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JPHACKS 2015は国内最大規模の学生ハッカソンです。2014年に第1回が開催され、今年は2015年11月28日(土)~29(日)に北海道大学、東北大学、東京大学、ミント神戸、熊本大学の全国5会場で同時に開催されました。

「JPHACKS HACKATHON 2015」開催レポート

そして、2015年12月12日には、中間オンライン審査を通過したFinalノミネートチームによるピッチが実施されました。28、29日は緊張感あふれる静かな雰囲気で開発が行われていましたが、今回はプレゼンを残すとはいえ、開発は終了しているため会場は和やかで、笑い声もときおり響いていました。

JPHACKS 2015 Finalノミネート全チームのご紹介

TOJO Hacks受賞式の写真

IBM賞は、会場内での出会いとコミュニケーションを実現する「AirMeet」に決定!

ノミネートされた15チームからは、World Challenge 部門、Academic 部門、Civic Tech 部門の3つの部門ごとに選出される部門賞と審査員特別賞に加えて、API賞、企業賞が選定されます。

World Challenge 部門、Academic 部門、Civic Tech 部門、審査員特別賞の各受賞チームはこちら

そして、「IBM賞」をみごと勝ち取ったチームが、「TOJO Hacks」による「AirMeet」です。

IBM賞受賞作「AirMeet」とは

「AirMeet」は会場内プロフィール共有アプリです。パーティーや懇親会など多人数が参加しているイベント会場で、知らない人と話すのはなかなか難しいし勇気がいります。しかし、「AirMeet」は参加者の趣味や興味など、もっと豊かな情報を会場内限定で共有できるスマホアプリです。このスマホアプリを使うことで、会場内で興味のある相手と出会うことができ、コミュニケーションも盛り上がります。主催者サイドが会場内で共有する情報をカスタマイズできるので、そのイベントに合わせて公開する情報範囲を最適化できます。
これはビジネスの世界でも使えそうです。特にスタートアップの世界では、ミートアップの場での出会いや意見交換によってビジネスが加速するケースが多いと思います。また東京オリンピックに向けて、海外から来た方とのコミュニケーションを推進する道具にもなりそうです。

「JPHACKSの懇親会でも他の参加者に話しかけられなくて、やっぱり必要なアプリなのだと思いました」

「AirMeet」プレゼン風景

TOJO Hacksメンバー紹介
メンバー5人は筑波大学情報メディア創成学類の学部4年生と修士課程の学生で、同時に同じ軽音サークルに所属しています。互いに一緒のバンドを組んでいたこともあるそうです。

佐藤さんは4年生でiBeacon通信とそれを利用したプッシュ通知の開発を担当しました。サークルではベースを弾いています。
木邑さんは修士1年、IBMのBluemixを使ったサーバー部分でアプリから利用するREST APIの実装を行いました。パートはベースです。
神武さんも修士1年。フロントエンドを担当。彼女は経産省の未踏事業のスーパークリエイタに認定されています。パートはギターボーカルです。
塩原さんは学部4年でUIデザインを担当。パートはギターボーカル担当です。
修士2年の川端さんは情報デザインについて研究していて、今回はUIデザインとデモムービーを担当しています。パートはギターボーカルです。

「サークルでは技術の話はしなかった」という5人は、今回メンバーの1人からtwitterで「ハッカソンやろう」と呼びかけられて集まりました。ハッカソンの経験者だけでなく、初めての人もいましたが、得意分野がばらばらであったため、役割分担はスムーズに決まったそうです。

「AirMeet」のアイデアを思いついたきっかけは、
「初対面の人ばかりの懇親会で、その相手の人となりがわかればけっこう話は続くのですが、最初のきっかけがつかめなくて」
「ネームプレートカードが見えなくて覗きにいくのも恥ずかしいし、情報がすくないんですよ」
「人見知りというか、JPHACKSの懇親会でも他の参加者に話しかけられなくて、やっぱり必要なアプリなのだと思いました」
とのことでした。

「Bluemixの名前は聞いたことがありましたが、使うのは初めてでした」

開発秘話、「プロジェクトX」的な苦労話はないかうかがってみました。

「発案自体はJPHACKSの3週間ほど前です」
「仕様の確定はずいぶん話し合いました。コンセプトは? 見てほしいところは? 迷いもありました」
「30時間でのコーディングと実装というのはやはり厳しくて、1日目が終わってすぐつくばエクスプレスで大学に戻り、研究室で寝ずに作業を続けました」
「時間が限られているためプライオリティーが重要でした。チャット機能をつける準備もしていたのですが、アプリを使用する会場ではオフラインで話してほしいという思いがあったので削りました」
「今回開発がiOSだったのですが、使用言語のSwiftができるのが一人だったので、他の人間は事前に勉強しました」
と、やはりアイデアを形にしていくためのディスカッションと作業は大変だったようです。

