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最近、危機感とともに大きな話題になっている「2025年問題」。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、3人に1人が65歳以上となる超高齢社会のことです。とても重いテーマではありますが、その一方でIoTや人工知能といった新技術が課題解決の切り札になる期待も高まっています。当サイトでもそれらの新技術について多くの記事を紹介してまいりましたが、今回は2025年問題に向けて期待が高まっている「介護タクシー」に焦点を当ててみたいと思います。

介護福祉市場、2020年には2兆8000億円規模にまで成長

「2025年問題」は重い話題として語られることが多いですが、一方で“成長”の側面があることにも注目すべきでしょう。株式会社富士経済がまとめた報告書「"Welfare"関連市場の現状と将来展望 2014」によれば、介護福祉・介護予防関連製品・サービスの国内市場は、2014年では約1兆7000億円。それが6年後の2020年には約2兆8000億円になると予測しています。もちろん、2025年にはさらなる成長が予測されるでしょう。

この調査で対象となったのは、要支援・要介護者をターゲットとした介護・福祉機器や、加齢に伴う心身機能の変化に応じた自立支援、介護予防、リハビリ、介護など高齢者の生活支援を目的とする製品やサービス。今はまだ少ないですが、2025年を迎える頃には当サイトでも多く紹介してきたIoTや人工知能などを使った介護用品やサービスも増えているものと思われます。見方を変えてみると、2025年問題も暗い話題だけではなくなります。

介護とタクシーが一体になった「介護タクシー」

今後の成長が期待されるのが、「介護タクシー」です。これは訪問介護の一種で、正式には「通院等乗降介助」と言います。通院などの外出、ホームヘルパーが運転する自動車への乗車、降車後の移動、病院で受診などの手伝いを行うなど、介護とタクシーが一体になったサービスで、利用者にとっては介護保険が使用できるメリットもあります。普通のタクシーはセダンが一般的ですが、介護タクシーで使われる車両は、車椅子やストレッチャー対応ができるよう、リフトが付いているハッチバック型の車両が主流です。現在、介護タクシーを展開する事業者は少しずつ増えています。

ITを駆使した日本交通の新事業

介護タクシーとは異なりますが、日本交通の「ケアタクシー」は人気があります。単に通院に利用するだけでなく、ショッピングや墓参りなどに利用する人も多いとか。ショッピングの際に乗務員が荷物を持ってくれるサービスも人気の理由だそうです。

日本交通は東京最大手のタクシー会社ですが、2000年代初頭は巨額の負債を抱えて苦境にあえいでいました。そこで、現在日本交通の会長でありJapanTaxiという“全国タクシー”アプリ運営会社の社長でもある川鍋一郎氏の下で進められたのがITを駆使した新事業でした。2011年、同社はスマートフォンでタクシー配車を簡単に依頼できるアプリ「日本交通タクシー配車」をスタートさせます。これは競合に先駆け、日本初のリリースでした。この後、グループ会社・提携会社にまで対象を広げた「全国タクシー」もリリース。今では全国のタクシー会社の約1割が参加しています。

もうひとつの新事業が、前述のケアタクシーに加え、東京観光タクシー、キッズタクシーの3サービスからなる「エキスパート・ドライバー・サービス」(EDS)。東京観光タクシーは文字通り、東京の観光をタクシーで楽しんでもらうためのもの。キッズタクシーは、家族に代わり子供を学校や塾、お稽古事などに送迎するサービス。同社はこうしたIT技術と顧客のニーズの深掘りによって、事業をV字回復させたのです。

自動運転やITが2025年問題の課題解決につながる

要介護者が激増しているのに比べて、介護業界は労働力や資金力が乏しいという課題に直面しています。そこで、それらをIT技術で補って成長させようという取り組みも動きを見せ始めています。

自動運転技術の向上も高齢者にとっては大きな可能性となっています。自分で運転することなく買い物や病院に通院できるのはもちろんのこと、最近ニュースで耳にすることが多い高齢者ドライバーによる自動車事故なども未然に防ぐことができるようになると期待されているからです。今、実証実験が行われている「ロボットタクシー」などは、実現性が高いだけに期待がますます膨らみます。今後、タクシーの他にもさまざまな分野に渡ってIT対策をすることで、2025年問題への果敢な取り組みが期待できそうです。