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日本のみならず、アメリカ、フランス、韓国など、各国から集結したデジタル・エコシステムのプロフェッショナル集団。それが2012年設立のスタートアップ企業、タメコ株式会社。同社は独自ハードウェアとアルゴリズムを駆使し、モバイルユーザーとあらゆる店舗・施設をデジタル連携するIoT領域で急成長を続けており、その技術を搭載したスマホアプリの「Tamecco」は、消費者の属性や位置情報を総合的に分析し、顧客行動を理解しつつ訴求力のあるリコメンドを提示できるアプリとして注目を集めています。

今回は、タメコ株式会社 取締役兼COO ムイ・キム氏に、同社のイノベーションや事業戦略を中心にお話いただきました。

ムイ・キム氏プロフィール
米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)政治学部卒。卒業後、ゴールドマンサックス証券に入社し、株式部門でキャリアを積む。その後JPモルガン証券に移籍し、合計4年間外資系金融に携わる。その後ボストン大学で法学博士号(JD)を取得。米国権威ローファームであるサリヴァン・アンド・クロムウェル法律事務所のNY本社・東京支社それぞれにて、計約5年間、M&A/IPO専門の米国連邦法アドバイザーとして活躍。2013年3月、日本最古のプライベート・エクイティファンドであるユニゾン・キャピタルに入社し、投資チーム・メンバーとして日韓投資などを担当。2014年4月、タメコ株式会社取締役に就任。COOとして大型業務・資本提携をとりまとめつつ、数々のスタートアップ系ピッチコンテストやITセミナーに登壇する。

【会社情報】
タメコ株式会社ウェブサイト
タメコ公式フェイスブック

Q:御社の事業について教えてください。

弊社には、2つの事業があります。1つは社名でもあるTameccoアプリ事業。これは、小売店舗向けスマホアプリです。2つめは、当社の動線トラッキング技術を他社のアプリにSDK(Software Development Kit)として実装していくライセンス事業です。

弊社は、O2O(Online to Offline)ならぬ、モノのインターネットIoT(Internet of Things)ならぬ、IoH(Internet of Humans)を標榜しています。モバイルを介して消費者と店舗をつなげるので、ヒトのインターネットIoHこそが弊社を表すのに最もふさわしい言葉だと思っています。

まず1つめのTameccoアプリ事業は、来店スタンプの押印やクーポン配布などが、すべてスマートフォンに集約されます。それは既に存在すると思われるかもしれませんが、今までのものとは歴然たる差があります。表面上はポイントアプリでも、裏ではとてつもなくデータ・ドリブンな会社なのです。

データの取得方法が、取得できるデータ内容が、販促方法が、まったく違う

消費者からすると、スマホの操作なしに、そして店内のどこに座っても、ハンズフリーで来店スタンプがもらえる。導入企業からすると、ワイヤレスをつかって恐ろしくリピート率が高まる一方、開発に何億円もかかるスペックのアプリサービスを、廉価で店舗導入できる。さらにプラスアルファとして、アンケートを実施しなくても、どういう属性の人がどの店舗にどのくらいの頻度で来店しているのか、などの動向データもとれる。もちろん、大きなハードウェアの設置は必要ありません。非常に軽くて小さな当社独自端末を、店内の電源コンセントに差し込むだけです。

次に取得できるデータ内容が違います。たとえば、ある30代の女性がワインを購入しないというPOSデータがあるとします。この女性はワインが嫌いか、または無反応なクラスターに分類されてしまいがちです。少なくとも、POSではこの特定女性がワインが「好き」とは知り得ません。しかし、その女性の物理行動を理解できるとすると、週に1回、ワインコーナーにおよそ8分間滞在していることがわかるとします。これによって、この女性は実はワインが嫌いなのではなく、たまたまそのお店の品揃えや価格戦略が間違っているために購入していないという180度真逆の顧客洞察が導かれます。顧客動線を理解することによって、POSデータでは不可能な消費者心理を把握することが可能になるのです。

販促方法も違います。他のポイントカードやPOSデータ分析でできることはDMを送るとか、チラシを配るとか、メルマガを配信するとか、レシートの裏にクーポンを印字するとかせいぜいその程度です。ここには顧客の来店や店舗接近の瞬間と、販促をうつ瞬間に大幅なタイムラグが存在します。しかし、弊社アプリの場合は、たとえば「ランチ時間・成人男性・店舗の近くにいる、しかも来店周期到来」。このような条件でクーポンやお知らせなどをプッシュ配信し、従来のちらしではありえない、驚異的なコンバージョン値をはじき出しています。Tameccoアプリをスマホにインストールしているだけで、いつも通っているお店や、まだ行ったことがないけれど、好みにあうお店から、絶妙なタイミングでコンテンツを受け取ることができます。