IBM賞ですから、Bluemixの使い勝手も当然うかがわなくてはなりません。
「Bluemixの名前は聞いたことがありましたが、使うのは初めてでした。Bluemixは使いやすいですね。IaaSは環境構築が大変なのですがBluemixなら数分でWebアプリの開発が始められます」
「今後もBluemixを使って、開発を継続しリリースまで持っていきたいです」
「苦労した点は、最初データベースをつなげる方法がいまいちわかりませんでした。Bluemix上のデータベースをデプロイする方法がわからなくて、サンプルを見て環境変数でつなぐのだと理解できました」とのこと。やはりスピーディーな開発環境は魅力的です。

「この先? AirMeetを世界中に広めたいですね」


メンバー5人のうち3人は就職が決まっていて、卒論、修論の締め切りが(2016年)1月中旬に迫っています。しかしなんとか時間を作って「2月には正式にリリースしたい」とのことです。開発にあてられた時間が足りなかったため、2015年11月29日のプレゼン後も、近距離iBeaconやサーバー利用などの部分を全力でデバッグしたそうです。リリース時にはできればAndroid版も揃えたいため、BluemixのAPIを利用して開発したいとのことです。
今後は「AirMeetを世界中に広めたい」と、大きな夢を語ってくれました。

授賞式後、アプリをかざしてにっこりほほ笑むチームTOJO Hacksの皆さんでした。

意外性とビジネス性を兼ね備えた、秀逸な3つの部門賞作品

部門賞と審査員特別賞の受賞風景です。各部門賞には開発支援金30万円が、審査員特別賞には10万円が贈呈されました。参加61チームの中で評価を受けたみなさん、やはりうれしそうです。

CivicTech部門:「ippuQ」(レッドインパルス)

World Challenge部門:「Eye-et(アイエット)」 (TsukubaEngineersLab)

Academic部門:「cooksim.」(毛蟹ファンクラブ)

審査員特別賞:「BUBBLY」(4bit)

では、各部門賞を受賞した作品をご紹介しましょう。

CivicTech部門賞の「ippuQ」は、通信機能を備えたライターとスマートフォンアプリによる分煙ソリューション&喫煙管理ツールです。ライターの着火動作で位置情報を送り、スマホに最新の喫煙所マップが表示できます。タバコが嫌いな人はスマホから、近くにいる「ippuQ」利用者にタバコを吸わないでほしいというお知らせを匿名で送れます。ライターに搭載した5つのLEDで、吸った本数を2進表示することもできます。このチームもBluemixを活用しました

World Challenge部門の「Eye-et(アイエット)」は、バランスの取れた食生活をサポートする、栄養可視化スマートアイグラスアプリです。スマートグラスでチョコレートなどの食品を見ると、そのカロリーがレンズに表示され、それを食べた場合の当日のカロリー摂取量の変化も見えます。食欲に負けそうなとき、数字が思いとどまらせてくれます。

Academic部門の「cooksim.」は、料理のレシピのわかりづらさを解決するアプリです。工程や材料などをノード形式でつないでフローチャートのようにレシピをプログラミングすることができるため、分量や調理のタイミングなどを間違えずに済みます。理系向けのお料理アプリですね。

そして、審査員特別賞の「BUBBLY」は、路上パフォーマーと通りすがりの聴衆との間にインタラクティブなコミュニケーションを生み出すIoTデバイスです。聴衆がパフォーマーのプレイに感動しスマホから仮想通貨で投げ銭をすると、デバイスが光ってシャボン玉を吹き出します。

どれも柔軟な発想と高い技術力で作り出された作品です。ビジネス展開も考慮されており、昨年のJPHACKS同様、販売や起業に結びついていくものも少なくないでしょう。

「アイデアの実現に技術は必要ですが、それをどこに適用するかのテイストをうまく持ってくることが重要です」

審査委員長 喜連川優 国立情報学研究所 所長/東京大学生産技術研究所 教授

最後に審査委員長を務められた喜連川先生が挨拶に立ち、「ハーバードでもスタンフォードでも一番できる学生は大企業ではなく、スタートアップに行っています。スタートアップで大事なのは技術観です。根本的に違うアイデアを出そうと思うと技術が重要になりますから、みなさんぜひ技術を大切にしてください。しかし、それだけではだめです。技術をどこに適用するかが非常に需要なのです。こうしたハッカソンでは技術だけでなく、アイデアを持った人とも全員パートナーシップを組めます。日本でもこうして元気でやっていける場ができたということは大変うれしい」と、JPHACKSの意義を称えました。


【編集後記】
「JPHACKS 2015」を取材して、若者の発想力と、それを形にする情熱と体力と技術力に感心しました。アイデア倒れに終わってしまわないのは、それぞれ励ましあえるチーム参加だからかも知れません。今回各賞を受賞した作品が、今後ポリッシュアップして世の中に広まることで、ちょっと世界は良くなるかもしれない。そんな期待を抱かせる「JPHACKS 2015」でした。そして、次回「2016」(きっと開催される)でも、ぜひまた参加者の人たちとそこで形になるアイデアを見てみたいと思いました。