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現代社会は今、エネルギーの運用において、大きな過渡期にあります。膨大に消費されるエネルギー、原発問題、二酸化炭素削減、再生可能エネルギーなどなど、課題と対策が渾然一体となっている状況です。そんな中、個人や家庭というミクロの視点では、2016年から始まった電力自由化が話題になりました。
<参考・参照元>
電力会社の選び方 1234
東京ガス、電力小売自由化で勢い

一方で、一部の大企業では電力効率化、省電力対策を進めています。今回は大企業というマクロの視点について見て行きます。やはり、ここでも活躍するのはIoTです。

中部電力とNECが共同で火力発電の運転支援事業を展開

2016年6月、中部電力とNECは共同で、2017年度から開始する新事業について発表しました。それはNECのIoTやビッグデータ分析技術を利用して、中部電力が保有する火力発電設備の信頼性向上や設備保安の高度化を図り、さらには国内外の発電事業者にも、その運転支援事業を展開していくというものです。具体的に言うと、火力発電設備に各種センサーを取り付け、IoT化。そこから得られる温度や圧力、流量などのビッグデータを分析し、故障の早期発見や運転の効率化などにつなげていきます。

両社は2014年度から火力発電における運転支援サービスの事業化に向けて、碧南火力発電所などで共同研究を実施してきました。その有効性が確認できたため、本事業の展開に踏み切ったというわけです。

とくにNECは、現在IoTを事業の中核にとらえ、積極的な動きを見せています。IoTプラットフォームを開発したり、本事業のように国内外の発電事業者にもノウハウを展開していく手法は、影響力を高めていくビジョンの一環でしょう。

<参考・参照元>
中部電力 プレスリリース(2016年6月24日)
NEC、IoTで「つながる工場」「つながる製品」を目指す
NEC、IoTプラットフォームで戦略加速

三菱ケミカルHD、IoTを駆使した省電力体制を発表

三菱ケミカルホールディングス(HD)も、IoTを利用した省電力体制を2019年から始めることを発表しました。これはIoTを駆使して自家発設備の稼働率を高め、それによって生じる余剰電力を別の事業所に融通させる取り組みです。

三菱ケミカルHD傘下の三菱化学と三菱樹脂、三菱レイヨンの3社は現在、国内に約20ヶ所の事業所を持っており、このうち大規模な化学プラントのある事業所は、自家発電用として火力発電設備を保有しています。一方で、三菱化学筑波事業所(茨城県牛久市)など大半の事業所では自家発設備を持っておらず、地域の電力会社から電気を購入している状況です。こうした背景から、まずはIoT導入によって自家発設備の運転最適化や遠隔監視で稼働率向上を行い、それによって生じた余剰電力を自家発設備のない事業所に供給するのが本事業の狙いです。この省電力体制におけるコスト削減効果はかなり高いとされ、年間10億円以上のコスト削減効果を見込んでいます。自家発設備を保有する大企業では、三菱ケミカルHDの動きをならって同様の動きを加速させるかもしれません。

<参考・参照元>
日刊工業新聞(2016年11月1日)

Googleが「再生エネ100%」に転換

最後に、Googleが取り組む電力対策もご紹介します。直接IoTが関係しているわけではありませんが、流石はGoogle、スケールが半端ではありません。2017年に自社で使用する電力を「100%再生可能エネルギー」に切り替えると発表したのです。

現在、同社は大規模なデータセンターを世界13ヶ所で運営するほか、約60ヶ国150都市にオフィスを構えています。この設備によって、検索やメール、動画共有など利用者10億人を超える巨大なネットサービスを支えているのです。しかし同時に、電力使用量も膨大なものになっています。2015年は5.7テラワット時の電力を使用しました。これは島根県全体の電力使用量にほぼ匹敵します。

そこでGoogleは2012年から「再生エネ100%」を目指し、コスト削減を図ってきました。近年、再生エネルギーのコストは大幅に低下。風力発電はこの6年間で60%、太陽光発電は80%も下がったこともあり、同社の電力シフトは順調に進んできました。すでに、使用電力の95%を占めるデータセンターの大幅な省エネ化を成功させています。

現在、「再生エネ100%」を達成する企業は欧米を中心に増えています。日本がこのような状況になるかは未知数ですが、現在電力問題に直面しているだけに大いに参考になる動きだといえます。

<参考・参照元>
日本経済新聞(2016年12月6日)