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AmazonはEコマースや「AWS(Amazon Web Services)」の影響力から、Googleに匹敵する「ITの巨人」と言えます。その巨人が、大きな可能性を秘めたディープラーニングと無関係であるはずがありません。やはり、彼らは独自技術によるディープラーニング戦略を描いていました。その用意周到さ、緻密な戦略には目を見張るものがあります。

Amazonのオープンソース「DSSTNE」

深層学習型人工知能ディープラーニングと言えば、現在のところはGoogleの独壇場に見えます。2016年3月、Googleがディープラーニングを用いて開発した「AlphaGo」が囲碁の世界チャンピオンを破り、世界中にその存在を轟かせました。その熱狂が起こる前年の11月、Googleはディープラーニング・機械学習用のシステム「TensorFlow」をオープンソースとして開始。現在では様々な企業がTensorFlowを利用して開発をしており、その影響力は高まるばかりです。

一方で、クラウドの巨人であるAmazonもディープラーニングの研究開発を続けています。2016年5月、Google同様にAmazonも自社のディープラーニングソフトウェアをオープンソース化し公開に踏み切りました。その名は「DSSTNE」で、“Deep Scalable Sparse Tensor Network Engine”の頭文字を並べたもので、発音は“Destiny”(運命)と同じです。

「DSSTNE」は、ソフトウェア開発プロジェクトのためのソースコード管理サービス、GitHubに公開されています。公開されているソースコードの閲覧や簡単なバグ管理機能、SNSの機能を備えており、開発者にとって無くてはならないサービスです。

AmazonはGitHubのFAQページで、「DSSTNEは、Amazonの多数の顧客のショッピングを支援するもの。顧客にふさわしいオススメ製品を提示するのに、ニューラルネットワークつまりディープラーニングは不可欠。オープンソース化したのは、ディープラーニングの可能性を、言語の理解やオブジェクトの認識などの領域にとどまらず、検索や推奨などの分野にも広げられるようにすることが目的だ。世界中の研究者が協力し、一層良いものとなるようにしてもらいたいと考えている。さらに重要なことだが、より多くの分野で革新に拍車がかかることを期待している。」と述べています。

新技術をフル活用したAmazonの壮大な戦略

Amazonは、ディープラーニングを含めた独自の戦略を持っていることが伺えます。ちょっと整理してみましょう。Amazonの中心はやはりネットショッピングサイトであり、その膨大な取引を実現しているのがクラウドコンピューティングです。この技術を他社にも利用してもらうため、2006年から「AWS(Amazon Web Services)」をスタートさせました。今では多くの大企業や官公庁が利用しており、AWSの影響力は巨大なものになっています。

次にAmazonが狙いを定めたのが、IoTです。あらゆるモノがネットで結びつくことで、自社のネットショッピングサイトにどんどんユーザーを呼び込むことができます。そして、そのビジョンを形にしたのが「AWS IoT ボタン」です。「洗剤が切れたら1プッシュ」、「ドッグフードが切れたら1プッシュ」という風にボタンを押すだけで、購買が完了するという仕組み。ユーザーは便利でついつい買ってしまいます。当然これらはAmazonに巨大な売上をもたらしますが、考えてみれば凄まじい話です。

そして、このIoTも他社に使ってもらおうと始めたのが、「AWS IoT」というIoTプラットフォームです。こちらの影響力も日々高まっており、大企業だけでなく、中堅・中小企業の利用も少しずつ増えてきています。

これだけにとどまらず、Amazonといえばドローンもあります。そもそもドローンをここまでメジャーにしたのはAmazonです。アメリカのように面積の大きな国で、通販をやろうとすると、どうしても輸送コストがかかります。公共交通網がない山間部や砂漠もあります。それを解決しようと、かなり以前からドローンの利用に積極的でした。Amazonは日本でもドローン配送を検討中。千葉市が「ドローン特区」に認定されたのを機に、Amazonが参入を表明しました。幕張新都心のように高層マンションが多い地域でのドローン配送を視野に入れています。

AWSが始まってすでに10年。10年後の今、AmazonはクラウドだけでなくIoT、ドローン、ディープラーニングにも着手しています。新技術をフル活用するAmazonの戦略には驚くばかりです。次の10年後には、さらに新しいことを始めていてきっと私たちを驚かせてくれることでしょうね。