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IoT化したスマート家電が増えている一方で、「スマート家電なんて、スマホをリモコン代わりに使うだけじゃないの」と思われている一面もあります。たしかに現時点で、IoTの有効性が生活用品レベルまで浸透していないことは事実です。ただ、それもここ数年でどんどん変化していくでしょう。今回紹介するIoTコーヒーマシンを見ていると、ますますそう思います。

日本メーカーの技術偏重による苦境

日本の家電メーカーはかつて世界を席巻するほどの勢いがありました。しかし、ここ十数年は苦境が続き、どこもかつての輝きは失われつつあります。
苦境に陥っている理由はたくさんあり、ひとつに絞るのは難しいですが、国内外の経済の影響、為替の影響、新興国の台頭、人員・固定費のコスト高、画期的なイノベーションの不足などと、一般的に言われています。それらに加えて、あまり語られていない理由のひとつに「ニーズとかけ離れた技術偏重」があると思われます。

前述のとおり、かつて日本の家電メーカーは技術力の高さによって世界を席巻しました。しかし、その成功体験が強烈すぎたのか、今もそれを引きずり過ぎているように思えます。例えば、たまに「4K対応テレビ、凄まじい高画質、お値段100万円」といった商品を見かけます。その技術力に自信があるのはわかりますが、果たしてこのご時世に、それほどのコストをかけてテレビを買う層がどれほど存在するのでしょうか。ニーズにマッチしていない商品を作り続ければ、苦境に陥るのも当然でしょう。こうした傾向は、IoTに関連した新製品でも目にすることがあります。

危機感から生まれたパナソニックのIoTコーヒー焙煎機

そんななか、パナソニックからIoTコーヒー焙煎機というものが、2017年4月に発売されました。一瞬、またニーズとかけ離れたものが登場したのではないかと思いましたが、これはかなり画期的なマシンのようです。

こちらは『The Roast』という商品で、価格は10万円(税別)。スマートフォンを介して、それぞれの生豆にマッチした最適な焙煎を実現してくれます。また、専用の生豆パック 2種セット3,800円、3種セット5,500円(いずれも税別)を毎月定期頒布するというサービスも採用されています。

「我が社が得意とする調理家電はおいしい料理を調理するために様々な機能を追求してきました。そこには揺るぎのない自信があります。しかしAmazonやGoogleなどが新しいサービスを次々打ち出している中、機能を追求したハードを生み出すだけでは、近い将来必ず差別化が難しくなる。新たな付加価値のある商品・サービスが必要だという危機感もありました」(パナソニックアプライアンス社・井伊達哉さん)
引用元:IoTでコーヒータイムが変わる!世界初の自家焙煎コーヒーサービス『The Roast』|@DIME アットダイム

開発者のコメントからも、技術だけでは広がりが出ないという危機感が伝わってきます。

手間暇を楽しむアナログ発想とIoT

数百種類もあるコーヒー豆をどのように焙煎していくのか。その組み合わせ次第で、より美味しいコーヒーができあがります。『The Roast』はそうした生豆から焙煎を経て、コーヒーを淹れるまでの工程を楽しめるIoTマシンであり、仕組みは以下のようになっています。

(1)まずは生豆パックが毎月定期頒布されます
(2)届いた生豆のパッケージ上のQRコードをスマートフォンで読み込むと、焙煎方法のデータを取得できます
(3)取得した焙煎方法を『The Roast』に転送します
(4)画面の指示に従い、本体に生豆を投入します
(5)焙煎中はスマートフォンでコーヒーに関わる詳しい情報や進捗状況を確認することができます
(6)焙煎し終わった豆をガラスケースのなかへ入れます
(7)15分ほどで焙煎が終了し、焙煎後は濃い色の豆になります


現代では、缶コーヒーでもインスタントコーヒーでも十分美味しいものが発売されています。しかし、コーヒー好きというのは、豆選びや焙煎する手間暇を楽しむもの。アナログ的な発想ではありますが、真に受け入れられるIoT家電というのは、こうしたところから生まれるのかもしれません。今後も技術偏重ではなく、柔軟な発想で新しいものを創り出してほしいものです。

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