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マイクロソフトは今年5月にベンチャー支援を目的とするMicrosoft Ventures の立ち上げを行い、すでに13社への投資を明らかにしているが、今回さらに人工知能に特化したファンドを設立することを発表し話題となっている。これまでクラウドやビッグデータ、アナリティクス、生産性、セキュリティ、機械学習といった市場の新興企業を対象としてきたが、さらにAIにも力を入れていくことが鮮明になった状況だ。米国時間の12月12日に発表された内容によると、同ファンドは第1弾として、カナダのモントリオールを拠点とするインキュベーターでAIプラットフォームのElement AIに投資することが明らかになっている。これにより、既にMicrosoft Venturesのポートフォリオでは18の企業が投資先として記載されている。

<参考・参照元>
Microsoft Ventures: Portfolio(リンク先英文記事)

Element AIとは

今回Microsoft Venturesが投資対象としているElement AIは、マシンラーニング(機械学習)研究の第一人者でカナダ・モントリオール大学教授のヨシュア・ベンジオ氏が、人工知能(AI)に特化したインキュベーターとして立ち上げたものだ。このインキュベーターの役割は、企業のAI活用を助けること、並びに世界クラスの研究者によるリサーチを実現すること、さらにスタートアップへのアドバイスとなっている。Element AIは、世界最高の大学のエコシステムと繋がる研究所を有しており、先進企業とパートナーシップを組みながらAIファーストなソリューションを提供することを大きな目的としている。
カナダの大学において、こうしたAIに対する先進的な取り組みを行っているというのもかなり新鮮な情報だが、マイクロソフトはいち早くこうしたインキュベーターへの投資に踏み切っている。

AIのスタートアップカンパニーの多くは研究者によるもの

足元ではAIのスタートアップカンパニーの設立が目立つが、その多くはAI領域の研究者によって始められたものであり、背後に大学などの研究機関と強い結びつきがあるのが大きな特徴となっている。こうしたスタートアップカンパニーの構成員は、大学の研究者の地位も並行して維持しているケースが多いことから、有能な人材を確保していくという点でも投資対象として大きな魅力を持っているといえる。AIの領域はこれからも絶え間なく研究が進む領域であることから、研究者の企業に投資することは、投資サイドにとってみても資金の提供を受けるスタートアップカンパニーにとっても非常に意味のあるものとなっている。

いきなり買収ではなく育てるというプロセスの重視

AI関連の企業については、IoTなどで先行する企業がこぞってスタートアップに近い企業を買収するといった動きが加速している。Uberによる人工知能のスタートアップGeometric Intelligence買収もそのひとつだが、マイクロソフトの場合には、投資を行うことでこうしたスタートアップカンパニーを育成しようとする意図が強く感じられる。AIについては多くの研究機関がスタートアップの形態で新たなエンティティを建てる動きに出ているが、今のところどこが最大のイニシアチブを発揮する存在になるかはまだ未知数の部分も多い。そんな中でマイクロソフトが行っているような投資アプローチはなかなか新鮮な取り組みということができそうだ。
AIの領域は、非常にその利用用途が広がる状況となっており、現状で可視化されているビジネスオポチュニティをはるかに超えるニーズが顕在化することも予想される。そういう意味では、このような研究機関ベースのインキュベーターとのつながりを大切にすることが、これからのAIベースのビジネスをさらに大きく広げていくきっかけになり、注目される投資アクティビティとなりそうだ。ちなみに今回マイクロソフトは、セールスインテリジェンス企業のxAD、通信企業のDynamic Signal、「販売体験」企業のTactなど他の3社への投資も発表したが、どれだけの金額を投資したかにについては詳細は明らかにはしていない。

<参考・参照元>
Microsoft Ventures: Making the long bet on AI + people(リンク先英文記事)