ページトップへ
経済産業省とIoT推進コンソーシアムは2017年5月30日、「データの利用権限に関する契約ガイドラインver1.0」を策定したと発表している。このガイドラインは、事業者間でのデータの利用権限を明確することを目的とし、「IoT推進コンソーシアムデータ流通促進ワーキンググループ」が中心となり検討されたものである。

これからIoTビジネスを推進しようとする企業にとっては、かなり役立つ内容になっている。また、この領域には参考とするビジネスケースもまだまだ少ないだけに、とくに契約に関わるガイドラインを提供されるのは、新規に参入を考える事業者にとっては非常に心強いものということができそうだ。


IoT推進コンソーシアムとは

このIoT推進コンソーシアムとは産学官が参画・連携し、IoT推進に関する技術の開発・実証や、新たなビジネスモデルの創出推進するための体制を構築することを目的として設置されたもので、IoTに関する各種プロジェクトの創出及び当該プロジェクトの実施に必要となる規制改革等の提言等を推進していくものとなっている。

また、同コンソーシアムの専門ワーキンググループでは、2つの分野に分かれて活動している。前述したとおり、今回の策定においてはデータ流通促進ワーキンググループが中心になって取りまとめた内容だけに、役所が提示する形骸化したものとは一線を隔し、非常に実利的なものとなっていることが大きな特徴だ。

ガイドライン策定の背景

IoTやAIなどの技術はいよいよ実用化、事業化の時期を迎えつつあるが、事業者間の垣根を超えたデータ連携による新たな付加価値の創出が期待されているにも関わらず、現実の世界ではデータの利用権限に関する考え方が明確になっていない。そのうえ、この領域における先行事例も少ないことから、事業者間の契約でその権限を定めることが定着しないということが大きな問題になりつつある。結果的にデータ流通が進まないというのが実情で、これを解消するためにガイドラインが策定されているのだ。

ビジネスケースの例示はきわめて重要

今回開示されたガイドラインは、利用権限を定める対象データとして、取引関連性と利活用可能性の視点から選択しており、当事者で協議のうえカタログ化等を実施するにあたっての手法やプロセスを具体的に示しており参考になりやすい。さらに利用権限の決定では、利用権限を適正かつ公平に定めるために着目すべき要素と、その要素ごとの考え方や当事者が取引内容・取引条件を調整するための手法を具体的に提示しているところが非常に役立つものとなっている。

また、ガイドラインでの適用例では、製造会社が工作機械メーカーから購入した工作機械をソフトウェアベンダーから購入したミドルウェアを用いて工場内で稼働させ、稼働データを創出させている場合や、製造会社が自社データをサービス提供事業者に提供しAI分析等によるサービスを受け、分析データを創出させている場合を想定している。ビジネスケースとしてはまだまだ限定的ではあるが、今後のコンソーシアムではさらにガイドラインについて具体的な事例を想定しながら改訂を検討していくという。

さらに広範なビジネスケースに対して事例が提示されるようになれば、ガイドラインはより役に立つ存在となりそうだ。足元ではIoTやAIのビジネスは欧米、とくに米国と比較しても本邦勢は後塵を拝する結果となっているが、産学官が協力して短期間にキャッチアップする動きをとることは、市場に参加する新たな事業者にとっては心強いものがあり、今後もさらに推進されることを期待したい。