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ワトソンの実務的な利用を拡大することで、AIのマーケットを強力に牽引しつつあるIBM。同社は2017年8月8日、ディープラーニング用のソフトウェアツールキット「PowerAI」の機能を拡張する分散深層学習(Distributed Deep Leaning 以下:DDL)ソフトウェアを発表した。これにより、ディープラーニングマーケットにおいて一躍注目を浴びる存在となっている。

このDDLを利用すれば、ディープラーニングにかかる時間と処理速度を飛躍的に向上させることができるという。マーケットを一変させるようなソリューションとなっていることから、大きな関心が集まっているのだ。今回はこのDDLソフトウェアについてフォーカスし、その特徴を探ってみることにする。


IBM PowerAIとは

IBMの PowerAIは、その名のとおりAI向けのプラットフォームであり、ディープラーニングや機械学習を短期間に実装するフレームワークとして機能している。このプラットフォームを利用することにより、主要なフレームワークを簡単にインストールすることができ、数時間での実装も可能にするという。また、GPU‐CPU間のNVLink接続を実装した最新のハードウェア・アーキテクチャー向けに最適化することで、独自の性能と拡張性を実現しているのだ。

今回発表されたDDLソフトウェアは、多数のサーバによる並列処理を可能にするもので、従来の処理方法に比べ飛躍的にそのスピードを速めることができる。もともと、ほとんどのAIサーバはシングルシステムで構成されており、多数のサーバを用いて並列処理を行なうことが考えられてこなかった。したがって、オープンソースのディープラーニングフレームワークでサーバ台数を並列に増やしてしまうと、処理時間はそれに呼応するように長くかかってしまうのが最大の問題となっていたのだ。

DDLはディープラーニングを猛烈に加速化

IBM独自のメソッドを用いて開発されたDDLライブラリでは、主要なオープンソースのAIフレームワークの利用が可能。このDDLを用いることにより、さらに数百基のGPUを搭載した多数のサーバを使ってスケール化を図ることが可能となる。よって、従来に比べトレーニング時間を大幅に短縮されたのだ。

これまでIBMの「ResNet-101」モデルを使って大量のデータセットを学習させる場合、「NVIDIA P100 GPU」搭載のシングルパワーの「Minsky」サーバを用いて16日間が必要だった。しかし、同じトレーニングにDDLを用いたところ、64台のMinskyサーバに搭載された256基のNVIDIA P100 GPUアクセラレータを使い、7時間で完了することに成功したという。IBMではDDLのことをディープラーニングのジェットエンジンと呼び始めているようだが、まさにその処理スピードは驚異的な速さを示現している。

DDLの利用は、このようにディープラーニングのトレーニング時間を短縮させるだけではなく、学習結果についても大幅な向上をはかることにも成功している。具体的には、DDLの実装でIBMが7時間で達成した画像認識率は33.8%と、これまでこの領域の記録であったマイクロソフトによる10日間で達成した29.9%の精度を4%も向上させる結果をおさめたのだ。

また、DDLはオンプレミスでの利用のみならず、クラウドプロバイダー「Nimbix」を通じてクラウド上でも利用できる。すでにDDLのベータ版の提供は開始されており、Nimbix上もしくはIBMのPower Systemサーバを利用してDDLを試すことが可能だ。

IBMはディープラーニング分野でもメインプレーヤー

IBMというと、長きにわたってエンタープライズ領域を得意とするプレーヤーという認識が市場でも定着している。だが今回の発表により、実はディープラーニングの世界でも先頭を走るメインプレーヤーであることを改めて認識させられた。

ディープラーニングというとマーケットではフェイスブックやグーグルの知名度が高くなっているが、カッティング・エッジ テクノロジーについては、依然としてIBMが大きなリードを続けているのだ。

<参考・参照元>※リンク先英文記事
IBM Research achieves record deep learning performance with new software technology|IBM Blog Research