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政府が旗振りしているインバウンドは、今のところ順調に進んでいます。2016年10月には外国人観光客が年間2,000万人を突破し、次の4,000万人へ向けて動き出しています。目標を大きく掲げるのは大切ですが、現実を考慮しなければ大きな混乱を招きます。その代表的なものが「渋滞」です。

しかし、日本の道路はただでさえ渋滞しているにもかかわらず、4,000万人もの観光客を呼んでしまって大丈夫なのでしょうか。そもそも、政府は渋滞解消に向けた政策を考えているのでしょうか。また、IoTなどの新技術が渋滞解消を実現できる可能性はあるのでしょうか。

国土交通省、AIなどを活用した渋滞対策を公募

日本では特にGWや夏休みといった連休が集中する時期は、高速道路に長蛇の渋滞ができます。国土交通省が発表した、「平成28年お盆期間の渋滞ランキング」によると、高速道路の渋滞1位は中国自動車道(下り)中国池田~宝塚。2位は中央自動車道(上り)大月~上野原。3位は東名高速道路(上り)御殿場~大井松田でした。

これらの渋滞はお盆の帰省ラッシュによるものですが、こんな状態でインバウンド4,000万人を掲げて大丈夫なのでしょうか。外国人観光客から「日本に観光に行ったが、渋滞がひどくて楽しめなかった」という感想を持たれては、むしろ逆効果です。もちろん、政府(国土交通省)も継続的に渋滞解消を目指した動きを行っています。

たとえば、ETCの普及もそのひとつです。かつては料金所の度に渋滞が発生していたわけですから、少しずつ改善されていることは間違いないでしょう。また、近年の国土交通省はテクノロジー活用も重視。最近では観光地周辺で発生する渋滞の解消を図るため、「ICT・AIを活用した観光渋滞対策社会実験 観光イノベーション地域 公募」も行っています。これは警察や観光部局とも連携し、エリアプライシングを含む交通需要制御など渋滞対策を図っていく考えです。

募集対象は、エリア観光渋滞対策の検討に資する地域を2~3か所としています。応募主体では広域的な渋滞が生じ、観光地周辺でエリアプライシングの導入を検討している地域の市町村、もしくは都道府県とされており、2017年9月頃に2~3か所を選定する予定です。ぜひ、画期的なものが登場することを期待します。

VICS、リアルタイムで渋滞情報を発信

ところで、道路を走っていると、カーナビや地図アプリがリアルタイムの渋滞情報を知らせてくれます。とても便利な機能ですが、なぜこんなことが可能なのでしょうか。それは道路交通情報通信システム「VICS」(ビックス、Vehicle Information and Communication System)が発信している渋滞情報をキャッチしているからです。このVICSの発展が、今後の渋滞対策を大きく左右すると思われます。実際に2017年現在で、VICSが交通情報を提供できる路線は、高速道路や国道、都道府県道など基本道路の総延長約38万kmのうち、約18万kmにまで達しています。

本来であれば、道路や車線を増やすことで渋滞の解消につながりますが、もはや道路建設に予算を投じるような時代ではないのです。また、すでに多数のビルが林立する都市部で再開発を行うのは、ほぼ不可能でしょう。そのため、情報によって道路の交通の流れをスムーズにし、道路利用の効率を高めるのがVICSの目的なのだといえます。

VICSはIoTによってどう進化するか?

2015年からは新サービス「VICS WIDE」もスタート。従来のVICSよりも大容量かつ精度の高い情報をカーナビへ提供しています。単に混雑や渋滞だけでなく、区間ごとの通過時間情報を活用することで、通過時間を基準にしたルート選びをナビしてくれるようになりました。

また、気象情報を地図上に表示したり、津波や噴火といった特別警報をポップアップ表示したりする機能も追加。さらには2017年度中に、『大雨情報提供サービス』も全国展開する予定です。大きな期待がかかるIoT。そのビジョンは実現に向けて着実に動き出しています。

たとえば、現在は自動車メーカーやカーナビメーカーがそれぞれ独自でプローブデータ(車両の走行履歴を集計した移動時間情報)を集めて活用しています。それをVICSでは、各社からプローブデータを収集し、ビッグデータとしてまとめることを検討中。これにより、道路全体をもっとスムーズに利用していく考えだといいます。情報や技術の進化によって渋滞が解消され、日本の観光がさらに発展することを期待したところです。

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