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渋滞解消の切り札として期待されているのが、IoT、人工知能(AI)、ディープラーニング、ビッグデータといったテクノロジーです。道路を新たに増やすことが容易ではない現代において、情報技術の高度化こそが実現するカギとなっています。その最新事情について触れてみます。

電気通信大学でAI信号制御を研究

渋滞研究の分野でも、AIを活用した実験が増えてきました。電気通信大学の人工知能先端研究センターでは、栗原聡教授が信号機の動的制御をAIに行わせ、渋滞を解消させる研究が進められています。

交差点の交通量を模したシミュレーションによる学習を行い、その後実際の道路の交通量データを使って学習を行った実証実験では、渋滞解消に効果を発揮しているとのこと。AIによる学習データが長期に渡って行けば、時間、天候、季節などの変化にも対応可能であり、かつ通年で発生するであろう交通パターンにも対応できると考えられます。

ピッツバーグで進められているAI信号機

同様の研究が日本よりも先行しているアメリカの例を見てみましょう。

ペンシルベニア州 ピッツバーグでは、ロボット工学や自動運転車関連の研究で知られるカーネギーメロン大学(CMU)がAIによる信号制御の研究で成果をあげています。同大学のスティーブン・スミス教授は、信号機に取り付けたセンサー類やカメラから集まるデータをAIベースのアルゴリズムで処理、最適な信号切り替えを行う制御システムを開発しました。

従来のシステムでは、切り替えのタイミングが数年に一度といった頻度に過ぎませんでしたが、AIを使うことで頻繁かつ柔軟に対応できるようになったのです。ちなみに、このシステムの大きな特徴は中央集権型ではなく、それぞれの信号が切り替えるタイミングを判断して実施する分散型であること。これはブロックチェーンに似た構造といえます。

この実験は2012年に開始され、AI信号機もすでに交差点に設置されています。その数は50ヶ所以上にもなり、今後もさらに増加する見通しです。また、設置されているうち一部の信号機はIoT化もされており、車輌とデータ通信ができるようになっています。近い将来にはこの仕組みを使ってドライバーに道路の混雑状況を伝えたり、信号の変わるタイミングを事前に知らせたりすることも想定されています。
さらに、自動運転車が公道を走るようになった際は、この信号機システムとそれらの車両が連動することで、より効率的な交通システムを構築させることも視野に入れているそうです。

ビッグデータを用いて渋滞予測・信号制御

ビッグデータを渋滞緩和に役立てようという試みも始まっています。例えばNTTデータでは、中国・貴陽市において交通渋滞緩和の実証実験に着手。これは貴陽市政府協力のもと、中国科学院ソフトウエア研究所と共同で2016年に数回行ったものです。

経済成長が著しい中国では、どの都市でも激しい渋滞が発生。一方でスマートシティの構築にも注力しており、なかでもこの貴陽市ではすでに交通管理用のカメラを通じた交通モニタリングシステムや、ネットワーク信号機による交通管制システムを整備して、対策に取り組んでいます。また、NTTデータでは交通ビッグデータを用いた渋滞予測・信号制御シミュレーション技術の開発に取り組んでおり、日本はもとより海外でも実証実験を行っています。
今回は、事前に確認した貴陽市の交通量状況をもとに、信号制御パラメーターの最適化に着手。信号機約220機において、分析・シミュレーション結果に基づくパラメーターを時間帯ごとに反映して、交通を制御しました。そして、交差点における交通処理量の改善効果を検証した結果、平均で7%、最大で26%の渋滞が改善されました。

以上、IoT、AI、ビッグデータといったテクノロジーによって、渋滞解消へ向けた実験が着々と進められていることがわかりました。ぜひ早期に実現してほしいものです。


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