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トヨタ自動車、凄さのルーツは創業者・豊田喜一郎にあり

トヨタ自動車――売上高27兆円、利益2兆円という中規模国のGDP級を稼ぎ出すモンスター企業。世界一になってもなお、挑戦し続けるマインドはどこから来るのでしょうか。思い切って、創業者の生き様に注目してみます。

中規模国のGDP級を稼ぐモンスター企業

説明不要ではありますが、トヨタ自動車は国内最大手、というより今や世界最大手の自動車メーカーです。世界最大手になってからも限界知らずで、円安を追い風に最高益をたたき出してきました。2015年3月期連結決算では、売上高が前期比6%増の27兆2345億円、営業利益が20%増の2兆7505億円、最終利益が19.2%増の2兆1733億円で、日本企業全体で初の2兆円越えを記録しました。

2兆円が売上高ではなく、利益額ですからね。どんだけ凄いのかと。トヨタのこの稼ぎは中規模国のGDPに匹敵しており、売上高で見ればポルトガルやイラク並み。利益で見ればアイスランドやカンボジア並みになっています。まさにビッグ・カンパニー、モンスター企業といったところです。

こんなに凄いのに柔軟な経営姿勢

トヨタ自動車はこれだけ凄い企業なのですが、それにおごって停滞する様子がありません。普通は企業規模が大きくなると、組織が硬直化して社員はイエスマンだけになり、内部崩壊を起こしやすくなるものです。悪い例として挙げるのは心苦しいですが、一時期のソニーやシャープがそれに当たるかもしれません。しかし、トヨタは世界最大手になっても、なお「異端」や「ベンチャー精神」の姿勢を持ち続けているように感じます。

トヨタを代表する特色として、「かんばん方式」があります。正式名称は、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」を意味する「ジャストインタイム生産システム」。3万点にものぼる部品から造られている自動車を大量にしかも効率良く生産するため、ち密な生産計画を立て、無駄なコストを徹底的にカットする方式です。トヨタが、そして日本全体が自動車大国として躍進した秘密がまさにこれでした。

その他、トヨタの革新的な取り組みを挙げたらキリがありません。世界で初めてハイブリッド車を作ったのもトヨタですし、今では自動運転システムの開発にも力を入れています。

一般人のアイデアを自動車づくりに反映させたり、最近では不妊治療をしやすくする新たな休暇制度を実施するといったことも発表しました。働きやすい環境づくりには定評があり、何十年もずっと学生の人気企業ランキングで上位にあるのも納得です。

そもそも創業者・豊田喜一郎が凄かった

それにしても、世界最大手になってもまだまだ前進するという経営姿勢は、理想ではありますが、誰でもできるものではありません。むしろ、できない方が当たり前です。トヨタのこの不思議さを理解するヒントになるのが、創業者・豊田喜一郎のマインドです。

豊田喜一郎(とよだ きいちろう ※人名の方は「TOYODA」と濁点がつきます、1894年~1952年)は、トヨタ自動車の創業者ですが、無一文から起業したわけではありません。父である豊田佐吉(とよだ さきち、1867年~1930年)が、すでに豊田紡織(現・トヨタ紡織)を創業し、成功させていたのです。

喜一郎は父・佐吉の意向で、経営者になるため東京帝国大学工学部機械工学科、同大学法学部で学びます。その後、地元の名古屋に戻り、豊田紡織に入社します。本来なら、そのまま父の意向に従って事業を継げばいいところですが、喜一郎は経営よりも研究・開発の方に興味がありました。

そして、欧米に出張したときに見た自動車産業が将来大きく発展すると考え、1933年に自動車製作部門を新設。これが1937年にトヨタ自動車工業株式会社として独立するのです。

喜一郎が「これからは自動車をやる!」と宣言したとき、父を含めた関係者はド肝を抜かれ、反対意見も多かったと言われています。それでも挑戦し、成功させた喜一郎のマインドは、今のトヨタにも見事に受け継がれているように感じます。日本をそして世界をリードする企業として、これからも挑戦し続けてほしいです。