り上がっていました。


人工衛星をキャラクター化した「チャテライト」が最優秀賞

最終日の4月24日、東京会場では19チームがそれぞれ2分間のプレゼンテーションを実施。その後の審査員のTouch & Tryを経て、最優秀賞、優秀賞、ピープルズチョイス賞、そしてスポンサー賞が決定されました。

全参加者の投票で決まるピープルズチョイス賞は、チームマッシュ&ルームの「Tell Star」に。
「Tell Star」は「子供たちに宇宙に興味を持ってもらいたい」という願いで作られたアプリです。秒読みから始まるビッグバンの映像で目を引きなが宇宙の歴史を解説。ビッグバンから誕生した惑星群を自由に配置して宇宙を自分でデザインできる楽しさもあり、さらに、スナップショットを撮ることも可能です。
NASAやJAXAのデータを取得するためにIBM Bluemixが活用されていました。

メンバー全員がキノコの帽子を被って開発に臨んだマッシュ&ルームの「Tell Star」

優秀賞はチームfLying DiSHの「Linkless」。
人気の「Ingress」からヒントを得た位置情報ゲームで、外出先の実際の天候によってリアルタイムに変わるエネルギー使い、敵チームを攻撃して陣取りをするものです。
天候エネルギー量を算出するために、BluemixのInsight for Weather APIを利用して天候情報を取得しています。こちらの「Linkless」は優秀賞と同時に、スポンサー賞のIBM賞(副賞はドローン!)をダブル受賞しました。

fLying DiSHの「Linkless」

そして、最優秀賞はチーム人狼ズの「チャテライト」に。
「チャテライト」は、地球を周回している人工衛星とその軌道を、Google Earthのような地球儀上にリアルタイムで表示することができます。
さらに大きなポイントが、各衛星をキャラクター化しボットとしてツイートさせてしまうところ。人工衛星や宇宙を身近に感じさせるアプリで、審査員でアーティストの市原えつこさんは「衛星をキャラ化するアイデアが東京的」と高く評価していました。

人狼ズの「チャテライト」

庄司義和審査委員長(JAXA広報部長)による講評

審査委員長であるJAXA広報部長の庄司義和氏は、今回それぞれのプログラムのレベルが高く審査は非常に接戦となり、上位6チームがそれぞれ1点差だったことを明かし、「グローバル審査で入賞してほしい」とお話しされていました。

全19チーム中、8チームがBluemixを利用!

今回のSpace Appsを振り返ると、19チーム中、実に8チームという半数近くの開発にBluemixが活用されていました。
たとえばチームマーフェスプロジェクトが開発したのは、雑誌「ムー」風の電子書籍を自動で作成するアプリで、『ドグラ・マグラ』を取り込んで自動生成したテキストの夢野久作らしさを、BluemixのAPIを使ってIBM Watsonに判定させていました。

マーフェスプロジェクト

クラウド経由のデータのやりとりに使い勝手がいいという理由で使用していたチームもありましたが、今回初めてBluemixに触ったという参加者の「あまのがわぎんが」さんは、
「Bluemixはブラウザーだけで利用できて、環境の構築も不要なのですぐに使うことができました。Node-REDを使ったので、画面上で処理単位を線でつなげていくだけで、簡単にアプリを作れました。私が一番敬遠したいプログラムのコードを書くという部分を省略できたのです」と使いやすさを評価していました。

Node-REDを説明する「あまのがわぎんが」さん

今回1人チームで参加したチームヨコイの横井 一仁氏は、Bluemixのユーザー会「Bluemix User Group (BMXUG)」でも活発に発言をされている方です。今回もBluemixを使って恒星間旅行のルートを検索できる「宇宙乗換検索」という作品を発表していました。「宇宙乗換検索」では、恒星の位置情報をもとに恒星間移動経路の距離(光年)を計算し、5つのルートを表示します。


「GUIで操作できるBluemixのdashDBというデータベースに50万件のデータを取り込み、SQLの検索結果をNode-REDでHTMLの中に埋め込んでいます。Bluemixを使うとコーディングゼロでものすごい速度で開発ができるのです。また、プログラミングに制約があるわけではなく、従来のコーディングと近い感覚、思考での開発が可能です」と語っていました。将来的には中継点となる人工衛星の開発時などに役立てたいそうです。

チームヨコイ

Bluemixは、環境の構築が不要ですぐに使えて、Node-REDで簡単にプログラムができ、さらに、様々なサービスと接続できるAPIが多数用意されているということもあり、ハッカソンで利用されることがかなり増えてきました。
みなさまもぜひこの機会にBluemixを試してみてはいかがでしょうか?
Bluemixのフリートライアルは、こちらからすぐに登録できます。

さて、東京会場の受賞作品をはじめ、日本国内7会場での受賞作品がこれからグローバル審査に挑みます。
今年は、日本からグローバルでの入賞作品が初めて生まれるかもしれません。宇宙を夢見る人々のハックが、これからの宇宙開発を後押ししていくのです。