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Apple Watchと並び、ウェアラブルコンピュータの双璧と目されていた「Google Glass」(グーグル グラス)。残念ながら、一般販売は中止になってしまいましたが、今後の動きはないのでしょうか。「Google Glass」の今に迫ります。

「Google Glass」とは何か?

「Google Glass」(グーグル グラス)は、GoogleがProject Glassという研究開発プロジェクトで開発しているヘッドマウントディスプレイで、ウェアラブルコンピュータの一種です。

ヘッドマウントディスプレイ自体は、実は特別新しいアイデアではありません。任天堂も1995年に「バーチャルボーイ」を発売しています。ただ、あのGoogleが開発しているということと、従来に比べてとても小さくスリムなことで注目されました。なにせ、これまでのヘッドマウントディスプレイは、額まですっぽり覆うぐらい大きいものでした。それがGoogle Glassと来たら、普通の眼鏡とほとんど変わらない大きさなのです。これにコンピュータが組み込まれているのかと思うと、それは期待が高まるのも当然です。

2012年、製品テストが開始。この頃よく、Googleの共同創業者であるセルゲイ・ブリンがGoogle Glassを装着して、さまざまなイベントでプレゼンをしていました。2013年、テスターや開発者に限り、1500ドル(約17万円)で販売開始。高額でしたが、当時シリコンバレーの開発者たちの多くが、これを着けて日夜いろんなことをしていました。

クリアできなかった問題点

これだけ先進的で期待の大きかったGoogle Glassですが、その先進性からある問題が浮上しました。プライバシーの問題です。なにせ外見は、普通の眼鏡とほとんど変わりません。これを使えば、人知れずビデオや写真を撮影できてしまうのです。技術の発展に熱心なアメリカでさえ、この問題にはかなり過敏になりました。バーやクラブ、ラスベガスのカジノなどでは、Google Glassの利用を禁止しましたし、州によっては運転中の着用を禁止しようと動いていました。

Googleは、この問題を根本的に解決する方法を見い出せず、2015年1月に一般販売を中止することにしました。価格が思ったより下げられそうになかったことも原因のひとつと言われています。

Google Glassの今後

Google Glassは一般販売が中止したことにより、存在感は薄くなってしまいましたが、研究開発をすべて止めたわけではありません。デザインを変えて、B2B製品としての販売を検討することを発表しています。また、管轄は2014年に買収したNest社に移るとしました。Nest社といえば、インテリジェントサーモスタットで大ブレイクし、IoT機器の最先端とされている企業です。
参考:Nest社から見えてくるIoTの未来

これに加えて、Amazonが進めていたFire Phoneの開発プロジェクト打ち切りによって解雇されたエンジニア数十人を雇用したとも言われています。Google Glassは、IoT機器としてさらにパワーアップするのでしょうか。

そもそもGoogleは、Google GlassをB2B製品として販売していくとしています。つまり、考えられるのは、企業や工場、病院など。きっと外で作業をする人々や手術を含む医療現場など、特殊な状況で威力を発揮するのでしょう。

実際、公式発表ではありませんが、テスラモーターズの製造工場でGoogle Glassを用いた製造ラインが稼働しています。これを導入したことで、現場のエラー発生率を30%抑えながら、全体的な生産性を25%向上できたとしています。テスラモーターズは、シリコンバレーを拠点に、電気自動車を製造販売している会社です。Google Glassとの親和性はいかにも高そうですね。

『電脳コイル』の世界もいつかは実現?

『電脳コイル』(磯光雄監督、2007年)というアニメをご存じでしょうか。「電脳メガネ」というGoogle Glassのようなウェアラブルコンピュータをテーマにしたアニメ作品です。

この世界では、眼鏡をかけたときだけ見える電脳ペットや道具まで普及しています。楽しそうではありますが、コンピュータウイルスまで具現化されており、そういった電脳生物が襲いかかってくるという怖い一面も。もしかしたら、意外に早くこうしたものが現実になっているかもしれません。