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2019年までに大手企業の90%が設置するという「CDO」って一体何?

CDOというポジションをご存知だろうか?「Chief Data Officer」、つまり「企業における最高データ責任者」がこのポジションの正確な肩書きとなる。企業が情報資産を有効活用することで競争優位性と効率を高めようとしのぎを削っている状況が、最高データ責任者「CDO」の急増につながる、との見解を発表して注目を集めているのは、米国に本拠地を置くICTアドバイザリ企業の業界最大手のひとつガートナー。2019年末までに大手企業の90%がCDOの役職を設けるとガートナーは予測している。このCDOとは果たしてどんな仕事に責任を持つ存在なのだろうか?今回はこのCDOの仕事をクローズアップしてみることにする。

 

全社規模でデータ収集と活用機会に責任を負う役員がCDOという存在

企業のデジタルビジネスの有効活用は今後益々重要性を帯びてくることが予想される。情報資産への投資とアナリティクスの総合的な利用で大きな利益を引き出すという仕事に、全社レベルでの責任を持つC(チーフ)クラスの役員が必要になるだろう。そのため実際にCDOという役職の設置が進むことになるのは間違いないと考えられる。
ただし、このCDOという役職はかなり多くの困難な課題に直面することになり、設置は容易でも成功を収められる人物はその半数以下にとどまるだろう、とガートナーは指摘している。

CDOが担うべき役割は6つ

ガートナーはCDOの主な役割として次の6つを挙げている。具体的な内容としては……

  • 自社のビジネス戦略と主たる価値規範に基づき、エンタプライズ・レベルの情報管理戦略を策定する。
  • 社内の幅広い関係者、特にCIOとの間において、不断の努力をもって信頼関係を構築する。
  • データと情報がビジネスの成功全般に果たす役割について、上級役員および同僚への周知を徹底する。
  • 情報の統制とデータの収益化の進捗度を測る評価基準を確立する。
  • 数値化が可能な情報評価基準とビジネスの主要パフォーマンス指標 (KPI) とを結び付け、成功の度合いを数値として目に見える形で提示する。
  • 公式な情報資産の評価基準を採用し、社内全体で共有する。

この6つのポイントはどれもきわめて重要なエレメントといえるが、CDOは全社規模で調整能力を発揮することができる存在で、しかもデータ自体に精通しているとこともさることながら自社の業務プロセスや社内的な仕組みにも精通していることが求められる。さらに複数部門の利害関係も高度なレベルで調整できる存在であることも求められるだろう。かなり難易度の高いポジションとなることは間違いなさそうだ。

CMOも満足に機能しない本邦法人でCDOは本当にワークするかが問題

国内企業でもCDOという存在は今後大きくクローズアップされることになるものと思われるが、問題は全社レベルでこうした役職者が大きな機能を果たす存在になり得るかということだ。CMO(チーフマーケティングオフィサー)というポジションは欧米企業ではもはや設置が当たり前のポジションとなりつつあるが、その在任期間はほかのCクラスの役員に比べて極端に短く、全社の中で長く戦略性を保ちながら続けていくことが難しい役職のひとつになっている。また国内では名ばかりのCMOが多く、絶対的な権限を行使してマーケティングをリードできる人物はごく限られているのが実情だ。これがCDOという役職者になればより一層難しいポジションになることは間違いなく、日本国内の企業でこうしたポジションがどれだけワークすることになるのかが非常に注目されるところだ。
グローバルコンペティションの世界では企業のデータマネジメントとそれをテコにした戦略構築と実施が必須の事項となってきていることは間違いない。日本でもCDOという役職が定着し、大きな機能を発揮できる存在となってくれることを期待したいところだ。