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CHANGE-MAKERS特別企画として、Dr.本荘こと、本荘修二氏による連載をお届けします。

本荘 修二氏 プロフィール
本荘事務所代表として、新事業やIT関係を中心に経営コンサルティングを手掛ける。多摩大学大学院(MBA)客員教授としてアントレプレナーシップを担当。日米の企業のアドバイザーを務める。NetService Ventures Group顧問、ならびに500 StartupsやFounder Institute、SPARK!、福岡県などの起業家メンターである。Journal of Business Venturing, ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス等への論文、ダイヤモンドオンライン、日経ネット等への執筆、慶応大学、早稲田大学、企業研究会など講師・講演活動多数。東京大学工学部卒業、ペンシルベニア大学経営学修士、早稲田大学学術博士。
【ITメディア・オルタナティブブログ】Dr.本荘のThought & Share

FinTechが注目を浴びているが、実際にイノベーションを起こすにはどうすればよいか?最前線の米国スタートアップを訪ね、起業家の実例からヒントを探った。

Meg Nakamura(メグ・ナカムラ)
プリンストン大学を卒業後、金融機関向けコンサルティング会社Promontory Financial Groupに入社。2014年にShift Paymentsを創業しCEOに。

問題を見つけ、分かりやすい解決策を示す

2015年11月20日にShift Paymentsは、ビットコインが使える初のデビット・カードであるShift Cardの米国での発行をスタートした。世界中のVISAが使えるお店で、CoinbaseやDwollaの口座で買い物・支払いができる。

「ビットコインを持つ人もその金額も増えていますが、それを使う機会は限られています。自分のお金なのに自由に使えない。この問題を、それも誰にでも分かりやすい形で解決できないか、と考えました。」とナカムラ氏は言う。

新たな問題に対して、複雑でなく受け入れやすいテクノロジーで、という考え方は、広く通じる定石だ。

全体を捉え、各論に深く入る


5年前にナカムラ氏は、金融機関向けコンサルティング会社Promontoryで共に働き、後にShift Paymentsを共同創業することになるGreg Kidd氏とスタートアップ投資を始め、50社ほどに小額の投資をしてきた。これにより、各社を具体的に知り、俯瞰的に全体をつかむことができたという。

また、ナカムラ氏は、投資先のプリペイドカードの会社に頼まれて手伝っていた際に、Kidd氏がチーフリスクオフィサーを務めていたRipple Labsのアカウントとプリペイドカードを連携させたプロトタイプを作り、Yコンビネーターの育成プログラムに応募した。そしてKidd氏、CTOのEugene Otto氏とShift Paymentsを共同創業した。

日本の大企業は、ともすると薄く情報を集めてまとめを上に報告して終わりだが、具体的に知ることの重要性と実際に企業や人とつながることのパワーをナカムラ氏の例は示している。現実にイノベーションをものにするには、横(マーケットマップなど市場の全体観)と縦(個別の深堀)の両方が大切だ。なお、日本のFinTechを調べているだけでは、視野狭窄で戦うことになる。

他に先んじ、待ったなしで走る

「いまShift Cardに競合はありません。1st mover advantage(先行者利益)があります。」と言うナカムラ氏は、同時に次のように語る。「初というのは大変なものです。私たちには確信がありましたが、ビットコインに慎重な人は米国でも多いのです。」

著名ベンチャーキャピタルのクライナーパーキンスのJohn Doerr氏は、「Sense of Urgency」を起業家の成功条件の一つに挙げているが、ナカムラ氏は話の端々に、金融機関や外部の遅さとスタートアップのペースについて語る。タイミングが早すぎても空振りするが、ここだと思ったら走り抜けるのがスタートアップだ。

普通の人でも大きなテーマに挑戦できる

「保守的な大学を出て、保守的な仕事に就いて、起業なんて思いもしなかった。私は特別じゃないが、サンフランシスコは特別。刺激を受けて、私もできると思いました。」とナカムラ氏は語る。

その一方でナカムラ氏は、「ビットコインだけでなく、ポイントやマーケットプレースほか銀行口座以外のマネーは広がっていますが、自由に使えない。もっと消費者に力を与えることができないか?」つまり、様々なデジタルマネーのプラットフォームづくりという大きなテーマに挑んでいると言う。

世界観とパッションがあれば、イノベーションは起こせる。もちろん、つまずくスタートアップの方が多いが、大きな挑戦が最も大切であり、起業家が尊敬される所以だ。

注:Shift Paymentsはまだ若いアーリーステージだが、他の本稿のスタートアップ各社は35億円以上の資金調達をした有望企業である。

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