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aradaphotography / Shutterstock.com

もはや、事業の全体像を把握するのが困難なほど拡大し続けている「ソフトバンク」。
社名の由来ともなったソフトウェアの卸売業だったことが、遥か昔に感じます。出版、インターネット、携帯電話、プロ野球、ロボットなど、孫正義社長の飽くなき成長欲によって拡大し続けてきた同社。普通の企業なら、もうこの当たりで成長もスローペースになっているところですが、同社にその気配は見当たりません。そして今、攻勢に出ているのがIoT事業です。

ソフトバンク、日本企業で3社目となる純利益1兆円突破

2017年5月10日、ソフトバンクグループは2017年3月期の純利益が前年比約3倍の1兆4,263億円となり、初めて1兆円を超えたことを発表しました。これまで純利益1兆円を達成できた日本企業は、トヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャルグループしか存在しません。とはいえ、この2社と異なり、ソフトバンクは孫正義社長が一代で築いた企業です。まさに恐るべきは、孫社長の手腕でしょう。

ソフトバンクは数年前まで巨額買収で生じた有利子負債が、収益を圧迫していました。普通の経営者なら、あの辺りで買収のペースを緩めて、収益改善に舵を取るところですが、孫社長はさらなる買収攻勢に突き進んだのです。そして、中国の通販大手アリババ グループ ホールディング株やフィンランドのゲーム会社スーパーセル株を売却し、それらが計約7,500億円と巨額になったことで追い風が吹きました。傍目から見たら、これらの行為は「賭け」にも映りますが、孫社長は確信を持って物事を達成させているのかもしれません。いずれにしても、常人ではとても真似できない芸当です。

この業績に対して孫社長は「記念すべき数字だ」としながらも、「1兆、2兆の利益は通過点に過ぎない」と述べています。孫社長の大風呂敷はいつもと同様ですが、今回については確固たる根拠があってのことでしょう。なんといっても、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」が誕生したのですから。

ビジョン・ファンド設立、資産規模は10兆円以上!

「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」は、IoT、AI、バイオ、ロボットといったハイテク関連企業への投資を目的としたファンドです。驚くべきはその資産規模で、サウジアラビアの政府系ファンドや米Apple、クアルコムなど、世界中の有力企業が出資した結果、なんと約10兆円以上にまで拡大しました。2017年3月にサウジアラビアのサルマン国王が来日したとき、孫社長が国王と会談を行い、共同で投資ファンドを設立することがニュースになりました。ビジョン・ファンドは、まさにこれに当たります。

ソフトバンクは、このファンドによって強大な武器を手にしたと言えます。なぜなら、これまでのように巨額の有利子負債が生じる「借金」に頼らなくても、ファンドによる投資でM&Aを積極的に行えるからです。とくに力を入れようとしているのがIoTです。

ARMがIoTチップを1兆個作ることになる!

ソフトバンクのIoT戦略にとって、ビジョン・ファンドの設立は「後段」に当たります。「前段」となる動きは、2016年に行った英ARM(アームホールディングス)の買収です。その買収額はなんと約3兆3,000億円で、日本企業による海外企業のM& Aとしては過去最大となりました。

ARMという社名は、この買収劇があるまで日本ではほとんど知られていませんでした。というのも、同社はマイクロプロセッサーやグラフィックス・チップの設計に関する半導体知的所有権(SIP)をメーカーなどに売っているため、一般消費者との接点がないからです。ただ、同社がデザインした回路設計は、世界中のスマートフォン、デジタルTV、自動車などに組み込まれており、その影響力は圧倒的と言えます。

孫社長は、2017年2月にスペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2017」の基調講演のなかで、「スマートフォンの出荷台数は今後確実に減少するが、それを解決するのがIoTであり、ARMを巨額で買収した理由だ。将来、ARMは1兆個のチップを作ることになる」と述べています。

ARMの巨額買収に続き、巨額ファンドの設立によってIoTを推進していこうとするソフトバンク、もとい孫社長。その巨大過ぎる戦略は、この瞬間も休みなく着々と進められているのでしょう。


<参考・参照元>
「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の初回クロージング完了に関するお知らせ」 | ソフトバンクグループ
ARM買収(子会社化)の完了に関するお知らせ」 | ソフトバンクグループ