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CHANGE-MAKERS特別企画として、Dr.本荘こと、本荘修二氏による連載をお届けします。

本荘 修二氏 プロフィール
本荘事務所代表として、新事業やIT関係を中心に経営コンサルティングを手掛ける。多摩大学大学院(MBA)客員教授としてアントレプレナーシップを担当。日米の企業のアドバイザーを務める。500 StartupsやNet Service Venturesの顧問、ならびにAlchemist AcceleratorやFounder Institute、SPARK!、福岡県などの起業家メンターである。Journal of Business Venturing, ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス等への論文、ダイヤモンドオンライン、日経ネット等への執筆、慶応大学、早稲田大学、企業研究会など講師・講演活動多数。東京大学工学部卒業、ペンシルベニア大学経営学修士、早稲田大学博士(学術)。
本荘修二オフィシャルサイト|交わり、つくる。

『東芝、「IoT」開発4000人体制に グループ一体』なる記事が2015年1月(日本経済新聞)に出たとき、ハイプだな、と思ったのは筆者だけではないだろう。いまや流行語となったIoT。「モノのインターネット」として、ごく一般向けのテレビ番組でも特集されたり語られるようになった。しかし、そういうときは往々にしてピーク、つまりこれから下り坂に入るものなのだ。

IoTについては、2014年10月のイベントStructure ConnectでIBMのPaul Brody氏(Vice President of IoT)が「典型的なバブルの段階」と指摘し、2015年6月のWorld Business Forumでスティーブ・ウォズニアック氏(Apple共同創業者)が「バブルのように感じる」と語っている。

しかし、もっと論理的に整理して考えられないものだろうか。

真の可能性を見極める

ガートナーのハイプ・サイクル
「ガートナーのハイプ・サイクルは、テクノロジとアプリケーションの成熟度と採用率をグラフィカルに表示したものです。」「ハイプ・サイクルを通じ、それぞれの業種やリスク選好度といった観点から、新しいテクノロジが持つ可能性を知ることができます。」というリサーチ・メソトロジがある。

群衆そして社会の心理は不思議なもので、こうしたサイクルとそれに翻弄された過ちが繰り返されている。経営者たるもの、現実からハイプを切り離して、適切な意思決定をしなければならないのに、だ。

出典: ガートナー ジャパン「リサーチ・メソトロジ: ハイプ・サイクル」

これから転げ落ちるIoT

では、IoTはどうだろう。ガートナーが発表したハイプ・サイクルの2015年7月版によると、モノのインターネットは「過度な期待」のピーク期にあり、これから幻滅期に移行すると考えられる。

最近の講演でこれを示すと、「我社がいままさに力を入れようとしているんです」と言う不安に満ちた声が上がった。「ウチもIoTをやれ!」というトップの号令がこの1-2年でかかった会社は多いだろう。特に、日本は米国よりIoTへの取り組みが2-3年ほど遅れたきらいがあり、ここで我も我もと続いているのだ。


出典:ガートナープレスリリース「ガートナー、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2015年」を発表企業が注視すべきコンピューティング・イノベーションが明確に」2015年8月27日

踊らされるか、自らの道を切り開くか

日本勢は出遅れているが、長期戦であり、まだなんとかなる。しかし、周りに踊らされても得るものは少ない、というか失うものの方が大きいだろう。付和雷同ではなく、自らの戦略で行動することだ。

インダストリー4.0なるドイツのイニシアチブがあるが、産業分野ではすでに市場の顕在化が始まっている。GEは既存事業へのICTの組み入れを加速し、2012年から「Industrial Internet」を標榜して具体的な行動を推進している。GE、IBM、シスコシステムズ、インテル、AT&TがIoTのリーダーシップを執ろうと創設したIndustrial Internet Consortiumは、200以上の企業を呼び込んでいる。

それより遅れて日本企業群のIoTへのコンソーシアム的な動きもある。しかし、ある日米をよく知るコンサルタントは、「IoTの言葉だけ一人歩きの第1フェーズが終わると、今度は既得権益を持つ企業が(多くの場合官庁と共に)本格検討を開始する。一見前向きに見えるが、実は、既得権益への影響を考え、イノベーションのスピードをコントロールしようとしてペースダウンさせる。歴史は繰り返す。」と、日本の先行き不安を言う。

自らのビジョンや戦略、そしてリスクはあっても他に先んじた行動をとることが問われていることを重々認識しなければ、未来の果実は得難い。会社によって、大きく差がつくことだろう。

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