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IoTとAIに関しては実業界から投資市場まで、非常に注目を集めるキーワードとなってきているが、実際の事業化にあたってはあらゆる産業を通じて企業に相応のケイパビリティをもった人材が圧倒的に足りないのが現状で、得にAIの領域における国内での人材不足はかなり深刻な状況になりつつある。

人の代わりに働いてくれるAIを開発する人がいないという、なんとも皮肉な話ではあるが、今後IoTとAIが各企業の事業戦略のメインストリームになる時代が到来すれば、この領域の人手不足で企業が倒産や事業縮小に追い込まれる事態すらありえそうな勢いになってきている。


本邦勢は米国のトップ集団との差が絶望的なほど

IoTに関してはクラウドとの連携や通信インフラの問題などがあり、1社だけが独走するといった体制にはなっていないように見える。しかし、決定的な問題になりつつあるのがAIの領域において本邦勢は、産学ともに米国のグーグル、フェイスブック、Open AIといった企業やスタンフォード、UCバークレーなどの研究室との差を埋められない状況が続いていることである。とくに機械学習などの分野では、世界的な学会に日本人を送り込むことがほとんどできず、そもそも研究者のレベルで日米の差が大きく開いている。

大学などの研究者レベルですらもこうした差が開いている以上、実業界で差が開くのは当然のことであり、日本でも人工知能の研究は足元のようにAIが花開く時代をまったく予期できないまま、多くの研究者が国からの予算をカットされ現在に至っている。そのため、国内ではその中核をなす存在がほとんどいないという、なかなか厳しい状況に陥っているのだ。国もまったく先見の明がなかったことが、今頃になって詳らかになるという実に情けない事態だ。

AI研究者の雇用コストはすでに抜群の高さ

つい最近、フェイスブックが雇用することになったAI研究者の初任給が、30万ドルを超えたという記事が日本の新聞にも踊ったが本家本元といわれる米国でさえこの調子で、適格な開発者を確保すること自体に驚くほどのコストがかかっていることがわかる。果たしてこうした状況で、国内のAIビジネスが世界と互角にやっていくことができるのかどうかが非常に気になるところだ。

AI関連では実際にアルゴリズムを開発し、機械学習を効率的に実施するような研究者と、サービスとして応用研究をする技術者の両方が必要になるのだが、残念ながら国内では両方ともに足りない状況が続いている。IoTも事業の内容をつきつめていくと、その先に待っているのがAIとの連携の問題であるケースが非常に多く、こちらも不安が残る状態といえる。このままでは適正な知見と能力をもった人間を確保できず、企業として生き残れないというかなり深刻な問題も出かねないところにさしかかっている。また、仮に一定の人材を確保できたとしても、初期の人件費で事業として採算ベースに乗るのかどうかも別の問題として浮上してくることが考えられる。

最初から知見のあるIT企業と提携も一考

こうなると八方塞りの状況にも見えるが、簡単にAI関連の企業買収もできず、自社内に適切な知見の持ち主もいない企業では、Watsonを擁するIBMのような企業と早くから提携関係を締結し、外部の知見に依存することで市場の流れをキャッチアップしていくという動きも顕在化している。

この業界では、必ずしも一業種一社制という縛りが出来上がっているわけではなく、コンソーシアムのような形態で協業に参画することも可能になってきていることから、早めのパートナー探しを行うというのもひとつの解決策につながりそうだ。いくら厳しい現状を憂いていても解決にはならない。適切な巻き返しがはかれるような方法をぜひ見つけ出していただきたいものだ。