×
最新の人気コンテンツ情報をまとめた
メールマガジンをお届けします

ページトップへ

CHANGE-MAKERS特別企画として、Dr.本荘こと、本荘修二氏による連載をお届けします。

"Xiaomization"(シャオミ化)は今年シリコンバレーで流行ったバズワードだ。しかし一方で、アップルは中国市場シフトを展開し、好調だ。一見矛盾した二つの現象は、日本のメーカーに何を意味するのか?

本荘 修二氏 プロフィール
本荘事務所代表として、新事業やIT関係を中心に経営コンサルティングを手掛ける。多摩大学大学院(MBA)客員教授としてアントレプレナーシップを担当。日米の企業のアドバイザーを務める。500 StartupsやNet Service Venturesの顧問、ならびにAlchemist AcceleratorやFounder Institute、SPARK!、福岡県などの起業家メンターである。Journal of Business Venturing, ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス等への論文、ダイヤモンドオンライン、日経ネット等への執筆、慶応大学、早稲田大学、企業研究会など講師・講演活動多数。東京大学工学部卒業、ペンシルベニア大学経営学修士、早稲田大学博士(学術)。
本荘修二オフィシャルサイト|交わり、つくる。

スマホだけでなく、家電も自動車も食われる!?

今年シリコンバレーでは、"Xiaomization"なる言葉が流行った。これは中国のトップ携帯メーカーの小米科技(Xiaomi)にちなみ、深圳のハードウェア専門のアクセラレーターHAXが2015年2月のレポート「Hardware Trend 2015」で唱えたキーワードだ。HAXの共同創業者Benjamin Joffe(筆者とともに米500 Startups メンター)は、“We call ‘Xiaomization’ the phenomenon of innovative products being commoditized. ”(シャオミ化は革新的な商品がコモディティにされる現象)と語る。

2014年に450億ドル(5兆円以上)の評価額となったXiaomiは、中国市場でSamsungからスマホ・シェア一位の座を奪い、さらに携帯以外の分野に拡大し、GoProやDropcamなどとも競合している。Xiaomiは、きちんと動く上質なデザインのハードウェアを、劇的に安い価格で出し続けている。安かろう悪かろうではなく、他国の大手ブランドの製品と比べて、初期不良率など品質でも見劣りはしない。

これでは、先行して革新的な商品を出しても、程なく競争力を削がれてしまう。これからは構造がシンプルな製品はみな"Xiaomization"のリスクにさらされることになる。

商品分野を拡大するXiaomiは、高画質の大型液晶テレビや電動スクーターを発表し、電気自動車を開発中だ。例えば韓国では、デパートも売場を出そうとしており、Xiaomi製品の輸入販売権の獲得競争が激しいという。またXiaomiは、クルマ関連の特許出願が目立ち、低価格の電気自動車を開発中という。つまり、スマホだけでなく家電から自動車まで、様々なハードメーカーにとって脅威だ。

逆に中国で躍進するアップル

当初Xiaomiはアップルの真似で伸びたと言っても過言ではない。中国のスティーブ・ジョブズとも呼ばれる雷軍CEO(最高経営責任者)は、黒いTシャツにジーンズというジョブズを思わせる格好が有名。ヒット商品の一つはiPhone 5Sそっくりと話題になった。UIもケースもホームページもデザインなどよく似ている。しかし、従来の中国的なパクリでなく、アップル製品とほぼ同等以上の性能で、価格は半分以下。

しかし、当のアップルをみると、中国シフトとも言える状況だ。このところの中国での経済減速をものともせず、中国市場で高成長を続けている。いまや中国はアップルの主戦場だ。これを米国トップ・ビジネススクールWharton SchoolのDean(学部長)Geoffrey Garrett教授は、裕福なミドルクラスが成長市場を創造しており、アップルはその市場を獲得していると指摘する。

つまり、本物のアップルが欲しい、そのためには価格差も問題ではない、という顧客層が増加しており、アップルはそういった層に訴求する商品とマーケティングを提供しているのだ。

Xiaomiに追われ、アップルになれないメーカーの行く末

Xiaomizationの脅威。かたやXiaomiのホームグラウンドで稼ぎを増やすアップル。この示唆は?

従来型のビジネスでは、いくらよいハード商品を先行して出しても、Xiaomizationにより事業価値は減衰する。一方、アップルのように、ハードにとどまらないホール(whole=全体)プロダクトとブランドで勝負すれば、勝てるということだ。

前出のHAXは、持ち込まれるアイデアに対して、Xiaomizationされにくいモノを作ろうとしているかを評価する。創造的なベンチャーなら打つ手もあろう。しかし、日本のハードメーカーは、これに対応できるのか。しかも、商品ジャンルは広がっていく。これからの戦いを見守りたい。

関連リンク
「HAXLR8Rのレポートに見る、ハードウェアスタートアップのトレンドと予想」 |  TechCrunch Japan