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CHANGE-MAKERS特別企画として、Dr.本荘こと、本荘修二氏による連載をお届けします。

いま米国のベンチャー投資の課題は何か?2015年末にサンフランシスコで開かれたBullpen Capitalらが主催の「Post-Seedコンファレンス」での議論から、その核心を捉えてみたい。


偏る金が引き起こす二つの問題

シリコンバレーでは投資の過熱化についてバブルか否かの議論が2-3年前からされているが、一様に語ることはできない。米国の2015年第3四半期のベンチャー投資額は、前年比でレイトステージは10%増え、アーリーステージは7%減ったという。

米国でのシード段階とシリーズAのファイナンスを実行できた企業数の推移がアーリーステージの問題を物語る。シード対シリーズAの企業数の比率は低下を続け、2010・11年は3:1だったのが2015年は10:1以下となってしまった。 つまりシードマネーを得られたスタートアップ10社のうち1社もシリーズAの資金調達を成功できていないのだ。シリーズAクランチは悪化の一途をたどっていると、Bullpen CapitalのPaul Martino氏は指摘する。
一方レイトステージでは、ヘッジファンドやプライベートエクィティの金が流入し際立ったベンチャー企業に集中して値がつり上がっている。流行り言葉となったユニコーン(一角獣になぞらえて10億ドル以上の評価額のベンチャー企業を言う)だが、この一年でその数は倍増し世界で150社を超える過熱ぶりだ。

ユニコーンになったら喜ぶより問題と思え

米国を代表するベンチャーキャピタルであるクライナーパーキンスのJohn Doerr氏は、“Being a unicorn is really an albatross.”(ユニコーンになるのは実に問題だ)と警告する。

Doerr氏は、「グーグルは2010年から週1ペースで企業買収してきたが、10億ドル以上は5社しかない。ユニコーン150社余りのうち93は米国で、多くは買収されるつもりだろうが、悲惨な状況となるだろう。」と語る。

ロサンジェルスのUpfront Venturesによるユニコーンのエグジット(IPOか企業売却)調査は、2014年は12のうち3社が過去の評価額を下回ったが、2015年は7のうち5社と過半数に上昇したと示している。つまり、すでにユニコーン・クランチは起こっており、さらに深刻化すると考えられる。

John Doerr氏セッションの動画「Fireside Chat with John Doerr (Kleiner Perkins) & Paul Martino (Bullpen Capital)」
John Doerr氏セッションの書き起こし(リンク先英文)

厳しくなってもポテンシャル大のスタートアップ

では、アーリーステージはどうか?本コンファレンスの、アーリーステージ投資家のパネル「Don't freak out: The venture capital cooldown is OK」では、シリーズAでの資金調達がピーク時の8-12百万ドルから6-8百万ドルあるいは6割程に小さくなり、かつ投資決定までの期間が長くなったとの指摘。

これに伴い、「スタートアップは、きっちりしたフォーカスとマイルストーンで経営することが求められる」と言及されたが、質の低いスタートアップは淘汰されるが、すぐれた会社・チームは投資を得られるから大丈夫と結論づけられた。また、FinTech(フィンテック)やバーチャルリアリティほか様々な有望分野があげられた。

本パネル以外のスピーカーでは、有望分野として、Doerr氏はヘルスケアをあげ、米国の著名ベンチャーキャピタルKhosla Ventures創業者のVinod Khosla氏は、マシンラーニングや3Dプリンティング、そして交通インフラの革新をあげ、さらには公的交通が代替されると言及した。

つまり、イノベーションのポテンシャルが大きな分野がまだまだ多く、スタートアップの可能性はますます大きくなっているということだ。

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