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CHANGE-MAKERS特別企画として、Dr.本荘こと、本荘修二氏による連載をお届けします。

ユニコーンになるスタートアップの条件は何か?2015年末にサンフランシスコで開かれたBullpen Capitalらが主催の「Post-Seedコンファレンス」での議論から、エッセンスを紹介してみたい。

アーリーステージでユニコーン候補が分かるか?

ユニコーン(一角獣になぞらえて10億ドル以上の評価額の未上場ベンチャー企業を言う)になる企業をアーリーステージで特定できないか?5名の投資家による「What Unicorns looked like at Series A/Post-Seed」パネルが注目を集めた。


パネリストの一人、Shasta VenturesのTod Francis氏らのレポートが興味深い。コンシューマー向け事業のユニコーン32社がシリーズAの頃どうだったかを調査したものだ。
共通してよくみられる特徴は次の5つ:
・却下されやすいアイデア
・競争が厳しい市場
・顧客の行動を一変させるもの
・経験のない起業家
・マネタイズ(売上)なし
これらは、起業やベンチャー投資の一般セオリーとは一致してはおらず、ユニコーンを理解する上で参考になる。

なかなか相手にされないアイデアが大化けする

Intel CapitalのChristine Herron氏は、”market nemesis”(市場における強大な敵)を持つべし、と指摘。UberもAirBnBも然りだ。「競争が厳しい市場」は、ひっくり返すと成果も大きい。

しかし、それは「顧客の行動を一変させるもの」であり、常識を逸脱したものでもあり、おうおうにして「却下されやすいアイデア」なのだ。

他のセッション・スピーカーで米国トップのベンチャーキャピタルであるSequoia CapitalのAlfred Lin氏は、個人としてUberの初期のエンジェル投資家だが、SequoiaがAirBnBの初期に投資したのにUberへの投資を見送ったことについて、大失敗だったと述べている。


「Sequoiaは、Uberは起業家もサービス内容も良いと思ったが、黒塗りのクルマじゃ市場が小さいと考えて見送った」のだ。多くの投資家が却下したAirBnBのアイデアに投資をしたセコイアでも、Uberはピンと来なかったのだ。特に消費者向けのユニコーンは、ティッピング・ポイントを超えると急速に成長するが、アーリーステージでは予測が難しい。

フレッシュな視点で、人を説得できる起業家

Lowercase CapitalのMatt Mazeo氏は、〇〇となるだろう、でなく、〇〇となる、や〇〇となるとき我が社はこうする、といったfuture perfect(未来の完全な形)で話をする、と指摘する。「人を説得できるストーリーテリングに長けた起業家がユニコーンを可能にする」と言う。

しかし同時に、知的に正直で、データに基づき、外部の声に耳を澄まし、自らのアイデアに固執せずに何度もやり直せる、自らのエゴを超えられる起業家にこそ可能性があるとも議論された。そして、問題の解決に腐心する起業家を選び、売却時の企業価値やリターンを強調する起業家は避ける、のがパネリストの共通認識だ。

またユニコーン起業家は、その分野の経験者でなく、フレッシュな視点から変革を起こす素人が多い。だからこそ、常識的にみるとバカなアイデアで、顧客も市場も転換できるのだ。そして、ほとんどのユニコーンでは創業者が残っており、愚直なパッションが大切だといえよう。

こうした、一見はドンキホーテのような、市場や産業を転換するようなイノベーティブというかバカな事業テーマに挑む起業家が、日本でも増えることを願いたい。

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