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第2回から、わずか3か月。早くも第3回 IBM Watson日本語版ハッカソン決勝戦が2016年6月29日、東京・汐留のソフトバンク本社で開催されました。総評で同社佐藤貞弘常務執行役員が「こなれてきた」と述べたように、実用化を強く意識した本気のプロトタイプが目白押し。さらに参加チームも多彩。スタートアップは当然のこと、企業として公式参戦したチームも多く、総勢54チームが約1か月にわたって濃厚な戦いを繰り広げました。その中から決勝戦にコマをすすめたのは、わずか5チーム。選りすぐりの作品をご紹介します。

テーマは『スマート○○○○』です。

動画再生中のミスマッチ広告をどうにかしたい

第3回 IBM Watson日本語版ハッカソンで、最優秀賞であるWatson賞を受賞した株式会社インキュビットが提案したのは、『Smart Video Ad』。これは、YouTubeなどのウェブ上の動画コンテンツの内容を深く理解し、関連性の高い広告を表示するためのメタデータを提供するソリューション・サービスです。

▼インキュビットの強みはその若さかも。左が代表取締役社長 北村尚紀氏

YouTubeなどで動画を視聴していると、CM的に動画が流れたり、バナー広告が表示されたりする事が多くあります。ところが、ある動画広告に関するアンケートでは、視聴者のおよそ4割が広告を出稿したブランドに悪い印象をもった経験があるといいます。これでは、広告を出す意味がないどころか、逆効果。
現在は主に、ユーザー情報に基づくターゲティングや、動画のタイトル情報などに基づくマッチングだけなので、視聴内容と広告とのミスマッチが存在していると考えられます。

これを是正すべくインキュビットが考えたアイデアが、Watsonを使って動画のカテゴリを判断し、メタデータとして付与することです。広告配信業者は、このメタデータを利用することによって、動画とマッチした広告を配信できるようになる、というものです。

カテゴリを判断するためには、動画の音声データを利用します。Watson の「Speech to Text」でテキストデータへ変換。次に、テキストをセンテンスごとに、「Natural Language Classifier(自然言語分類)」でカテゴリを解析、さらにそれらを合計し、文章全体のカテゴリを判断します。
デモでは、お寿司屋さんの動画を観て、「あ〜寿司食いたい」と思ったときに、寿司の出前のバナー広告がタイミングよく出現していました。

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▼各センテンスに分割してから解析し、改めて合算することで精度不足を解消

▼インキュビットはWatson賞の開発環境利用権限と、SoftBank賞を同時受賞。「喉から手が出るほど、欲しそうだった」と評したのはソフトバンク株式会社の佐藤常務執行役員(一番右)


Suicaで訪日外国人を、お・も・て・な・し!

次に紹介するのが、株式会社ジェイアール東日本企画の『スマートおもてなし』。交通系ICカードがコミュニケーションのきっかけとなるサービスです。

これはある意味、国策ともいえるプロジェクト。訪日外国人がおよそ4,000万人にものぼると予想される2020年。駅員、警察官、警備員、ボランティアなどが不足し、きっとロボットにも出動要請がかかるはず・・・。(2020年はもうすぐ!)

Pepperを使った音声コミュニケーションを考えるチームが多いなか、このチームは企業特性を活かし、交通系ICカード(平たく言うとSuicaですね)を使った非音声コミュニケーションを打ち出しました。
雑音が多い駅で、しかも、限られた時間内にPepperへ情報を伝える場合、音声だと認識率や情報量といった観点で効率がよくありません。しかし、交通系ICカードを利用すれば、Pepperへ「ピッ」とかざすだけで、そこに残された行動の足跡を瞬時にかつ正確に伝えることが可能になります。
Pepperは、このデータをもとに適切な「おもてなし」として観光案内を提案。例えば、その日の行動履歴を考慮した上で、現在地周辺の観光施設やレストランを提案したり、異なる駅、あるいは別の日にPepperと接触しても、あなたのことをきちんと覚えてくれています。もちろん、Pepperなら多言語で提案することが可能なので、外国人の方も安心ですね。

▼ジェイアール東日本企画はSoftBank賞を受賞

▼Suicaをかざすと、Pepperのおもてなしが始まります


Pepperがストレス・チェックする時代に!

次に紹介するのが、富士フイルムICTソリューションズ株式会社の『スマート職場』。これは2015年12月より義務化されたストレス・チェックに対応したタイムリーなサービスです。Pepperを利用し、従業員がかかえるストレスを客観視します。

▼IBM賞を受賞した富士フイルムICTソリューションズ

▼Pepperが取得した画像データや会話データを活用。データからストレス度合いをリアルタイム診断


Watsonが全壊、半壊などを自動判定!

災害対策に取り組んだのが、システムリサーチ株式会社。罹災証明書は、火災・風水害・地震などによる、家屋などの被害程度を証明する書類です。本来、市町村が現地調査を行い、発行するものですが、これを自動発行できないかと考えました。
住民は罹災した家屋の写真と状況の説明文をスマートフォンなどで送信。Watsonが画像を識別し、罹災証明書を自動発行するというものです。
被災者は、支援制度の適用を受けたり、損害保険の請求などを行う際に必要な罹災証明書を一刻も早くもらいたい。しかし、自治体の職員は仕事が山積でなかなか動けない。この問題をWatsonが一気に解決します。

▼システムリサーチ株式会社は『スマート自治体』でIBM賞を獲得


Watsonとの気のきいた会話が、眠気防止に

長距離運転の事故予防に取り組んだのが、株式会社セイノー情報サービス。『スマート長距離運転パートナー』は、ドライバーの眠気やふらつきなどの危険状態を検知すると、Watsonがドライバーと会話を始めるというユニークなサービス。
眠気が生じる時間帯や、単調な運転が続くエリアなどでは注意喚起したり、ドライバーとの会話ログを学習し、好みにあった(気のきいた)話題を提供します。
「会話のキャッチボールがあると頭が回転するので、眠気防止に効きそう」「愚痴を聞いてくれると楽しそうだ」というドライバーの声も紹介されていました。
セイノー情報サービスでは『スマート長距離運転パートナー』を導入することで、交通事故率の大幅な低減を目指しています。

▼株式会社セイノー情報サービスは特別賞を受賞

▼決勝戦までの約1か月を共に走りきった5チーム。PepperとWatsonが伴走した。(右下はアモーレ・ポーズ?)

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会場は第4回大会への出場を狙うチームも偵察に訪れ、約330名の満員札止め。Watsonハッカソンへの高い関心がうかがえました。

なお、最優秀賞Watson賞を受賞したインキュビットを始めとする、決勝に残った各チームは、7月22日開催のソフトバンクグループ最大規模の法人向けイベント「SoftBank World 2016」のSoftBank World Challenge 2016への出場権も獲得。「IBM Watson日本語版ハッカソン」の歴代決勝進出チームの全13チームの中から、さらに最優秀チームが1チーム選ばれることになります。


これまでのWatson日本語版ハッカソンレポート
Watsonで突然死を防げるか?|第2回 IBM Watson日本語版ハッカソン決勝戦 レポート
【ルポ】ハッカソンでパワーアップ! - IBM Watson 日本語版ハッカソン -