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日本の食卓になくてはならないコメ。日本食の象徴的な食材でありながら、年々生産量が減少しています。そんな中、おいしいお米をおいしい状態で供給するために、農業IoTを活用してさまざまな取り組みが行われています。日本のコメの未来はどうなるのか、そして農業IoTは日本のコメを飛躍させる起死回生の一打となるのか、見ていきたいと思います。


日本のコメの課題とは?

現在の日本のコメはどのような課題を抱えているのかみてみましょう。

  • 食の多様化による消費量の低下
高度経済成長以降は欧米型の食生活が浸透し、コメの代わりにパンや麺類などを食べる機会が増え、日本の食生活は多様化しました。日本のコメの生産量は世界で第10位ですが、1人あたりの消費量はアジア諸国と比較して圧倒的に少なくなっています。
<参考・参照元>
生産量と消費量で見る世界の米事情

  • 担い手の高齢化
担い手の高齢化はコメだけではなく、農業全体が抱える問題です。農林水産省の「農業就業人口及び基幹的農業従事者数」によると、平成22年(2010年)には約260万人だった農業就業人口は、平成28年(2016年)の概算値では約190万人。年々減少の一途をたどっています。
それに伴って65歳以上が占める割合も平成22年には約60%、平成28年には約65%とかなりの割合を占めるようになりました。このまま高齢化が進むと産業の衰退が進んでしまう危険性をはらんでいると言えます。
<参考・参照元>
農業就業人口及び基幹的農業従事者数

  • 国際的な競争力の低下
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の 無形文化遺産に登録されたことにより和食は世界でも話題になり、ますますの人気を集めているようです。そんな中、日本のコメの品質も高い評価を受けています。日本国内で消費量が減少しているのであれば、世界へ輸出することで産業を活性化させるのもひとつの方法という考えもあります。
にもかかわらず、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)でコメを含む5品目を聖域にして関税を撤廃しないよう交渉しているのは、国際的な競争力に乏しく、自由化すると産業が衰退してしまうという懸念があるからと思われます。政府が行った2013年の試算では農林水産物の生産額は3兆円減少するとしています。最も2015年の再試算ではこの数字が2100億円と大幅に縮小されているのですが、リスクは残ると見ておかしくありません。
<参考・参照元>
“経済効果は約14兆円”政府試算

越後ファームの事例にみる儲かるコメのヒント

ご紹介したような日本のコメが抱える問題がなぜあるかというと、単純に「儲からない」からです。農業専業者の平均年収は200万~300万ともいわれ、休みなしに働くキツいイメージも残っています。
儲かる仕組みを作り出すことに加えて、ツライ、キツイ仕事というイメージを払拭しないとこのままでは担い手が加速度的に少なくなり、産業が縮小してしまいます。そもそも、平地の少ない日本では水田の土地を確保するのも難しく、大量生産には限界がある、という問題もあります。
こういったあらゆる問題を解決し、「儲かるコメ」にするためにはどのようなことが必要でしょうか。
ひとつ考えられるのは、本当においしいコメが消費者に届く環境づくりをすることです。
現在は食の低価格化が進む一方で、お金をかけてでもおいしい食材を選びたいという人も多くいます。そういった層に対して、“このメーカーでないと味わえない美味しさ”という農家独自の価値を生み出すことができれば、価格競争に巻き込まれることなく利益を確保できるでしょう。

ヒントとなりそうなのが新潟県東蒲原郡阿賀町の水田で米づくりをしている越後ファームの取り組みです。越後ファームでは当初、条件のいい平地を確保することができず最終的に阿賀町の山間地域の水田しか確保できませんでした。そのため大量生産は不可能な状況にありましたが、そういった困難な状況を逆手にとって生まれたのが“超高級路線に絞る”という戦略です。農薬や肥料を一切使わず、山の掛水のみを使ったこだわりの栽培方法から生まれるコメは、富裕層に大好評を得ました。恵まれた環境とは言えない中、その土地で自分たちだからこそできることを追求した越後ファームのコメは、今では日本橋三越店で唯一の米穀店を出店し、JAL国際線のファーストクラス、ビジネスクラスで「南魚沼産のコシヒカリ」を退けて選ばれるほどの成功を遂げています。越後ファームのコメがJALに選ばれたのには、美味しさの他にも理由があります。越後ファームは阿賀町に、雪の保温効果を利用する「雪室(ゆきむろ)」と名づけられたコメの貯蔵・加工施設を設立していますが、この雪室では鮮度を落ちにくくするためにモミのまま貯蔵し、出荷時期にあわせて精米するという工夫をしています。そのため一年中コメの水分値を新米同様に保つことができるというわけです。この独自の貯蔵法も、この超高級米が選ばれた理由のひとつだそうです。
<参考・参照元>
なぜJALは脱サラ農家の米を選んだのか

こうした事例を見ると儲かる米を作るには、
  • おいしい米を生産する
  • 生産者の顔が見えるトレーサビリティ
  • おいしい米をおいしいまま消費者に届けるための適切な保存管理
が必要となることがわかります。

後編ではIoTを活用したおいしい米作りの取り組みについてご紹介します。

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