ワイヤレスの知見、サーバー処理技術と独自端末

もうひとつの柱が、この動線収集技術をあらゆる業界の他社アプリに実装するライセンス事業です。平成27年12月17日付で公表した、パーク24様との業務資本提携もその一例です。弊社のイノベーションの源泉は、ワイヤレスに関する知見、データのサーバー処理技術と独自の知的端末活用の、非常にユニークな掛け合わせです。

そもそも、この領域について少しでも詳しい方なら、「店内ワイヤレス」と聞くとiBeaconを連想されます。ところがビーコンは、実店舗の環境においては結構苦労話がおおかったりします。たとえば、BLE対応していないアンドロイド端末は対応できないとか、そうなれば、アプリの告知の仕方によっては、それらの端末をもつユーザーからのクレームになりかねない。シグナル端末の設置に(多くのビーコン提供者はカンタンだ、と最後まで言い張るものの)結局専門業者の助けが必要だったり、そもそもコンテンツ配信はできるけど、数メートル間隔の粒度の高い動線測量が難しかったりします。弊社は、独自の技術革新によりこれらの問題をすべて解決しています。当社が知り尽くしたワイヤレスシグナルからのインプットをユニークにサーバー処理することで位置と動線をリアルタイム且つ正確に判定し、ハードウェアも独自の知的端末を用いているので、自宅で扇風機を設置できるひとなら、だれでも設置が可能です。

Q:「あらゆる痒いところに手が届く」のが、他社との違いなんですね。

人の動線をトラッキングするにはさまざまな方法がありますが、それぞれ弱みと強みがあるわけです。GPSは施設内においては不向きで、やりすぎると電池も消耗します。ビーコンは上記のように対応端末の網羅性と位置測量範囲の粒度、そして端末設置のスケーラビリティなどに大きな課題を残しています。カメラは高価で、昨今少々安くなったとしても今度は顧客に対するリアルタイム販促の接点がもてていません。音波やQRコードはそもそもアプリ操作が面倒なうえに、悪意あるユーザーによる複製の危険性も否定できないので本当に経済価値あるコンテンツ配信には不向きでしょう。Wi-Fiも、動線測量の際、ビーコンにましてその精度に大きな問題があり、取りこぼしのない、制度的な動線収集にはいまひとつ向いていないところがあります。

弊社の技術なら、最小粒度2メートルで、しかもスマホ操作なし。一度当社SDKを実装したアプリにログインしていれば、スマホがスリープ状態でも、バッテリー消費に重要な影響を及ぼすことなく稼働します。なおかつAndroidであっても、BLE対応か否かを問わない。ちょっとデモをお見せしますね。


今、私は自分のスマホを持っているだけです。操作はゼロです。チェックインもなく、「いいね!」も押してないです。それなのにデータ収集、コンテンツ配信。ふたつのことが起きているわけです。ここまでの細かい粒度で制度的且つリアルタイムでデータ収集ができている。まさにIoHの世界がここにあるわけで、本技術であらゆる業界のサービスに革新をおこし、市民の生活をよりパーソナルなものにしてゆきます。

Q:メーカーから広告業界まで、さまざまな業種とコラボ推進中とのことですが?

はい。大変光栄なことに、さまざまな企業様とお話させていただいております。ご相談いただく業界は本当にさまざまで、上場会社の銘柄コードでいうとそれこそ1xxx番台から9xxx番台まで全セクターを網羅している感があります。しかし偶然か必然か、それら企業様のテーマは共通しているんです。自社商品やサービス、または店舗施設と接点をもつ消費者とIoT式にどんどん繋がり、顧客行動への理解を深めることで「データ・ドリブンな経営をしたい」、ということです。「それなら貴社ブランドのモバイルアプリに当社IoT機能を搭載し、お客様とつながって、顧客行動を客観的データとして理解していきましょう。」と応対しています。
Amazon.comなどが証左しているように、ネットの世界では購買履歴とcookieからとれる閲覧履歴の統合分析が、非常に精緻化されたリコメンドを実現し、消費者生活の利便性と小売売上の両方に大きく貢献しました。リアル版cookie情報があり、企業と消費者がモバイルで繋がれば、リアルの世界でそれができないわけがありません。しかも市場規模はまだまだリアルの方が10倍近く大きい。こう考えると、従来(古来といっていいですね)のちらしや看板広告、そしてアンケートなどのアナログ販促は、貴重なデータポイントをわざとドブに捨て、販促の費用対効果検証のチャンスを自ら逃がすような行為ともいえます。当社のイノベーションがもたらしたこの「気づき」こそ、セクターを問わずあらゆる業種様と当社のご縁が続々と生まれている由縁です。

【取材後記】『マイノリティ・リポート』の世界

誰がどこの場所でどのくらい滞在しているのか。その場所には何が陳列されていたのか? 動線を詳細にトラッキングすることによって消費者の性向がわかり、しかもモバイルなので、リアルタイムに広告の発信もできる。我々がまだ気づかないところで、どんどん進化しているIoHを目の当たりにした取材でした。